検体と検出菌の組合せで汚染菌と解釈されるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
髄液は通常、無菌であるべき検体であり、Propionibacterium acnes(アクネ菌)は皮膚の常在菌です。したがって、髄液からアクネ菌が検出された場合、採検時の皮膚汚染(コンタミネーション)である可能性が極めて高く、真の感染症の原因菌と判断されることは稀です。他の選択肢の組み合わせは、それぞれの部位での主要な病原菌または頻繁に検出される感染症の原因菌であり、汚染菌として解釈されることは通常ありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 肺炎球菌は、肺炎の原因菌として喀痰から検出される主要な病原菌の一つであり、汚染菌とは解釈されません。正しくは:肺炎球菌は、通常、喀痰中の主要な病原菌として臨床的に重要です。選びやすい理由:呼吸器系の検体で一般的な菌なので、区別がつきにくいかもしれません。混同注意:口腔常在菌である連鎖球菌(Viridans streptococci)と混同する可能性がありますが、肺炎球菌は病原性が高いです。
- 2. 黄色ブドウ球菌は、血液感染症(菌血症、敗血症)の重要な原因菌であり、血液から検出された場合は通常、感染症と解釈され、汚染菌とは考えられません。正しくは:黄色ブドウ球菌が血液から検出された場合、菌血症などの感染症を強く示唆します。選びやすい理由:皮膚の常在菌でもあるため、採血時の汚染を疑うかもしれませんが、血液培養で検出された場合は臨床的意義が高いです。混同注意:コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)が血液培養の汚染菌としてよく検出されるため、それと混同する可能性がありますが、黄色ブドウ球菌は病原性が高く、通常は汚染とはみなされません。
- 3. 正解。アクネ菌は、皮膚の常在菌であり、髄液のような通常は無菌であるべき検体から検出された場合、採集時の皮膚汚染(コンタミネーション)である可能性が極めて高いです。髄膜炎の原因菌となることは非常に稀です。正しくは:アクネ菌は皮膚の常在菌であるため、髄液から検出された場合は採検時の汚染が強く疑われます。選びやすい理由:稀に日和見感染を起こす菌であるため、病原性があると誤解しやすいかもしれません。混同注意:他の髄膜炎の主要な原因菌(例: Neisseria meningitidis, Streptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae)と区別がつかないと、病原菌と誤解する可能性があります。
- 4. 肺炎桿菌は、腸内細菌科の一員であり、胆道系感染症(胆嚢炎、胆管炎)の原因菌としてよく検出される病原菌です。したがって、汚染菌とは解釈されません。正しくは:肺炎桿菌は、胆道系感染症の重要な原因菌の一つです。選びやすい理由:広範な部位で見られる菌なので、判断に迷うかもしれません。混同注意:腸内細菌科の他の菌(E. coliなど)と同様に、胆道系感染症で検出されうる病原菌であるという理解が必要です。
- 5. 大腸菌は、尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎)の最も一般的な原因菌であり、特に女性の中間尿から検出された場合、通常は感染症を示唆し、汚染菌とは解釈されません。正しくは:大腸菌が中間尿から検出された場合、尿路感染症の原因菌として最も一般的です。選びやすい理由:尿検体は採尿方法によって汚染されやすいため、全てを汚染と考える可能性もありますが、大腸菌は典型的な病原菌です。混同注意:皮膚常在菌や膣常在菌による尿検体の汚染(例: 乳酸桿菌、Staphylococcus epidermidis)と混同しやすいですが、大腸菌は典型的な尿路病原菌です。
国試ポイント
この問題は、検体の種類とそこから検出された菌の組み合わせにおいて、臨床的に「汚染菌」と解釈されるケースを正しく判断できるかを問うものです。各菌の一般的な常在部位や病原性、および各検体の通常の状態(無菌性など)についての知識が求められます。
混同注意
皮膚常在菌であるコアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (CNS) が血液培養の汚染菌としてよく挙げられるが、Propionibacterium acnesも同様に皮膚常在菌であり、通常無菌であるべき部位(髄液、関節液など)から検出された場合は汚染と判断される。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず「その検体は通常無菌であるか否か」を確認し、次に「検出された菌がその部位の常在菌であるか、あるいは真の病原菌として臨床的に意味があるか」を判断する。
関連知識
主要な体液(血液、髄液、関節液など)は通常無菌であり、これらの検体から皮膚常在菌が検出された場合は汚染を強く疑う。一方、喀痰、尿、便などは常在菌叢が存在するため、病原菌と常在菌・汚染菌の鑑別がより重要となる。