DNAの増幅に用いられるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
DNAの増幅に特化した最も代表的な技術はPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)であり、その反応を自動で繰り返し実行するために使用されるのがサーマルサイクラーです。各選択肢の装置の主な用途を理解することが重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。サーマルサイクラーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において、DNAの変性、アニーリング、伸長の3つのステップを繰り返すために必要な温度変化を自動で行う装置であり、DNA増幅に不可欠です。
- 2. フローサイトメーターは、細胞を一つずつ流しながらレーザーを照射し、散乱光や蛍光を検出することで、細胞の数や種類、表面抗原などの特性を解析する装置です。DNA増幅には直接使用されません。正しくは:フローサイトメーターは、細胞の計数、分類、特定の細胞マーカーの検出などに用いられます。選びやすい理由:生物学的試料を扱う機器という点で共通しているため、漠然とした知識だと混同する可能性があります。混同注意:PCR装置と細胞解析装置
- 3. キャピラリー電気泳動装置は、細い管(キャピラリー)内で電気泳動を行い、DNA断片、タンパク質、アミノ酸などを高分離能で分離・解析する装置です。DNAの増幅自体を行うものではありません。正しくは:キャピラリー電気泳動装置は、増幅されたDNA断片の長さや量、シーケンスの確認などに用いられます。選びやすい理由:DNAの分析に用いられるため、DNA増幅と関連があるように思えます。混同注意:PCR装置とDNA断片解析装置
- 4. 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置は、液体サンプル中の様々な成分を分離、精製、定量するために用いられる分析機器です。DNA増幅には関連しません。正しくは:高速液体クロマトグラフィー装置は、医薬品、食品、環境試料などの化学物質の分析に広く用いられます。選びやすい理由:分析化学の分野で広く使われるため、検査技師の業務と関連があるように感じられます。混同注意:核酸分析装置と一般的な化学物質分析装置
- 5. パルスフィールド電気泳動(PFGE)装置は、非常に大きなDNA分子を分離するために、電場の向きを周期的に切り替えながら電気泳動を行う特殊な装置です。DNAの増幅を行う機能はありません。正しくは:パルスフィールド電気泳動装置は、細菌のゲノム解析や遺伝子マップ作成など、大規模なDNA断片の分離に用いられます。選びやすい理由:電気泳動装置の一種であり、DNAを扱うため、DNA増幅と関連があるように思えます。混同注意:一般的な電気泳動装置(DNA断片の分離)とPCR装置(DNAの増幅)
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、主要な検査法や分析機器の名称とその基本的な原理・用途に関する知識が頻繁に問われます。特に、分子生物学的検査に関連する機器は重要度が高いです。この問題は、DNA増幅というキーワードから、それに直結する機器を選び出す能力を評価しています。
混同注意
DNAを「扱う」様々な装置(例:電気泳動装置)と、DNAを「増幅する」装置(サーマルサイクラー)の区別が曖昧だと誤答しやすい。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、分子生物学的検査の各ステップ(DNA抽出、増幅、精製、検出、解析)で用いられる主要な機器と、その機器が何の目的で使われるのかを判断できるかを確認します。
関連知識
PCRの原理(変性、アニーリング、伸長)、各工程の温度条件、必要な試薬(Taqポリメラーゼ、プライマー、dNTPs、鋳型DNA)、フローサイトメーターの基本原理(散乱光、蛍光)、各種電気泳動(アガロースゲル、ポリアクリルアミドゲル、キャピラリー、パルスフィールド)の用途と分離原理、高速液体クロマトグラフィーの原理。