腸管感染症患者の下痢便のGram染色標本(別冊No. 12)を別に示す。矢印で示すのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下痢便のグラム染色で観察される、特徴的なコンマ状、S字状、またはらせん状のグラム陰性桿菌は、Campylobacter jejuniに典型的です。これはカンピロバクター腸炎の診断において重要な所見の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. Aeromonas hydrophilaはグラム陰性桿菌ですが、一般的には画像のようなコンマ状やS字状の形態は示しません。正しくは:グラム陰性桿菌であり、一般細菌培地で増殖します。形態は画像のものとは異なります。選びやすい理由:腸管感染症の原因菌であるため、選択肢として考慮される可能性があります。混同注意:他のグラム陰性腸管病原菌と混同しやすいかもしれません。
- 2. 正解。Campylobacter jejuniは、特徴的なコンマ状、S字状、またはらせん状のグラム陰性桿菌であり、腸管感染症の下痢便のグラム染色でよく観察される形態です。画像に示されている矢印の先の微生物は、この特徴的な形態に合致します。選びやすい理由:グラム染色像が非常に特徴的であるため、正しい選択肢として認識しやすいです。
- 3. Helicobacter pyloriもらせん状のグラム陰性桿菌ですが、主に胃に生息し、下痢便から検出されることは稀です。また、この問題は腸管感染症患者の下痢便からの検体であるため、可能性は低いです。正しくは:Helicobacter pyloriはらせん状グラム陰性桿菌ですが、胃炎や胃潰瘍の原因菌であり、下痢便からは通常検出されません。選びやすい理由:らせん状の形態を持つグラム陰性菌であるため、形態のみで判断すると混同する可能性があります。混同注意:Campylobacter jejuniと同様にらせん状の形態を持つため、生息部位や検出検体の違いを認識していないと混同しやすいです。
- 4. Vibrio parahaemolyticusはグラム陰性の短桿菌またはコンマ状桿菌ですが、C. jejuniほどS字状やらせん状の特徴が顕著ではありません。画像で矢印が示す微生物の形態は、より典型的なC. jejuniの形態に近いです。正しくは:グラム陰性の短桿菌で、コンマ状を示すこともありますが、画像のような特徴的なS字状やらせん状はあまり見られません。選びやすい理由:腸管感染症の原因菌であり、コンマ状の形態を示すことがあるため、形態で混同する可能性があります。混同注意:コンマ状という点でCampylobacter jejuniと形態が似ている部分があるため、区別がつきにくい場合があります。
- 5. Yersinia enterocoliticaはグラム陰性桿菌ですが、画像のようなコンマ状やS字状の形態は示しません。卵円形の短桿菌として観察されることが多いです。正しくは:グラム陰性短桿菌で、低温でも増殖する特徴があります。形態は画像のものとは異なります。選びやすい理由:腸管感染症の原因菌であるため、選択肢として考慮される可能性があります。混同注意:他のグラム陰性腸管病原菌と混同しやすいかもしれません。
国試ポイント
カンピロバクター腸炎におけるCampylobacter jejuniのグラム染色像の形態的特徴を理解しているか問う問題です。他の腸管病原菌の形態との鑑別が重要となります。
混同注意
Helicobacter pyloriもらせん状ですが、検出部位が異なります。Vibrio属の一部もコンマ状を呈しますが、S字状やらせん状の明瞭な形態はC. jejuniがより特徴的です。
次に同じ論点が出たら
グラム染色像の形態特徴だけでなく、培養条件(微好気性、高温、選択培地など)、生化学的性状、主な感染源、検出される検体といった鑑別ポイントを総合的に判断できるようになる必要があります。
関連知識
Campylobacter jejuniは微好気性・高温菌で、選択培地としてCCDA培地などが用いられます。食中毒の原因菌としても重要です。Helicobacter pyloriはウレアーゼ活性を持ち、胃の粘膜に生息します。Vibrio parahaemolyticusは好塩菌で、食中毒の原因となります。Yersinia enterocoliticaは低温増殖性があり、豚肉を介した感染が多いです。