造血幹細胞移植の提供者に行うべき検査はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2番
解説
造血幹細胞移植のドナー選択においては、レシピエントとのHLA適合性が拒絶反応のリスクに直結するため、HLA検査が必須です。また、HIVやHTLV-1などのウイルス感染症がレシピエントへ伝播するのを防ぐため、ドナーの感染症スクリーニング(HIV抗体検査など)も極めて重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。造血幹細胞移植では、レシピエント(患者)とドナーのHLA型の一致度が移植の成功に極めて重要であるため、HLA検査は必須です。これにより拒絶反応のリスクを低減します。
- 2. 正解。HIVなどの感染症は、ドナーからレシピエントへ移行する可能性があるため、移植前にドナーの感染症スクリーニングが不可欠です。HIV感染が判明したドナーからの移植は原則として行われません。
- 3. 不規則抗体検査は、輸血時の溶血反応リスクを評価するための検査であり、造血幹細胞移植におけるドナーの必須検査ではありません。赤血球の抗体産生に関する検査です。正しくは:不規則抗体検査は、輸血時の交差適合試験などで重要ですが、造血幹細胞移植のドナー選択における必須項目ではありません。選びやすい理由:血液関連の検査であるため、関連性があるように見えるかもしれませんが、移植そのものの適合性や感染症スクリーニングとは目的が異なります。混同注意:主要な血液型(ABO型)の適合は重要ですが、不規則抗体検査は通常、輸血前に行われる詳細な検査です。移植後の赤血球系の回復後に必要になる可能性はありますが、移植前のドナー選択の必須項目ではありません。
- 4. 単球貪食能試験は、単球の異物排除能力を評価する検査で、主に免疫機能不全の診断に用いられます。造血幹細胞移植のドナー選択において、通常は必須の検査ではありません。正しくは:単球貪食能試験は、特定の免疫疾患や感染症の診断に用いられる特殊な検査であり、ドナーの適格性を判断する一般的な項目ではありません。選びやすい理由:免疫機能に関連する検査であるため、移植後の免疫再構築を考慮すると関連性があるように見えるかもしれませんが、ドナーの選択基準としては直接的ではありません。混同注意:リンパ球サブセット検査やNK細胞活性などのより一般的な免疫機能評価と混同される可能性がありますが、貪食能はドナーの必須評価項目ではありません。
- 5. リンパ球サブセット検査は、リンパ球の種類と比率を分析する検査で、自己免疫疾患や免疫不全症の診断、治療効果判定に用いられます。ドナーの造血幹細胞の能力を直接評価するものではなく、造血幹細胞移植のドナー選択の必須項目ではありません。正しくは:リンパ球サブセット検査は、レシピエントの免疫状態を評価したり、移植後の免疫再構築のモニタリングに用いられますが、ドナーの必須検査ではありません。選びやすい理由:免疫細胞に関連する検査であるため、移植後の免疫機能に関連するように見えるかもしれませんが、ドナーの健康状態や移植の適合性を判断する直接的な指標ではありません。混同注意:HLA検査は主要な組織適合性抗原の検査であり、リンパ球の型を調べるものですが、リンパ球サブセット検査はリンパ球の機能的分類を見るもので、目的が異なります。
国試ポイント
造血幹細胞移植におけるドナー検査の必須項目について問う問題です。特にHLA適合性と感染症スクリーニングの重要性を理解しているかを確認しています。
混同注意
他の一般的な血液検査や免疫検査と混同しやすいですが、造血幹細胞移植という特殊な医療行為においてドナーに特異的に求められる検査項目を正確に把握する必要があります。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、ドナー側の検査項目だけでなく、レシピエント側の検査項目や、移植後のモニタリング検査についても知識を問われる可能性があります。また、HLAの具体的な役割やGVHDのメカニズムも問われるかもしれません。
関連知識
造血幹細胞移植の適応疾患、移植の種類(自家、同種)、GVHD(移植片対宿主病)、移植前処置、移植後の合併症(感染症、免疫不全)など。