ウイルスと親和性の高い組織・細胞の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
ロタウイルスは、乳幼児の急性胃腸炎の主要な原因であり、消化管(腸管)の絨毛上皮細胞に感染して下痢や嘔吐を引き起こします。他の選択肢は、各ウイルスの主要な標的組織・細胞と合致していません。EBウイルスはBリンパ球、ポリオウイルスは神経細胞、ライノウイルスは鼻腔・咽頭上皮細胞、単純ヘルペスウイルスは粘膜・皮膚・神経節に親和性があります。
選択肢ごとの解説
- 1. EBウイルスは主にBリンパ球に感染し、伝染性単核球症などを引き起こします。単球はEBウイルスの主要な標的細胞ではありません。正しくは:EBウイルス:Bリンパ球選びやすい理由:「伝染性単核球症」という病名から単球を連想しやすいですが、これは病態を示す名称であり、ウイルスが直接単球に感染するわけではありません。異型リンパ球の増加が見られますが、これは主にT細胞です。混同注意:伝染性単核球症という病名と単球の関連、またはサイトメガロウイルス(単球やマクロファージに感染)など、他のウイルスと標的細胞を混同する可能性があります。
- 2. 正解。ロタウイルスは消化管上皮細胞に特異的に感染し、乳幼児の重症胃腸炎の主要な原因となります。その親和性は腸管にあります。
- 3. ポリオウイルスは消化管で増殖した後、中枢神経系(特に脊髄の運動神経細胞)に感染し、麻痺を引き起こします。皮膚は主要な標的ではありません。正しくは:ポリオウイルス:神経細胞(特に運動ニューロン)選びやすい理由:ウイルス感染症の中には皮膚症状を呈するものも多いため、安易に皮膚と結びつけてしまう可能性があります。混同注意:水痘・帯状疱疹ウイルスや麻疹ウイルス、風疹ウイルスなど、皮膚に病変を引き起こすウイルスと混同する可能性があります。
- 4. ライノウイルスは「風邪」の主要な原因ウイルスであり、鼻腔や咽頭の粘膜上皮細胞に感染します。神経組織への親和性は非常に低いです。正しくは:ライノウイルス:鼻腔・咽頭上皮細胞選びやすい理由:「ライノ」という名前から特定の組織を連想しにくい場合や、インフルエンザなど他のウイルスが稀に神経症状を起こすことと混同する可能性があります。混同注意:ライノウイルスが一般的な「風邪」の原因ウイルスであり、呼吸器系が標的であるという基本的な知識が不足していると、標的臓器を特定しにくいです。
- 5. 単純ヘルペスウイルスは、口腔や性器などの粘膜上皮細胞や皮膚、そして神経節に潜伏感染します。気道感染は稀であり、主要な親和組織ではありません。正しくは:単純ヘルペスウイルス:粘膜上皮細胞、皮膚、神経節選びやすい理由:インフルエンザウイルスやRSウイルスなど、気道に感染する他のウイルスと混同する可能性があります。また、ヘルペスウイルスによる感染症が呼吸器症状を呈する場合もあるため、気道と関連付けてしまう可能性もあります。混同注意:ヘルペスウイルス科の他のウイルス(例:水痘・帯状疱疹ウイルスが気道にも感染)と混同する可能性があります。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、主要なウイルスの病原性と、それに伴う主要な標的臓器や細胞に関する基本的な知識が頻繁に問われます。特に、どのウイルスがどの組織に特異的に感染するか、その親和性を正確に理解しているかが重要です。それぞれのウイルスの名称だけでなく、それが引き起こす疾患や感染部位まで関連付けて学習することが求められます。
混同注意
各ウイルスの名前と標的臓器を誤って関連付けてしまうことや、症状から連想される部位(例:伝染性単核球症だから単球)と実際の感染部位が異なることによる混同が多いです。また、似たような病態を引き起こす別のウイルスや、同じファミリーに属する異なるウイルスとの区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われる場合、他の主要なウイルス(例:インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、麻疹ウイルス、B型肝炎ウイルスなど)の標的臓器や細胞について問われる可能性があります。また、ウイルスの感染経路と標的臓器の関連性、あるいはウイルスの病態生理学的な特徴(例:潜伏感染部位)にまで踏み込んだ知識が問われるかもしれません。
関連知識
ウイルス感染症の診断や病態理解には、ウイルスの組織親和性(トロピズム)の知識が不可欠です。レセプターの有無や細胞内増殖に適した環境が親和性を決定します。代表的なウイルスと親和性のある組織・細胞の例:インフルエンザウイルス(気道上皮細胞)、A型肝炎ウイルス(肝細胞)、HIV(CD4陽性T細胞、マクロファージ)、水痘・帯状疱疹ウイルス(皮膚、神経節)、麻疹ウイルス(呼吸器、リンパ組織、皮膚)。