5%炭酸ガス培養下のヒツジ血液寒天培地に発育するのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4・5番
解説
Moraxella catarrhalisとStreptococcus pneumoniaeは、ヒツジ血液寒天培地で発育可能であり、かつ炭酸ガス培養(CO2エンリッチ環境)で増殖が促進されるか、あるいは必須であるカプノフィルス菌である。他の選択肢の菌種は、それぞれ嫌気条件(Fusobacterium nucleatum)、特殊な栄養因子(Haemophilus influenzae)、または特殊培地(Legionella pneumophila)を必要とするため、この条件では良好に発育しない。
選択肢ごとの解説
- 1. 本菌は厳密な嫌気性菌であり、炭酸ガス培養下ではなく、酸素のない嫌気条件下で発育する。炭酸ガスは嫌気培養環境にも含まれるが、本培養条件(CO2エンリッチのみで嫌気でない)では発育は困難である。正しくは:嫌気培養下で発育する。選びやすい理由:炭酸ガスが嫌気培養の環境因子の一部であると誤解されやすい。混同注意:炭酸ガス培養(capnophilic)と嫌気培養(anaerobic)の条件を混同しやすい。
- 2. 本菌はヒツジ血液寒天培地では発育に必要なX因子(ヘミン)とV因子(NAD)が供給されないため、通常は発育しない。これらの因子はチョコレート寒天培地によって供給される。ただし、V因子を産生する他の菌種(例:ブドウ球菌)が共存する場合は、その周囲で発育するサテライト現象を示すことがある。正しくは:チョコレート寒天培地で発育する。選びやすい理由:炭酸ガス培養を好むカプノフィルス菌であるため、培養条件の一部は合致している。混同注意:培地の種類(血液寒天 vs. チョコレート寒天)とガス環境(好気 vs. 炭酸ガス vs. 嫌気)による増殖要件を混同しやすい。
- 3. 本菌はヒツジ血液寒天培地では発育せず、特別なBCYE(Buffered Charcoal Yeast Extract)培地を必要とする。BCYE培地は、本菌の増殖に必要なL-システインや鉄塩などが添加されている。正しくは:BCYE培地で発育する。選びやすい理由:炭酸ガス培養を好む菌種であり、その点では条件に合致している。混同注意:特殊な培地を必要とする菌種と、一般的な培地で発育する菌種を混同しやすい。
- 4. 正解。本菌は通性嫌気性菌(または好気性菌)であり、ヒツジ血液寒天培地で良好に発育する。多くの株は炭酸ガス培養下で増殖が促進される。コロニーは通常、灰白色で、培地上で動かすと滑るような「ホッケーパック現象」を示すことがある。
- 5. 正解。肺炎球菌はヒツジ血液寒天培地で特徴的なα溶血(緑色溶血)を示して発育する。また、増殖には炭酸ガス培養下(5-10% CO2)が必須、または増殖が著しく促進される代表的なカプノフィルス菌である。
国試ポイント
細菌の培養条件(培地の選択とガス環境)に関する知識が問われている。特に、一般的に用いられるヒツジ血液寒天培地での発育性、および炭酸ガス培養を好むカプノフィルス菌の同定が重要となる。
混同注意
炭酸ガス培養を好む菌(カプノフィルス菌)と、嫌気培養が必要な菌、特定の栄養因子や特殊培地を必要とする菌との区別が曖昧になりやすい。Haemophilus属やLegionella属は炭酸ガス培養を好むが、培地条件が異なる点が混同されやすい。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、特定の菌種について、血液寒天培地での溶血性、コロニー形態、特殊な栄養要求因子、またはさらに詳細なガス環境(微好気、嫌気など)の組み合わせが問われる可能性がある。
関連知識
カプノフィルス菌には、Streptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae, Neisseria属などがあるが、それぞれ発育に最適な培地が異なることを理解しておく必要がある。また、血液寒天培地での溶血性(α, β, γ)も関連知識として重要である。