染色体検査における細胞培養または標本作製の過程でコルセミドを添加する理由はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
コルセミドは細胞周期のM期における紡錘体形成を阻害し、細胞分裂を中期で停止させる働きがあります。これにより、染色体が最も凝縮した状態で観察できるため、核型分析に適した標本を得るために不可欠な試薬です。
選択肢ごとの解説
- 1. コルセミドは赤血球の溶血には関与しません。染色体検査で不要な赤血球を除去する目的で溶血させる場合は、通常、低張液処理や遠心分離が行われます。正しくは:染色体検査における赤血球の除去は、主に低張液処理によって行われます。選びやすい理由:血液検体を用いる場合、赤血球が染色体観察の邪魔になるため、何らかの処理で除去されることは事実ですが、コルセミドの役割ではありません。混同注意:低張液処理による赤血球の溶血とコルセミドの作用を混同する可能性があります。
- 2. コルセミドは抗生物質ではないため、細菌の増殖を抑制する作用はありません。細胞培養では、細菌汚染を防ぐ目的でペニシリンやストレプトマイシンなどの抗生物質が添加されます。正しくは:細菌の増殖抑制には、培養液に添加される抗生物質が使用されます。選びやすい理由:細胞培養において微生物汚染を防ぐことが非常に重要であるため、培養液に添加される試薬がその目的だと誤解する可能性があります。混同注意:培養液に添加される抗生物質とコルセミドの役割を混同する可能性があります。
- 3. コルセミドは細胞の固定剤ではありません。細胞の構造を保つ固定は、通常、メタノールと酢酸の混合液(カルノア液など)を用いて行われます。コルセミドは固定の『前』に細胞分裂を停止させる役割を担います。正しくは:細胞の固定は、メタノールと酢酸の混合液などの固定液によって行われます。選びやすい理由:染色体検査の重要なステップである『固定』と、コルセミドが細胞の準備段階で使われることから、直接固定に関与すると誤解する可能性があります。混同注意:固定液の役割とコルセミドの作用を混同する可能性があります。
- 4. コルセミドには細胞を膨化させる作用はありません。細胞を膨化させるのは、細胞膜を破らずに染色体を細胞内に広げて観察しやすくする目的で、低張液(例:0.075M KCl)処理によって行われます。正しくは:有核細胞の膨化は、低張液処理によって行われます。選びやすい理由:染色体を見やすくするために細胞を処理する操作自体は事実であるため、細胞の膨化とコルセミドを結びつけてしまう可能性があります。混同注意:低張液処理による細胞の膨化とコルセミドの作用を混同する可能性があります。
- 5. 正解。コルセミド(またはコルヒチン)は、微小管の重合を阻害することで紡錘体の形成を妨げ、細胞分裂を中期(metaphase)で停止させます。この段階の染色体は最も凝縮しており、形態学的に観察しやすいため、核型分析に適した標本を作製するために不可欠な操作です。
国試ポイント
染色体検査における各試薬(コルセミド、低張液、固定液など)の役割と、それぞれの処理が細胞にどのような影響を与えるかを正確に理解しているかが問われます。特にコルセミドの「中期停止」作用は頻出の知識です。
混同注意
コルセミドの作用(中期停止)と、低張液の作用(細胞膨化、染色体分散)、固定液の作用(細胞固定)、トリプシンの作用(バンド形成)など、染色体検査の各ステップで使用される試薬の役割を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、他の染色体検査の手順(低張液処理、固定、乾燥、染色など)の目的や、それぞれの段階で使用される試薬の具体的な名称と作用について問われる可能性が高いです。また、FISH法やCGH法など、より高度な染色体検査技術の原理についても学習しておくと良いでしょう。
関連知識
コルセミドはコルヒチン誘導体であり、微小管形成阻害剤として知られています。細胞周期のM期(特に中期)での染色体の状態、紡錘体の役割についても理解が求められます。