バイオセーフティレベル〈BSL〉3対応が必要なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
ヒストプラズマ・カプスラーツムは、深在性真菌症であるヒストプラズマ症の原因菌です。土壌やコウモリの排泄物などに生息し、特に乾燥した場所から吸入されることで感染します。感染性エアロゾルの発生リスクが高く、吸入によって重篤な全身感染症(特に肺感染症)を引き起こす可能性があるため、実験室内での取り扱いにはバイオセーフティレベル3 (BSL-3) の封じ込めが必要です。
選択肢ごとの解説
- 1. アスペルギルス・フミガータスは、アスペルギルス症の原因菌であり、特に免疫不全患者で重篤な呼吸器感染症を引き起こしますが、通常はバイオセーフティレベル2(BSL-2)で取り扱われます。正しくは:BSL-2で取り扱われます。選びやすい理由:重篤な疾患を引き起こすことから、高いバイオセーフティレベルが必要であると誤解されやすいです。混同注意:他の深在性真菌や、肺炎などの重篤な呼吸器感染症を引き起こす病原体全般のバイオセーフティレベル。
- 2. カンディダ・グラブラータは日和見感染症の主要な原因菌の一つですが、一般的にはバイオセーフティレベル2(BSL-2)での取り扱いが推奨されています。正しくは:BSL-2で取り扱われます。選びやすい理由:薬剤耐性カンジダ症の増加など、近年注目される病原体であるため、危険度が高いと判断されやすいです。混同注意:病原性が高い、あるいは薬剤耐性を持つ微生物のバイオセーフティレベル。
- 3. 正解。ヒストプラズマ・カプスラーツムは、深在性真菌症であるヒストプラズマ症の原因菌です。感染性エアロゾルの発生リスクが高く、吸入によって重篤な全身感染症(特に肺感染症)を引き起こす可能性があるため、実験室内での取り扱いにはバイオセーフティレベル3(BSL-3)の封じ込めが必要です。
- 4. ニューモシスチス・イロベチーは免疫不全患者に重篤なニューモシスチス肺炎を引き起こしますが、実験室内での培養が非常に困難であり、人から人への感染力も限定的であるため、通常はバイオセーフティレベル2(BSL-2)で対応可能です(ただし、検体処理など状況によっては注意が必要です)。正しくは:BSL-2で取り扱われます。選びやすい理由:免疫不全患者に致死的な肺炎を引き起こすことから、非常に危険な病原体と認識されやすいです。混同注意:培養が困難な微生物、あるいは重篤な感染症を引き起こす微生物全般のバイオセーフティレベル。
- 5. トリコフィトン・ルブルムは白癬菌の一種で、皮膚、毛髪、爪の表在性真菌症の主要な原因菌です。感染性はありますが、通常は重篤な全身疾患を引き起こすことは稀であり、バイオセーフティレベル1(BSL-1)またはBSL-2で対応可能です。正しくは:BSL-1またはBSL-2で取り扱われます。選びやすい理由:一般的な感染症として知られているため、その危険性を過小評価または過大評価しやすいです。混同注意:深在性真菌症と表在性真菌症の区別、およびそれぞれの原因菌のバイオセーフティレベル。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、主要な病原微生物(細菌、ウイルス、真菌、寄生虫)について、その特徴、病原性、診断法だけでなく、適切なバイオセーフティレベル(BSL)に関する知識も問われます。特に、感染リスクが高い深在性真菌や特殊な病原体のBSLを正確に理解しているかが重要です。本問のように、複数の真菌の中からBSL-3対応が必要なものを選ばせる形式は典型的な出題パターンです。
混同注意
アスペルギルス・フミガータスやニューモシスチス・イロベチーなど、重篤な疾患を引き起こす他の真菌や真菌様微生物と、ヒストプラズマ・カプスラーツムのBSL-3要件が混同されやすいです。病原性が高いイコールBSLが高い、という単純な理解ではなく、感染経路(特にエアロゾル感染リスク)、培養の難易度、実験室内での感染事例などを総合的に考慮したBSLの基準を正確に覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、まず問題がBSLのどのレベルを問うているかを確認します。次に、提示された微生物が深在性真菌か、表在性真菌か、日和見真菌かを分類します。特に吸入による感染リスクが高い深在性真菌(例: Blastomyces dermatitidis, Coccidioides immitis, Paracoccidioides brasiliensisなどもヒストプラズマと同様にBSL-3)に注目し、これらの微生物とBSL-3が結びついているかを確認します。また、アスペルギルスやカンジダのように、一般的にBSL-2で対応されるが重篤な疾患を引き起こす微生物との区別も重要です。
関連知識
バイオセーフティレベル(BSL)の定義(BSL-1からBSL-4)、各レベルで求められる施設・設備要件、作業従事者の保護具、微生物の封じ込め原則。主要な細菌・ウイルス・真菌・寄生虫それぞれの代表的なBSL分類。特に、エアロゾル感染リスクの高い病原体(結核菌、ブルセラ、コクシジオイデスなど)や、致死率の高いウイルス(エボラ、マールブルグなど)のBSLを理解しておくことが重要です。