末梢血幹細胞の採取時期の指標となるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
末梢血幹細胞移植において、採取する造血幹細胞の量を評価し、適切な採取時期を決定するために最も重要な指標は、CD34陽性細胞数です。CD34抗原は、未分化な造血幹細胞や前駆細胞に特異的に発現しており、G-CSFなどの薬剤で骨髄から末梢血中に動員された幹細胞の数を測定することで、採取効率の最大化と十分な幹細胞量の確保を目指します。他の選択肢は、一般的な血液成分の評価や他の免疫細胞のマーカーであり、幹細胞の採取時期の指標とはなりません。
選択肢ごとの解説
- 1. 血小板数は血液凝固や止血機能に関連する指標であり、末梢血幹細胞の採取時期を直接評価する目的では用いられません。患者の止血能評価には重要ですが、幹細胞の動員度合いを示すものではありません。正しくは:血小板数は、患者の止血能力や出血リスクを評価する際に用いられますが、幹細胞動員の指標ではありません。選びやすい理由:一般的な血液検査項目であり、造血系と関連があるため、関連性が高く感じられるかもしれません。混同注意:患者の全身状態や合併症リスクを評価する他の血液検査項目と、幹細胞動員を直接評価するマーカーとを混同しやすいです。
- 2. 好中球数は、白血球の一種で感染防御に関わる細胞です。顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)投与後には増加しますが、これは感染予防効果を示すものであり、末梢血幹細胞の採取時期を判断する直接的な指標としては不適切です。正しくは:好中球数は、骨髄抑制からの回復や感染症の指標にはなりますが、採取する幹細胞の量を直接示すマーカーではありません。選びやすい理由:G-CSF投与によって変動するため、幹細胞の動員と関連があるように思われがちですが、好中球そのものが幹細胞ではありません。混同注意:G-CSFが顆粒球(好中球)も増加させるため、幹細胞動員と好中球数増加を結びつけて考えやすいですが、両者の役割は異なります。
- 3. 赤血球数は酸素運搬機能を担う細胞であり、貧血の有無や程度を評価する際に用いられます。末梢血幹細胞の採取時期を判断する指標とは直接関係ありません。正しくは:赤血球数は、貧血の診断や酸素運搬能力の評価などに用いられる一般的な血液検査項目であり、幹細胞採取時期の指標としては適切ではありません。選びやすい理由:血液の主要な構成要素であるため、重要であるように感じられるかもしれません。混同注意:患者の全身状態を評価する様々な血液検査項目の一つとして認識されやすいですが、造血幹細胞の動員とは無関係です。
- 4. 正解。CD34は、未熟な造血幹細胞および造血前駆細胞の表面に発現する特異的な糖タンパク質です。末梢血幹細胞移植においては、G-CSFなどの幹細胞動員剤を投与することで骨髄から末梢血中に動員された造血幹細胞を採取しますが、この末梢血中のCD34陽性細胞数を測定することで、採取に適した幹細胞量が存在するかどうかを判断し、最適な採取時期を決定します。
- 5. CD3は成熟Tリンパ球の表面に発現するマーカーであり、T細胞の同定や評価に用いられます。Tリンパ球は免疫応答に重要な細胞ですが、造血幹細胞そのものではなく、末梢血幹細胞の採取時期を判断する指標としては使用されません。正しくは:CD3陽性リンパ球数は、T細胞の数を評価する際に用いられますが、末梢血幹細胞の採取時期の指標としては不適切です。選びやすい理由:「CD〇〇」という表記がCD34と似ており、フローサイトメトリーで測定される細胞表面マーカーであることから、専門知識がないと混同しやすいです。混同注意:CD34陽性細胞とCD3陽性リンパ球は、どちらも「CD」抗原であり、リンパ球も造血系細胞の一部ですが、それぞれの役割と発現する細胞種が異なります。
国試ポイント
本問題は、末梢血幹細胞移植における造血幹細胞の主要なマーカーであるCD34の重要性を理解しているか、そしてその知識を他の血液検査項目や細胞表面マーカーと区別して適用できるかを問うものです。CD34陽性細胞が造血幹細胞動員と採取時期の決定に不可欠な指標であることを正確に把握している必要があります。
混同注意
CD34陽性細胞と、他の血液細胞(血小板、好中球、赤血球)やリンパ球(特にCD3陽性Tリンパ球)との混同が挙げられます。いずれも血液や免疫系に関わる細胞ですが、それぞれの細胞表面マーカーが示す細胞種や機能、そして臨床的な意義が異なります。特に「CD」で始まるマーカーは多岐にわたるため、個々のマーカーがどの細胞に特異的で、どのような臨床的意味を持つかを正確に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出題される場合、CD34陽性細胞の測定方法(フローサイトメトリーの原理や検出方法)、具体的な採取目標値、G-CSF以外の幹細胞動員薬(例: プレリキサフォー)の作用機序、あるいはCD34陽性細胞が発現する他の組織(例: 血管内皮細胞)に関する知識が問われる可能性があります。また、CD34陽性細胞数の測定が移植成績にどのように影響するかといった、より臨床的な側面からの理解も求められるかもしれません。
関連知識
造血幹細胞動員(G-CSFの効果)、末梢血幹細胞移植のプロセス(採取、前処置、輸注)、CD抗原の基本的な概念と主な細胞種のマーカー(例: CD3、CD4、CD8、CD19、CD56など)、フローサイトメトリーによるCD34陽性細胞数の測定原理、幹細胞移植における採取目標値。