腫瘍と免疫組織化学的マーカーの組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
CEA(癌胎児性抗原)は、大腸癌をはじめとする消化器系の腺癌において、免疫組織化学染色で陽性を示すことが多く、診断の補助や病変の由来を特定する際に重要なマーカーです。血清CEA値は、大腸癌の進行度や治療効果、術後再発のモニタリングにも利用されます。他の選択肢は、示された腫瘍とマーカーの組み合わせが誤っています。
選択肢ごとの解説
- 1. エストロゲン受容体(ER)は主に乳癌の診断や治療方針決定に用いられるマーカーです。肺癌においては、通常ERは免疫組織化学的マーカーとして利用されません。正しくは:乳癌とエストロゲン受容体〈ER〉、または肺癌とALK/EGFR/PD-L1などの関連マーカー。選びやすい理由:ERは非常に有名な腫瘍マーカーであるため、何らかの癌と関連があると思い込みやすいです。混同注意:肺癌には特定の分子標的薬の対象となるEGFRやALKなどのドライバー遺伝子変異がありますが、これらはERとは異なります。
- 2. CD117(c-kit)は、主に消化管間質腫瘍(GIST)の診断に重要なマーカーです。乳癌の診断マーカーとしては一般的ではありません。正しくは:消化管間質腫瘍(GIST)とCD117(c-kit)、または乳癌とHER2/ER/PgRなどのマーカー。選びやすい理由:CD117が癌の治療標的となりうる遺伝子であるため、何らかの癌に関連すると考えやすいです。混同注意:乳癌の重要な免疫組織化学マーカーであるHER2と混同しやすいかもしれません。
- 3. PSA(前立腺特異抗原)は前立腺癌の診断や経過観察に特異的に用いられるマーカーです。消化管間質腫瘍(GIST)のマーカーではありません。正しくは:前立腺癌とPSA、または消化管間質腫瘍(GIST)とCD117(c-kit)/DOG1。選びやすい理由:PSAは非常に有名な腫瘍マーカーなので、選択肢にあると注意を引きやすく、何らかの癌と関連があると誤解しやすいです。混同注意:消化管間質腫瘍(GIST)の実際の診断マーカーであるCD117(c-kit)やDOG1と混同しやすいです。
- 4. 正解。CEA(癌胎児性抗原)は、大腸癌をはじめとする腺癌で高頻度に発現する糖タンパク質であり、免疫組織化学染色によって大腸癌の診断補助や原発巣の推定に用いられます。血清CEAは術後の再発モニタリングにも広く利用されています。
- 5. AFP(α-フェトプロテイン)は、主に肝細胞癌や胚細胞腫瘍(特に卵黄嚢腫瘍)のマーカーとして用いられます。B細胞リンパ腫の免疫組織化学的マーカーではありません。正しくは:肝細胞癌や卵黄嚢腫瘍とAFP、またはB細胞リンパ腫とCD20/CD79aなどのB細胞マーカー。選びやすい理由:AFPも有名な腫瘍マーカーであるため、何らかの癌と関連すると考えやすいです。混同注意:B細胞リンパ腫の診断に用いられるCD20などの細胞表面抗原マーカーと混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、主要な癌腫とその免疫組織化学的マーカー(または血清腫瘍マーカー)の正しい組み合わせを問うものです。各マーカーがどの腫瘍に特異的か、あるいは関連が深いかを正確に理解しているかが試されます。
混同注意
各種腫瘍マーカーの名称と、それが関連する癌種との組み合わせは非常に混同しやすいです。特に、有名なマーカー(例: CEA, PSA, AFP, ER)が、本来関連しない癌腫の選択肢として提示されると誤答を選びやすくなります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合は、各選択肢の腫瘍とマーカーの組み合わせが「特異的であるか」「診断・治療に実際に用いられているか」を注意深く確認してください。特に、一般的に広く知られているが、実は別の癌種と関連が深いマーカーに注意が必要です。
関連知識
免疫組織化学染色では、特定の抗原に対する抗体を用いて組織内の抗原を可視化し、腫瘍の種類、分化度、悪性度、治療標的の発現などを評価します。これは病理診断において非常に重要な手法です。各マーカーの役割だけでなく、それが免疫組織化学で用いられるのか、血清マーカーとして用いられるのか、またはその両方であるのかを理解することも重要です。