Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhiについて正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
腸チフス菌(Salmonella Typhi)の生化学的性状に関する問題です。腸チフス菌は、一般的にラクトース非分解、インドール陰性、リジン脱炭酸陽性、オキシダーゼ陰性です。また、他のサルモネラ属菌の多くがグルコース分解によってガスを産生するのに対し、腸チフス菌はほとんどガスを産生しないという点が重要な鑑別点となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 腸チフス菌はラクトース非分解菌であり、マッコンキー寒天培地では通常、無色コロニーを形成します。正しくは:ラクトースを分解する能力はない。選びやすい理由:腸内細菌科に属するため、一般的な細菌の糖分解能と混同し、ラクトース分解菌だと思い込む可能性があります。特に大腸菌群はラクトース分解菌です。混同注意:大腸菌(Escherichia coli)など、ラクトースを分解する他の腸内細菌科の菌種。
- 2. 正解。腸チフス菌はトリプトファナーゼ酵素を持たないため、トリプトファンからインドールを生成しません。したがって、インドール試験は陰性となります。
- 3. 正解。腸チフス菌はリジン脱炭酸酵素を持っており、リジンを脱炭酸してカダベリンを生成します。これにより培地のpHが上昇し、陽性反応(培地の紫色化)を示します。
- 4. 腸チフス菌を含む腸内細菌科の菌は、チトクロムcオキシダーゼを持たないため、オキシダーゼ試験は陰性です。正しくは:オキシダーゼ試験で陰性結果が得られる。選びやすい理由:他のブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌(例:緑膿菌)がオキシダーゼ陽性であるため、混同しやすいです。混同注意:Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)などのオキシダーゼ陽性菌。
- 5. 腸チフス菌はグルコースを分解しますが、通常、ガスを産生しないか、ごく少量しか産生しません。これは他の多くのサルモネラ属菌とは異なる重要な特徴です。正しくは:TSI培地において、グルコースからのガス産生は通常認められない。選びやすい理由:多くのサルモネラ属菌や腸内細菌がグルコースからガスを産生するため、腸チフス菌もガス産生能があると誤解しやすいです。混同注意:他のサルモネラ属菌(例:S. enteritidis)や、大腸菌群などのガス産生性の腸内細菌。
国試ポイント
腸チフス菌の微生物学的性状、特に主要な生化学的検査(糖分解能、インドール、リジン脱炭酸、オキシダーゼ、ガス産生)の結果を正確に理解しているかが問われています。サルモネラ属菌の中でも腸チフス菌が持つ、他のサルモネラ属菌と異なる特徴(特にガス産生がないこと)は頻出論点です。
混同注意
他のサルモネラ属菌の性状(ガス産生性)、大腸菌などのラクトース分解性・インドール陽性菌、緑膿菌などのオキシダーゼ陽性菌と混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、腸チフス菌だけでなく、他の重要な腸内細菌(例:赤痢菌、コレラ菌、病原性大腸菌、緑膿菌など)についても、主要な生化学的性状やTSI培地での反応パターンを問われる可能性があります。これらの菌の鑑別診断に用いられる検査項目とその結果を包括的に理解しておくことが求められます。
関連知識
腸内細菌科の一般的な性状(グラム陰性桿菌、通性嫌気性、オキシダーゼ陰性)を理解しておくことが基礎となります。特に、TSI寒天培地の反応パターンや、主要な腸内細菌(大腸菌、サルモネラ、シゲラ、クレブシエラ、プロテウスなど)の生化学的性状を比較して覚えることが重要です。腸チフスの病原性(ヒト特異的、経口感染、全身性感染)も関連知識として重要です。