喀痰のGram染色で染まりにくいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
レジオネラ・ニューモフィラは、グラム陰性桿菌ですが、細胞壁に特徴的な脂質組成を持つため、グラム染色ではほとんど染まりません。通常の喀痰検体のグラム染色で検出することは非常に困難であり、疑われる場合には蛍光抗体法や特殊染色(ギメネス染色など)を用いるか、培養やPCR法などの分子生物学的検査が必要となります。他の選択肢の菌種は、グラム染色で比較的容易に染まるため、喀痰検体の直接鏡検で形態学的に確認することが可能です。
選択肢ごとの解説
- 1. グラム陰性の球桿菌であり、グラム染色で容易に染まり、特徴的な形態が観察できます。正しくは:グラム染色で容易に染まるため、鑑別に有用です。選びやすい理由:呼吸器感染症の起因菌として有名であるため、知識の混乱があると誤って選ぶ可能性があります。混同注意:他のグラム陰性菌との形態的な違いや、グラム染色で染まりにくいという誤解から選ばれる可能性があります。
- 2. グラム陰性の桿菌であり、グラム染色で容易に染まり、莢膜を持つため菌体周囲に透明なハローが見えることがあります。正しくは:グラム染色で容易に染まるため、鑑別に有用です。選びやすい理由:やはり呼吸器感染症の起因菌であり、グラム陰性菌であることから、染まりにくいと誤解する可能性があります。混同注意:グラム陰性桿菌は種類が多く、それぞれの染色性について正確な知識がないと混乱するかもしれません。
- 3. 正解。レジオネラ菌はグラム陰性桿菌ですが、細胞壁の脂質含量が高く、グラム染色液が細胞内に浸透しにくいため、通常の方法ではほとんど染まりません。そのため、臨床検体からの直接鏡検では検出が困難とされています。
- 4. グラム陰性の双球菌であり、グラム染色で容易に染まり、しばしば腎臓型やコーヒー豆型として観察されます。正しくは:グラム染色で容易に染まるため、鑑別に有用です。選びやすい理由:グラム陰性菌であるため、グラム染色の染まりやすさに疑問を持つかもしれませんが、実際にはよく染まります。混同注意:グラム陰性球菌の中には、病原性が高く迅速な診断が求められるもの(例:淋菌、髄膜炎菌)があり、これらと同様にグラム染色で速やかに確認されます。染まりにくい菌と混同されることは少ないでしょう。
- 5. グラム陽性の双球菌または短連鎖球菌であり、グラム染色で明確に青紫色に染まります。莢膜を持つため、周囲にハローが見られることもあります。正しくは:グラム染色で容易に染まるため、鑑別に有用です。選びやすい理由:グラム陽性菌は一般的にグラム染色でよく染まるため、この選択肢は比較的選びにくいかもしれません。しかし、知識が不確かな場合は誤る可能性もあります。混同注意:同じ肺炎の原因菌である他のグラム陰性菌と染色性を混同することはありませんが、莢膜の有無や形態(連鎖状か双球菌か)といった特徴を曖昧に覚えていると鑑別を誤るかもしれません。
国試ポイント
グラム染色で容易に染まる菌種と、染まりにくい菌種(あるいは特殊な染色を必要とする菌種)を区別できるかが問われています。特に、呼吸器感染症の主要な原因菌について、それぞれのグラム染色での特徴を正確に理解しておくことが重要です。
混同注意
グラム陰性桿菌の中には様々な種類があり、グラム染色でよく染まるものと染まりにくいものが存在します。レジオネラ菌の他に、マイコバクテリウム属(抗酸菌)やスピロヘータなどもグラム染色では染まりにくい・染まらない菌として有名です。これら特殊な染色性を知っておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
この論点が出題された場合、次に確認すべきは、グラム染色で染まりにくい・染まらない他の代表的な病原体(例:抗酸菌、マイコプラズマ、クラミジア、スピロヘータ、リケッチアなど)や、それらの診断に用いられる特殊な染色法や検査法(例:チール・ネルゼン染色、DNAプローブ法、蛍光抗体法など)です。また、主要なグラム陽性菌と陰性菌のそれぞれの形態(球菌、桿菌、連鎖、ブドウ状など)と代表菌種についても復習しましょう。
関連知識
グラム染色の原理(細胞壁の構造の違いに基づく染色の差)、グラム陽性菌とグラム陰性菌の代表的な種類、それぞれの菌種の形態的特徴、喀痰検体における主要な呼吸器病原菌の鑑別診断、レジオネラ症の診断法(尿中抗原検査、PCR、培養、血清抗体検査など)。