放射線に対する組織・臓器の相対的な感受性(組織加重係数)が最も小さいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
放射線に対する組織・臓器の感受性を示す組織加重係数は、その組織の細胞分裂の活発さや、被曝による確率的影響(がんや遺伝的影響)の発生リスクを考慮して定められています。脳は成熟した神経細胞が主体で細胞分裂がほとんど行われないため、放射線感受性が最も低く、組織加重係数は0.01とされています。他の選択肢の臓器はいずれも、脳と比較して放射線感受性が高く、組織加重係数も大きい値が設定されています。
選択肢ごとの解説
- 1. 胃は消化管の一部であり、放射線感受性は中程度から高程度です。特に粘膜上皮細胞は細胞分裂が活発なため、放射線の影響を受けやすい組織です。正しくは:胃は放射線感受性が比較的高いため、組織加重係数は低くありません。選びやすい理由:消化器系の臓器は広範囲にわたるため、感受性が低いと誤解される可能性もありますが、細胞の代謝回転が速い組織は感受性が高いです。混同注意:胃の組織加重係数は0.12とされており、脳の0.01と比較すると高い値です。
- 2. 正解。脳は成熟した神経細胞が主体であり、細胞分裂がほとんど行われません。そのため、放射線感受性が非常に低い組織であり、組織加重係数も他の臓器に比べて最も小さいです。組織加重係数は0.01です。
- 3. 骨髄は造血幹細胞が存在し、活発な細胞分裂が行われているため、放射線感受性が極めて高い組織です。組織加重係数は0.12とされており、これは脳の12倍に相当します。正しくは:骨髄は放射線感受性が非常に高いため、組織加重係数は低くありません。選びやすい理由:骨髄は身体の深部にあり、直接的な被曝が少ないと誤解されるかもしれませんが、その感受性は非常に重要です。混同注意:骨髄は全身に分布し、血液細胞を常に産生しているため、放射線被曝による影響を強く受けます。
- 4. 乳房、特に若い女性の乳腺組織は放射線感受性が比較的高く、乳がんのリスク因子として知られています。組織加重係数は0.12です。正しくは:乳房は放射線感受性が比較的高いため、組織加重係数は低くありません。選びやすい理由:乳房は体表に近い位置にあるため、被曝しやすく、その感受性は低く見積もられがちですが、実際は中程度の感受性を示します。混同注意:乳房の組織加重係数0.12は、胃や骨髄と同じ値であり、脳の0.01と比較すると高いです。
- 5. 甲状腺は放射線感受性が比較的高い組織です。特に小児期の甲状腺は感受性が高く、被曝により甲状腺がんのリスクが増加することが知られています。組織加重係数は0.04です。正しくは:甲状腺は放射線感受性が比較的高いため、組織加重係数は低くありません。選びやすい理由:甲状腺は比較的小さな臓器ですが、その感受性は低くありません。特に内部被曝の場合には感受性が高いです。混同注意:甲状腺の組織加重係数0.04は、脳の0.01よりは高い値です。
国試ポイント
組織加重係数は、放射線防護の観点から各組織・臓器が全身被曝に対してどれだけの寄与を持つかを示す重要な指標です。放射線感受性の高い組織(例:骨髄、生殖腺)と低い組織(例:脳、骨、筋肉)を明確に区別して覚えることが求められます。
混同注意
放射線感受性と組織加重係数の具体的な数値が混同されやすい。特に胃、乳房、骨髄の組織加重係数は0.12と同じであり、甲状腺の0.04も脳以外の中間的な値として混乱を招く可能性がある。それぞれの臓器の細胞の特性(細胞分裂の活発さなど)を理解することが重要。
次に同じ論点が出たら
この問題で正答できなかった場合、各組織・臓器の放射線感受性の特徴と、組織加重係数の具体的な値を関連付けて記憶する必要があります。特に細胞分裂の活発さと感受性の関係性を理解し、主要な臓器の係数を暗記することが次のステップです。
関連知識
放射線防護の基本原則(正当化、最適化、線量限度)、等価線量、実効線量。特に実効線量を算出する際に組織加重係数が用いられる。また、決定論的影響と確率的影響の違い、およびそれぞれの線量反応曲線についても関連知識として押さえておくべきです。