健常成人の超音波検査で得られた腹部のBモード像(別冊No. 4)を別に示す。矢印で示すのは何か。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
下図に示されたBモード像は、腎臓の典型的な超音波画像です。腎臓は豆のような形状をしており、外側に比較的低エコーな皮質、内側に円錐形の髄質、そして中心部に高エコーな腎洞(脂肪組織、血管、集合系などを含む)が見られます。矢印で指し示されているのはこの腎臓の全体像であり、特に皮質と腎洞の境界が明瞭に描出されています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。示されている画像は、典型的な腎臓のBモード超音波像であり、皮質と髄質の分化、および腎洞エコーが確認できます。特に、周囲の組織との位置関係や形状からも腎臓であると判断できます。
- 2. 膵臓は通常、胃の背側に位置し、細長く、エコー輝度が肝臓と同等かやや高めに見えますが、画像に示された形状や内部構造とは異なります。正しくは:膵臓は通常、上腹部、胃の背側に位置し、十二指腸に囲まれるような細長い形状を示します。選びやすい理由:超音波検査で腹部の臓器を同定する知識が不足している場合、他の臓器と混同しやすいかもしれません。混同注意:肝臓、脾臓など他の実質臓器と混同することがあります。
- 3. 胆囊は内部が無エコーの嚢状構造として描出され、多くの場合、胆汁貯留により内部が黒く見えます。示された画像は実質臓器であり、胆囊の形態とは明らかに異なります。正しくは:胆囊は内部が液体(胆汁)で満たされており、超音波上は無エコーの嚢状構造として描出されます。選びやすい理由:腹部超音波検査でよく評価される臓器の一つであるため、選択肢として考えやすいかもしれません。混同注意:他の嚢状構造(例えば、大きな腎嚢胞や卵巣嚢腫など)と混同する可能性があります。
- 4. 脾臓は通常、左上腹部に位置し、均一な内部エコーを示す実質臓器ですが、画像に示された臓器の形状や皮質・髄質の分化は見られず、脾臓の超音波像とは異なります。正しくは:脾臓は左上腹部、横隔膜直下に位置し、肝臓よりやや低いエコー輝度で、均一な内部構造を示します。選びやすい理由:実質臓器であるため、他の実質臓器と混同しやすいです。混同注意:肝臓や腎臓とエコー輝度や位置関係で混同することがあります。
- 5. 副腎は腎臓の上方に位置する小さな臓器で、健常成人では超音波で描出が困難な場合が多く、描出されても画像のような明確な内部構造を持つことは稀です。正しくは:副腎は腎臓の頭側に位置する小さな臓器で、通常は超音波で描出が難しいか、描出されても薄い低エコー層として見えます。選びやすい理由:腎臓の近くにある臓器であるため、腎臓と関連付けて考えることがあります。混同注意:腎臓の周辺の脂肪組織や血管などと誤認されることがあります。
国試ポイント
この問題は、健常成人の腹部臓器の超音波解剖学に関する知識を問うものです。特に、超音波Bモード画像から主要な臓器(肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、胆囊など)を正確に識別できる能力が求められます。各臓器の形状、位置、内部エコーパターン、周囲の組織との関係を理解していることが重要です。
混同注意
超音波画像における臓器の同定は、隣接する他の実質臓器(肝臓や脾臓)、あるいは内部に液体を貯留する臓器(胆囊や膀胱)と混同しやすいです。また、血管や消化管ガスなどによるアーチファクトも識別の妨げとなることがあります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず臓器の全体的な形状と大きさを確認します。次に、内部エコーパターン(均一性、輝度、皮質/髄質の分化、液体貯留の有無など)を詳細に観察し、最後に周囲臓器との位置関係を総合的に判断して同定します。
関連知識
超音波診断装置の基本原理、Bモード画像の構成、エコー輝度と組織の関係、プローブの操作方法、超音波解剖学(各臓器の典型的な超音波像、正常変異、個体差)、検査における体位変換の重要性。