培養検査で検出された細菌が起炎菌である可能性の最も高い検体はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
髄液は通常、無菌であるべき体液であり、細菌が検出された場合は高い確率で感染症の起炎菌と判断されます。他の検体(便、喀痰、自然尿、鼻咽頭粘液)は、それぞれ常在菌が存在する部位からの検体であるため、単に細菌が検出されただけでは起炎菌であると断定することは難しく、臨床症状や他の検査結果、定量的な評価などを総合して判断する必要があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 便には、通常、多種多様な常在菌(腸内細菌叢)が豊富に存在します。培養で細菌が検出されても、それが必ずしも病原体であるとは限りません。病原菌の有無を判断するには、特定の菌種の同定や、臨床症状、他の検査結果との総合的な判断が必要です。正しくは:便中の特定の病原菌(サルモネラ、赤痢菌など)を分離培養し、毒素産生性などの病原性因子を確認することで、起炎菌である可能性が高まります。選びやすい理由:下痢などの感染症では便培養が重要な検査であるため、選びやすいですが、常在菌との鑑別が必要です。混同注意:健常な腸管に存在する常在菌と、感染症を引き起こす病原菌の区別。
- 2. 喀痰は、口腔や咽頭を経由して排出されるため、これらの部位の常在菌(口腔常在菌、咽頭常在菌)が混入しやすい検体です。単に細菌が検出されただけでは、それが気道感染の起炎菌であると断定することは困難です。通常、グラム染色での観察(好中球と菌の関係)、あるいは定量培養や臨床症状との組み合わせで判断します。正しくは:喀痰の場合、グラム染色で多数の好中球と特定の形態の菌が優位に認められ、かつその菌が純培養で検出される場合に、起炎菌の可能性が高まります。また、気管支鏡下検体(気管支肺胞洗浄液など)は、より汚染が少なく信頼性が高いです。選びやすい理由:肺炎や気管支炎など、呼吸器感染症の診断に不可欠な検体であるため、選びやすいです。混同注意:口腔・咽頭の常在菌による混入と、下気道の真の感染源である菌の区別。
- 3. 正解。髄液(脳脊髄液)は、通常は無菌状態であるべき体液です。健康な人の髄液からは細菌は検出されません。そのため、培養検査で細菌が検出された場合、それがどのような菌であっても、高い確率で髄膜炎などの感染症の起炎菌であると判断されます。
- 4. 自然排尿で採取された尿検体は、尿道口や外陰部の常在菌によって汚染されやすいです。そのため、培養で細菌が検出されても、それが尿路感染症の起炎菌であるかどうかは、菌の種類、菌数(定量培養)、および臨床症状を総合的に考慮して判断する必要があります。一般的に、ある程度の菌数(例: 10^5 CFU/mL以上)が認められた場合に意義があるとされます。正しくは:尿中の細菌が起炎菌であると判断するには、定量培養で一定以上の菌数が検出されること、または導尿や膀胱穿刺による採尿で菌が検出されることが重要です。選びやすい理由:尿路感染症は非常に一般的な感染症であり、尿培養が頻繁に行われるため、選びやすいです。混同注意:尿路の常在菌による汚染と、膀胱や腎盂の真の感染源である菌の区別。定量培養の意義。
- 5. 鼻咽頭は、健常な人でも多くの種類の細菌が常在しています(鼻咽頭常在菌叢)。インフルエンザ菌や肺炎球菌などの特定の菌種も、病原体として感染症を引き起こす一方で、無症状の人の鼻咽頭に常在菌として存在することが知られています。したがって、培養で細菌が検出されただけでは、直ちに起炎菌とは判断できません。正しくは:鼻咽頭粘液中の菌が起炎菌であるかどうかの判断には、臨床症状との一致、菌の量的評価、あるいは特定の病原性因子の有無の確認が必要です。選びやすい理由:上気道感染症や呼吸器感染症の診断で鼻咽頭検体が用いられるため、選びやすいです。混同注意:キャリア状態(保菌者)と、実際の感染症発症時の病原菌の区別。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、検体の採取部位とその部位の常在菌の有無、および培養結果の解釈に関する基本的な知識が問われます。特に、無菌部位から採取された検体での細菌検出の意義と、常在菌が存在する部位での細菌検出の解釈の違いを理解しているかが重要です。
混同注意
各検体における「常在菌による汚染」と「真の起炎菌」の区別が曖昧になりやすい。特に、尿や喀痰のように日常的に検査される検体で、単に菌が検出されただけで感染と誤解する可能性があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題される場合、無菌部位とされる他の検体(血液、胸水など)や、採材方法によって信頼性が変わる検体(導尿と自然尿など)での培養結果の解釈が問われる可能性があります。
関連知識
無菌部位(血液、髄液、胸水、腹水など)と非無菌部位(便、尿、喀痰、咽頭、皮膚など)の区別。各部位の主要な常在菌叢。尿路感染症における定量培養の意義。グラム染色と培養結果の組み合わせによる解釈。