銀液を加温しないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
銀染色法は、組織内の特定の成分(レチクリン線維、基底膜、真菌、神経内分泌細胞の顆粒、メラニンなど)を銀粒子で可視化する組織化学染色法です。多くの銀染色法では、銀アンモニア液(銀錯体)の還元反応を促進するために加温処理が行われます。しかし、渡辺の鍍銀法(レチクリン染色の一種)では、過剰な背景染色を防ぎ、レチクリン線維のみを特異的に染め出すために、銀アンモニア液を室温で反応させます。これは、加温によって非特異的な銀の沈着が促進され、染色性が低下するのを避けるためです。
選択肢ごとの解説
- 1. PAM染色は糸球体基底膜などの構造を染めるのに用いられ、銀アンモニア液は加温して反応を促進させます。特にメセナミン銀液は50-60℃で加温します。正しくは:PAM染色では銀アンモニア液を加温して用いる。選びやすい理由:様々な銀染色法があるため、個々の染色法の詳細を覚えていないと判断が難しい。混同注意:他の加温する銀染色法と混同しやすい。
- 2. Grocott染色は真菌の検出に用いられ、銀アンモニア液は加温(50-60℃)して反応させます。これにより、真菌の細胞壁に含まれる多糖体を還元して銀を沈着させます。正しくは:Grocott染色では銀アンモニア液を加温して用いる。選びやすい理由:真菌の検出に特化した染色法であるため、その特殊性から加温の有無を誤解する可能性がある。混同注意:他の加温する銀染色法と混同しやすい。
- 3. 正解。渡辺の鍍銀法は主にレチクリン線維の検出に用いられ、銀アンモニア液は室温(加温しない)で反応させます。加温すると背景が強く染まってしまうため、通常は室温で行われます。選びやすい理由:銀染色の多くは加温が必要であるため、加温しない染色法は例外として覚えにくい。混同注意:他のレチクリン染色法や、加温を必要とする他の銀染色法と混同しやすい。
- 4. Grimelius染色は神経内分泌腫瘍の顆粒を染めるために用いられ、銀アンモニア液は加温(60℃前後)して反応させます。この加温により、顆粒内の還元性物質と銀の反応が促進されます。正しくは:Grimelius染色では銀アンモニア液を加温して用いる。選びやすい理由:ホルマリン固定後の銀染色であるため、特殊な条件があるように見えるが、加温は必要。混同注意:Masson-Fontana染色など、他の神経内分泌系細胞の銀染色法と混同しやすい。
- 5. Masson-Fontana染色はメラニンやアルジェンタフィン細胞の顆粒を染めるために用いられ、銀アンモニア液は加温(50-60℃)して反応させます。加温により反応速度が上がり、目的の構造が染まりやすくなります。正しくは:Masson-Fontana染色では銀アンモニア液を加温して用いる。選びやすい理由:内因性の還元性物質を利用する染色法であるため、反応を待つという意味で加温しないと誤解する可能性がある。混同注意:Grimelius染色など、他の神経内分泌系細胞の銀染色法と混同しやすい。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、主要な組織染色法の原理、特に試薬の組成、染色手順、および特異性に関する知識が頻繁に問われます。本問のように、同じ種類の染色法(銀染色)であっても、特定の操作(加温の有無)が異なるものを識別できるかが問われることがあります。各染色法の対象組織や、その特徴的なステップを正確に理解しておくことが重要です。
混同注意
多くの銀染色法が加温を必要とするため、加温しない例外的な染色法(渡辺の鍍銀法)は記憶しにくい。PAM染色、Grocott染色、Grimelius染色、Masson-Fontana染色はすべて銀染色であり、加温を必要とすることから、区別がつきにくい。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、各染色法の『加温の有無』だけでなく、『浸銀液の種類』『還元液の種類』『検出対象』についても確認し、より詳細な知識を問われる可能性を考慮する。
関連知識
銀染色には、浸銀、還元、定着の3つの主要なステップがあります。浸銀では組織内の還元性物質が銀イオンと反応し、還元ステップで銀が金属銀として沈着し可視化されます。定着は過剰な銀を除去し、染色を安定させます。渡辺の鍍銀法以外のレチクリン染色法(例:Gordon-Sweets法)も、対象がレチクリン線維であるため比較して学ぶと良いでしょう。