ある疾患の罹患率を調べるために行うのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
コホート研究は、疾患のない集団を追跡調査し、時間経過とともに新たに発生する疾患の数を把握することで罹患率を直接算出できる唯一の観察研究です。そのため、特定の疾病の罹患率を調べるにはコホート研究が最も適しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 横断研究は、ある一時点での疾病の有病率や特定の要因との関連を把握するのに適していますが、新たな発症(罹患)を追跡するものではありません。正しくは:新たな疾病の発生(罹患)を追跡調査する研究手法ではないため、罹患率の算出には不向きです。有病率の算出には適しています。選びやすい理由:疾患と要因の関連性を調べる研究の一つであるため、疾患の情報を得る研究として誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:コホート研究や症例対照研究など、他の観察研究と混同しやすいです。特に、有病率と罹患率の違いを理解していないと誤解しやすいでしょう。
- 2. 介入研究は、特定の治療法や予防策の効果を評価するために、研究者が意図的に介入(例: 薬剤投与、生活指導)を行い、その結果を比較する研究です。罹患率の調査が主目的ではありません。正しくは:罹患率の算出が主目的ではなく、治療や予防の効果を評価する研究手法です。選びやすい理由:新しい治療法や予防法が疾患の発生に影響を与えるかを調べるため、結果的に罹患率の変化を観察することもありますが、それが研究の主目的ではない点を見落とすと選びやすくなります。混同注意:観察研究(横断、コホート、症例対照)とは目的やデザインが大きく異なります。ランダム化比較試験(RCT)などが代表的です。
- 3. 正解。コホート研究は、特定の集団(コホート)を追跡し、時間とともに疾病の発生(罹患)を観察する研究デザインです。疾病が発生していない対象者を長期間追跡することで、新規発症者数とその期間における集団の観察人年を基に罹患率を算出することができます。
- 4. 症例集積研究は、ある特定の疾患を持つ複数の患者の臨床的特徴や経過を記述する研究であり、発生率や罹患率を算出するものではありません。特定の疾患のまれな症状や新しい知見を発見する際に用いられます。正しくは:罹患率を算出する研究ではなく、特定の疾患を持つ患者群の臨床的特徴を詳細に記述する研究です。選びやすい理由:疾患に関する情報を集める研究であるため、疾患の発生状況を把握する研究の一つとして誤解する可能性があります。混同注意:個々の症例報告の数を増やしたものであり、集団レベルでの統計的分析を行う研究デザインとは異なります。特定の疾患の全体像を把握する疫学的な研究とは異なります。
- 5. 症例対照研究は、特定の疾患を持つ群(症例群)と持たない群(対照群)を比較し、過去の要因曝露状況を遡って調査することで、疾患と要因の関連性を調べる研究です。罹患率を直接算出することはできません。正しくは:罹患率を直接算出するものではなく、要因と疾患の関連性を過去に遡って調べる研究です。オッズ比を算出するのに適しています。選びやすい理由:疾患の原因となる要因を調べる研究であるため、疾患の発生状況と関連付けられやすいですが、罹患率そのものを測定するものではない点に注意が必要です。混同注意:コホート研究と混同されやすいですが、コホート研究は将来に向かって追跡するのに対し、症例対照研究は過去に遡って調査する点で大きく異なります。コホート研究は相対危険度を算出できる点も違いです。
国試ポイント
疫学研究の種類とそれぞれの研究デザインが何を測定できるのか(罹患率、有病率、相対危険度、オッズ比など)を正確に理解しているかが問われる問題です。特に、罹患率と有病率の違い、コホート研究と症例対照研究の区別が重要です。
混同注意
罹患率と有病率、コホート研究と症例対照研究。また、様々な疫学研究デザインの名称とその目的・測定指標。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、各疫学研究の目的と算出できる指標(例:罹患率、有病率、相対危険度、オッズ比)を問われる可能性が高いです。また、それぞれの研究デザインのメリット・デメリットや費用・期間についても理解しておく必要があります。
関連知識
疫学研究の種類(観察研究:横断研究、コホート研究、症例対照研究、症例集積研究、症例報告;介入研究:臨床試験)、罹患率と有病率の定義と計算方法、相対危険度、オッズ比。