標準予防策に追加の感染予防策が必要な感染症はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)によって引き起こされ、このウイルスは空気感染(飛沫核感染)および接触感染の経路で伝播します。特に、発疹が広範囲に及ぶ播種性帯状疱疹の患者や免疫不全状態の患者では、厳重な空気感染予防策(陰圧室への隔離など)と接触感染予防策が必要となります。これに対し、他の選択肢に挙げられている感染症(梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV感染症)は、主に血液や体液を介して感染するため、手洗い、手袋、個人防護具の着用などの標準予防策を徹底することで感染を予防できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 梅毒は主に性行為によって感染しますが、血液を介した感染も起こり得ます。これらの感染経路に対しては、適切な手洗いや個人防護具(手袋など)の着用といった標準予防策で十分な感染予防が可能です。正しくは:梅毒に対しては標準予防策が適用されます。選びやすい理由:疾患の重症度や社会的な影響から、特別な予防策が必要だと誤解されやすいですが、感染経路が限定的であるため標準予防策で対応可能です。混同注意:血液や体液を介する感染症すべてに追加の感染経路別予防策が必要だと混同しやすいです。
- 2. B型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染します。医療現場においては、針刺し事故防止策を含め、標準予防策を徹底することで感染リスクを大幅に低減できます。空気感染や飛沫感染の経路がないため、追加の感染経路別予防策は通常不要です。正しくは:B型肝炎に対しては標準予防策が適用されます。選びやすい理由:血液媒介感染症の中でも特に感染力が強い部類に入るため、標準予防策だけでは不十分だと考えがちですが、感染経路が限定的であるため標準予防策で対応可能です。混同注意:空気感染や飛沫感染を伴う他の感染症と混同し、血液媒介でも追加策が必要だと誤解しやすいです。
- 3. C型肝炎ウイルスもB型肝炎ウイルスと同様に、主に血液を介して感染します。医療現場では標準予防策の遵守が最も重要であり、追加の感染経路別予防策は一般的ではありません。正しくは:C型肝炎に対しては標準予防策が適用されます。選びやすい理由:B型肝炎と同様に重篤な肝疾患を引き起こすため、より厳重な対策が必要だと誤解する可能性がありますが、標準予防策で対応可能です。混同注意:疾患の重症度と感染経路別予防策の必要性を混同しやすいです。
- 4. 正解。帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって引き起こされます。このウイルスは空気感染(飛沫核感染)および接触感染の経路で伝播する可能性があるため、標準予防策に加え、空気感染予防策と接触感染予防策が必要となります。特に、発疹が広範囲に及ぶ播種性帯状疱疹や免疫不全患者では厳重な対策が求められます。
- 5. HIVは主に血液、精液、膣分泌液、母乳などを介して感染します。医療現場では、血液や体液への曝露を防ぐための標準予防策を厳守することで、感染拡大を効果的に防ぐことができます。空気感染や飛沫感染の経路がないため、追加の感染経路別予防策は不要です。正しくは:HIV感染症に対しては標準予防策が適用されます。選びやすい理由:重大な疾患であり、かつ免疫不全を引き起こすため、非常に厳重な予防策が必要だと考えやすいですが、感染経路が限定的であるため標準予防策で対応可能です。混同注意:疾患の病態(免疫不全)と感染経路別予防策の必要性を混同しやすいです。
国試ポイント
医療現場における感染予防策の基本原則、特に「標準予防策」と「感染経路別予防策(空気感染、飛沫感染、接触感染)」の区別と、それぞれの予防策が必要な代表的な感染症を正確に理解しているかが問われます。疾患の重症度と必要な予防策のレベルを混同しないことが重要です。
混同注意
感染症の重症度や社会的な影響が大きい疾患(B型肝炎、C型肝炎、HIV感染症など)は、標準予防策だけでは不十分で追加の予防策が必要だと誤解されやすいです。また、感染経路が限定的であるにもかかわらず、空気感染や飛沫感染を伴う疾患と同様の対応が必要だと混同することもあります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合は、まず提示された感染症の主要な感染経路を特定します。次に、その感染経路が標準予防策でカバーできる範囲内か、それとも空気、飛沫、接触といった特定の経路別予防策が必要かを確認します。特に空気感染・飛沫感染する疾患や、接触による伝播力が強い疾患に注意して判断しましょう。また、患者の免疫状態や発疹の有無(播種性か局所性か)によって、予防策の厳重度が変わる場合があることにも留意してください。
関連知識
・標準予防策 (Standard Precautions): すべての患者に適用される基本的な感染予防策。血液、体液、分泌物、排泄物、損傷のある皮膚、粘膜を感染源として扱い、手洗い、手袋・個人防護具(マスク、ガウン、ゴーグルなど)の着用、使用器具の適切な処理、リネン類の取り扱いなどを徹底します。・感染経路別予防策 (Transmission-Based Precautions): 標準予防策に加えて、特定の感染経路を持つ患者に適用される追加の予防策です。空気感染予防策:結核、麻疹、水痘、播種性帯状疱疹など。飛沫感染予防策:インフルエンザ、風疹、流行性耳下腺炎など。接触感染予防策:MRSA、VRE、クロストリディオイデス・ディフィシル感染症、疥癬、帯状疱疹(発疹のある期間)など。・帯状疱疹は水痘と同じウイルスによるため、空気感染と接触感染の両方に対応する予防策が必要です。