インスリンの分泌を抑制するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ソマトスタチンは膵臓のδ細胞から分泌され、インスリン(β細胞)とグルカゴン(α細胞)の両方の分泌を抑制する作用を持つペプチドホルモンです。この抑制作用は、食後の栄養素吸収に伴う血糖値変動が過度になるのを防ぎ、血糖値の安定化に寄与しています。また、下垂体からの成長ホルモン分泌抑制作用など、全身の様々なホルモン分泌にも影響を与えます。
選択肢ごとの解説
- 1. アミノ酸は、特にタンパク質を摂取した後、膵臓のβ細胞を刺激してインスリン分泌を促進します。これは血糖値の調節だけでなく、タンパク質合成にも関与します。正しくは:インスリン分泌を促進する。選びやすい理由:血糖値に直接的に関わるグルコースほど強調されないため、抑制因子ではないかと誤解されることがあります。混同注意:インスリン分泌の主要な刺激因子がグルコースであるため、アミノ酸の役割が過小評価され、抑制因子と勘違いされることがあります。
- 2. グルカゴンは主に肝臓に作用して血糖値を上昇させるホルモンですが、膵臓のβ細胞に直接作用してインスリン分泌を促進する作用も持っています。これは血糖値が急激に上昇しすぎるのを防ぐためのフィードバック機構の一部と考えられています。正しくは:インスリン分泌を促進する作用も持つ(ただし、主作用は血糖値上昇)。選びやすい理由:グルカゴンとインスリンは血糖調節において拮抗するホルモンであるため、インスリン分泌を抑制すると誤解されやすいです。混同注意:血糖値に対する主要な作用(上昇)と、膵臓β細胞への直接的な作用(インスリン分泌促進)を混同することがあります。
- 3. 血糖値の上昇、特に食後のグルコース濃度の増加は、インスリン分泌の最も強力な生理的促進因子です。これにより、血液中のグルコースが細胞に取り込まれ、血糖値が正常範囲に保たれます。正しくは:インスリン分泌を最も強力に促進する。選びやすい理由:高血糖がインスリン抵抗性などの病態につながるため、間接的に抑制的なイメージを持つことがありますが、短期的な生理的反応としては促進因子です。混同注意:糖尿病におけるインスリン抵抗性や分泌不全といった病態と、正常な生理的調節メカニズムを混同することがあります。
- 4. インクレチン(GLP-1やGIPなど)は、消化管から分泌されるホルモンで、食後の血糖上昇に応じて膵臓からのインスリン分泌を増強する作用があります。これは血糖値依存的に作用し、食後高血糖を抑える重要な役割を担っています。正しくは:インスリン分泌を(グルコース依存的に)促進する。選びやすい理由:インクレチン関連薬が糖尿病治療に用いられるため、その複雑な作用機序から、抑制作用があると誤解されることがあります。混同注意:インクレチンのグルコース依存的なインスリン分泌促進作用と、インスリンの直接的な血糖降下作用を混同することがあります。
- 5. 正解。ソマトスタチンは、膵臓のδ細胞から分泌されるホルモンで、膵臓内のα細胞(グルカゴン分泌)とβ細胞(インスリン分泌)の両方に傍分泌的に作用し、これら二つのホルモンの分泌を抑制します。また、消化管や下垂体からも分泌され、多様なホルモン分泌を抑制する働きがあります。
国試ポイント
インスリン分泌の生理的調節において、その促進因子だけでなく、抑制因子についても正確な知識が問われます。特に、膵臓の内分泌細胞が分泌するホルモンとその相互作用を理解しているかが重要です。
混同注意
インスリン分泌促進因子(グルコース、アミノ酸、インクレチン、グルカゴン)と抑制因子(ソマトスタチン、カテコールアミンなど)を混同しやすいです。特に、グルカゴンは血糖値を上昇させるため、インスリンと拮抗するイメージからインスリン分泌を抑制すると誤解されがちですが、直接的には促進作用も持ちます。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合は、各ホルモンがどの臓器のどの細胞から分泌されるか、標的細胞はどこか、そしてその結果として具体的にどのような生理作用をもたらすのか(特にインスリン分泌への影響が促進か抑制か)を注意深く確認する必要があります。
関連知識
膵臓の内分泌機能(ランゲルハンス島におけるα細胞、β細胞、δ細胞、PP細胞のそれぞれの役割と分泌ホルモン)、血糖調節ホルモン(インスリン、グルカゴン、インクレチン、カテコールアミン、コルチゾール、成長ホルモンなど)の作用機序と相互関係、消化管ホルモン(GLP-1, GIP)の作用。