同一患者の試験管法とカラム凝集法の反応像(別冊No. 16)を別に示す。凝集反応の判定として正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
下図の試験管法の結果を見ると、凝集塊が小さく不均一で、はっきりとした凝集スコア(1+〜4+)に分類しにくい状態です。また、カラム凝集法では赤血球がカラム全体に拡散し、一部は沈降していますが、明確な凝集塊形成が不十分であることが示されています。これらの所見は、抗原抗体反応が不完全な状態や、凝集の質が均一でない状態を示す「部分凝集」と判定するのが最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 「0」は凝集が全く見られない状態を指しますが、提示された画像では凝集が観察されています。正しくは:凝集の程度に応じて適切なスコアを付ける。選びやすい理由:凝集が弱く見える場合、誤って凝集なしと判断してしまう可能性がある。混同注意:完全な溶血反応や、全く凝集しない非特異反応。
- 2. 「1+」は小さな凝集塊が少数観察される状態を指しますが、下図の試験管法では凝集塊が小さく多数あり、部分凝集の特徴を示しています。またカラム法も同様にカラム全体に赤血球が分散し、凝集塊がはっきりしない状態です。正しくは:提示された画像は、より不均一で凝集塊が不明瞭なため、「部分凝集」と判定するのが適切です。選びやすい理由:弱い凝集をすべて「1+」と判断してしまうことがある。混同注意:弱い「1+」の凝集と、均一な「0」の反応、あるいは不規則な「部分凝集」との区別。
- 3. 「2+」は中程度の大きさの凝集塊が多数観察され、赤血球が背景にクリアに見える状態を指しますが、下図の反応像とは一致しません。試験管法では凝集塊が小さく不均一で、カラム法でも均一な凝集塊が見られません。正しくは:提示された画像は凝集塊が小さく、均一性に欠けるため、「部分凝集」と判定するのが適切です。選びやすい理由:凝集が見られるが強くはないため、中間の「2+」を選びたくなる。混同注意:均一な凝集塊が明確に見られる「2+」と、不均一な「部分凝集」の違い。
- 4. 「4+」は大きな単一の凝集塊が認められ、背景の赤血球がほとんど見られない非常に強い凝集状態を指します。下図の反応像は明らかにこの状態とは異なります。正しくは:凝集塊の大きさや数を正確に評価し、適切なスコアを付ける。選びやすい理由:凝集が見られることで、過大評価してしまう可能性がある。混同注意:非常に強い「4+」の凝集と、中程度以下の凝集。
- 5. 正解。提示された下図では、試験管法において凝集塊が非常に小さく多数見られ、凝集が不均一で均一な凝集像を形成していません。また、カラム凝集法においても赤血球がカラム全体に拡散し、凝集塊が明確でないため、このどちらも「部分凝集」の典型的な所見です。部分凝集は、凝集反応が不完全であったり、抗原・抗体のいずれかに問題がある場合に見られることがあります。正しくは:記載の通りで正しい。選びやすい理由:部分凝集という表現になじみがなく、通常の凝集スコアで表現しようとしてしまう。混同注意:弱い凝集(1+など)と、質的に異なる「部分凝集」の区別。
国試ポイント
輸血検査における凝集反応の適切な判定基準、特に部分凝集の概念とその見分け方を理解しているかが問われています。試験管法とカラム凝集法の両方で同様の傾向が見られる場合、その総合的な判断能力が重要です。
混同注意
弱い凝集(1+)と部分凝集は混同されやすいです。1+は小さな凝集塊がはっきりと見え、背景の赤血球と分離しているのに対し、部分凝集は凝集塊が不明瞭で、赤血球が不均一に凝集している状態を指します。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、凝集塊の大きさ、数、均一性、そして背景の赤血球の有無と状態を総合的に判断し、「部分凝集」が他の凝集スコアと質的に異なる状態であるという認識を持って選択肢を検討する。
関連知識
部分凝集が見られた場合、抗体価の確認、試薬のロット確認、検体への影響因子(例:冷式凝集素、自己抗体、プロテインによる偽凝集)の有無を検討する必要があります。また、抗体スクリーニングや交差適合試験で部分凝集が出た場合は、さらに詳細な検査(直接・間接抗グロブリン試験など)が必要になることがあります。