医療コラム

変形性膝関節症でやってはいけないこと:痛みを悪化させやすい行動と代わりの工夫

確認日 2026-10-20 / 更新日 2026-10-20

まず結論

変形性膝関節症で控えるよう勧められているのは、痛みを強める動作(階段の上り下りなど)を減らさずに続けること、ジョギングやテニスのように膝に衝撃がかかる運動、膝を頻繁に曲げるような繰り返しの動作です(米国整形外科学会・米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所)。座面や寝具が柔らかすぎると、かえって症状が悪くなることがあります。また、寝るときに膝の下へクッションを入れる習慣は、股関節や膝のまわりの筋肉がこわばるおそれがあるため、やめておくべきとされています(MSDマニュアル家庭版)。

一方で、痛いからといって膝を動かさずに過ごすことも勧められていません。じっとさせておくだけでは痛みは引きにくく、かえって強まりやすいとされ(MSDマニュアル家庭版)、運動は変形性関節症で最も重要な治療の一つとされています(英国の公的医療情報)。やめるのではなく、水泳や自転車のような衝撃の少ない運動に切りかえ、急に増やさないことが勧められています(米国整形外科学会・英国の公的医療情報)。

すぐ受診が必要な症状

    出典に緊急受診の記載なし:変形性関節症のページ(英国の公的医療情報・MSDマニュアル家庭版・米国整形外科学会・米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所)には、救急受診(999/911)に当たる記載はありませんでした。急ぎの相談が勧められている膝の症状は、下の「受診の目安」の最初に挙げています。
    ※強い胸の痛み・息苦しさ・意識の異常など命に関わる症状があるときは、迷わず119番に電話してください(medimichi の注記)。

    当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。

    受診の目安

    • 膝がとても痛む(その日のうちに医療機関に相談)(英国の公的医療情報「Knee pain」)
    • 膝を動かせない、膝に体重をかけられない(その日のうちに医療機関に相談)(英国の公的医療情報「Knee pain」)
    • 膝がひどく腫れている、または膝の形が変わった(その日のうちに医療機関に相談)(英国の公的医療情報「Knee pain」)
    • 膝が動かなくなる(ロックする)、がくっと力が抜ける、痛みを伴ってカクッと鳴る(痛みのない音はよくあること)(その日のうちに医療機関に相談)(英国の公的医療情報「Knee pain」)
    • 高い熱がある(または体が熱い・寒い・震える)うえに、膝のまわりが赤い・熱をもっている(感染のおそれ)(その日のうちに医療機関に相談)(英国の公的医療情報「Knee pain」)
    • 変形性関節症と思われる症状が続いている(診断の確認と、必要な治療を受けるため)(英国の公的医療情報「Osteoarthritis」)
    • 膝の痛みが数週間たっても良くならない(英国の公的医療情報「Knee pain」)
    • 関節が赤い・熱をもつ・腫れている(変形性関節症では通常みられず、感染症や痛風のおそれがある)(MSDマニュアル家庭版)
    • 新しい運動を始めたい、減量に取り組みたい(始める前に医師や理学療法士と相談するよう勧められている)(英国の公的医療情報「Osteoarthritis - Treatment」)

    日本での相談先は整形外科です(medimichi の注記)。膝の痛みは、靱帯・半月板の損傷や滑液包炎、関節内の出血、痛風、細菌による関節炎など、多くの病気で起こります。英国の公的医療情報は、自分で原因を決めつけず、心配なときは受診するよう勧めています(英国の公的医療情報「Knee pain」)。

    控えたいことと、代わりにできること

    情報源が「減らす」「避ける」「やめておくべき」としていることを、medimichi が表にまとめました(medimichi の注記)。出典の言い方(減らす/避ける)の違いもそのまま残しています。

    控えたいこと出典の記載代わりの工夫
    階段の上り下りなど、症状を悪化させる活動を減らさずに続ける悪化させる活動は最小限にする(米国整形外科学会)回数や続ける時間を減らす。エレベーターなどを使えないか考える(medimichi の注記)
    ジョギングやテニスなど、膝に衝撃の大きい運動衝撃の大きい運動から少ない運動に切りかえると、膝への負担を減らしながら活動を続けられる(米国整形外科学会)。長距離走は発症の危険を高めないが、いったん発症すると多くの場合この種の運動で悪化する(MSDマニュアル家庭版)水泳・自転車(米国整形外科学会)、ウォーキング・太極拳・水中エアロビクス(米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所)、プールなど水中での運動(MSDマニュアル家庭版)
    膝を頻繁に曲げるなど、同じ動作の繰り返し繰り返しの動作は避けるようにする(米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所)。膝を曲げる仕事は変形性膝関節症の主な危険因子とされる(MSDマニュアル家庭版)痛みを強める持ち上げ方や曲げ方を制限するよう、体の動かし方を調整する(MSDマニュアル家庭版)
    柔らかすぎる椅子・リクライニングチェア・マットレス・車のシート症状が悪化することがある(MSDマニュアル家庭版)背もたれがまっすぐで座面が高めの椅子(食卓用の椅子など)、硬めのマットレス、車のシートを前に出す(MSDマニュアル家庭版)
    横になるとき膝の下にクッションを入れる股関節・膝のまわりの筋肉がこわばるおそれがあり、やめておくべきとされる(MSDマニュアル家庭版)腰痛や坐骨神経痛で勧められる「膝の間に枕をはさむ」とは別の話なので混同しない(MSDマニュアル家庭版)
    膝の不快感を和らげる目的で、靴に楔(くさび)形の中敷きを入れる勧められない(米国整形外科学会)衝撃を吸収する靴底の靴、体重を均等に分散させる中敷きを、理学療法士などに勧められて使う(英国の公的医療情報)。サポートのしっかりした靴や運動靴(MSDマニュアル家庭版)

    病気そのものの説明(症状・原因・治療の全体)は「変形性膝関節症の解説」にまとめています。

    「痛いから動かさない」は逆効果になりやすい

    膝が痛むと、運動すると悪くなるのではと考えがちです。しかし情報源はそろって、動かさないことの問題を指摘しています(英国の公的医療情報・MSDマニュアル家庭版・米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所)。

    情報源動かさないことについての記載
    MSDマニュアル家庭版痛む関節を休める時間と運動の両方が必要。じっとさせておくだけでは痛みは引きにくく、かえって強まりやすい
    英国の公的医療情報関節を使わないと筋肉がやせ、こわばりが増すことがある。年齢や体力にかかわらず、運動は最も重要な治療の一つで、続けることでたいてい症状は良くなる
    米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所痛みで活動が減ると筋力が落ち、それが関節への負担をさらに増やすことがある

    動くときは、次の点に気をつけます。

    • 急に・たくさん運動する、合わない種類の運動をすると、関節を傷めるおそれがある。医師や理学療法士から渡された運動計画に沿って行う(英国の公的医療情報)
    • どの運動もゆっくり始め、新しい活動量に体が慣れるまで時間をかける(米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所)
    • 日中は数時間おきに、痛む関節を数分休ませる時間をとる(MSDマニュアル家庭版)
    • 高齢の人は、靱帯を傷めるような運動を避けられるよう、運動の内容をトレーナーや医師に見てもらう(MSDマニュアル家庭版)

    どの運動をどのくらい行うかは、膝の状態やほかの病気によって変わります。始める前に整形外科で相談してください(medimichi の注記)。

    体重・靴・日常の道具で見直すこと

    項目情報源の記載
    体重太りすぎ・肥満は膝などに余分な負担をかけ、変形性関節症を悪化させることが多い(英国の公的医療情報)。減量で膝への負担が減り、痛みが軽くなって動きやすくなる(米国整形外科学会・米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所)。減量は運動量を増やし食事を見直して、ゆっくり安全に。方法は医師や看護師に相談できる(英国の公的医療情報)
    靴・中敷き・装具医師が処方し、専門職が合わせた装具や中敷きは、関節を安定させ、立つ・歩くときの痛みを和らげることがある(米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所)。片側に偏った膝の関節炎には、負担を移す型の装具が役立つことがある(米国整形外科学会)
    杖杖は痛む脚と反対側の手で持ち、体重の一部を杖に預ける(英国の公的医療情報)
    温める・冷やす温めることも冷やすことも痛みを和らげることがある(英国の公的医療情報・米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所)。当サイトの変形性膝関節症の解説にある「エアコン(クーラー)などで冷やさず、温めて血行を良くする」は、膝を冷やしすぎないという日常生活の注意です(medimichi の注記)。温熱パッドを高温にしたり、長時間当てたままにしたりしない(やけど予防)(MSDマニュアル家庭版)。
    膝が急に腫れて熱をもったとき:自己判断で温めず、整形外科に相談してください(medimichi の注記)。
    入浴・体を洗うとき浴槽内に固定する補助椅子などで、関節が伸びすぎないようにする方法がある(MSDマニュアル家庭版)

    装具や中敷きは自己判断で選ぶより、整形外科や理学療法士に相談して合わせてもらうと安心です(medimichi の注記)。

    痛み止めで避けたい使い方

    避けたいこと情報源の記載
    持病を伝えずに、飲み薬の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID:イブプロフェン・ナプロキセンなど)を使う冠動脈の病気・うっ血性心不全・慢性腎臓病などがある人では、慎重に使うか避けるべき(米国整形外科学会)。ぜんそく・胃潰瘍・狭心症がある人、心筋梗塞や脳卒中を起こしたことがある人には合わないことがある。低用量アスピリンを飲んでいる人は、NSAIDを使ってよいか医師に確認する(英国の公的医療情報)
    飲み薬のNSAIDを漫然と長く使い続ける重い副作用のおそれがあるため、使う期間はできるだけ短くする(MSDマニュアル家庭版)
    同じ種類の薬を重ねて使うCOX-2阻害薬を使っている間は、ほかのNSAID(処方薬・市販薬とも)を使わない(米国整形外科学会)。アセトアミノフェンは推奨量を超えて飲まず、アセトアミノフェンを含む市販薬(多くある)を同時に飲まない(MSDマニュアル家庭版)
    強い痛み止め(オピオイド)に頼る膝の関節炎の痛みには効果がなく避けるべき(米国整形外科学会)。トラマドールなどより強い鎮痛薬の使用は避けるべきで、必要なときだけ処方される(MSDマニュアル家庭版)。英国の公的医療情報は、コデインなどを強い痛みに短期間だけ処方することがあるとしている
    ステロイド注射を頻繁に繰り返す効果は永続しない。頻繁に繰り返したり長期間続けたりすると、関節の傷みがかえって進むことがあるため、医師は回数を1つの関節につき年3〜4回までに限ることがある(米国整形外科学会)。回数と間隔は医師が決める(米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所)
    処方された薬を、良くなったからと自己判断でやめる処方どおりに飲むことが大切で、楽になってきても同様(「必要時」と指示された薬は痛くないときは不要なことがある)(英国の公的医療情報)
    カプサイシンのクリームを傷や炎症のある皮膚に塗る傷や炎症のある皮膚には使わない。塗る前後に熱い風呂やシャワーを浴びると、焼けるような感じが強くなる(英国の公的医療情報)

    貼るタイプ・塗るタイプのNSAIDは、膝の変形性関節症で特に効果的なことがあるとされ(英国の公的医療情報)、飲み薬のNSAIDが合わない人などで試すよう強く勧められています(米国整形外科学会)。

    市販の痛み止めは薬剤師に相談し、添付文書の用法・用量を守ってください(medimichi の注記)。

    サプリメント・効果が確かめられていない方法

    • グルコサミンとコンドロイチン:使った人の報告では痛みが和らぐことがあるものの、関節炎の進行を遅らせたり元に戻したりする根拠はない(米国整形外科学会)。痛みへの有益性ははっきりせず、関節の損傷の進行は変えないとみられる(MSDマニュアル家庭版)。英国では、効果の強い根拠がないため公的医療で処方されなくなっている(英国の公的医療情報)。
    • サプリメントは販売前に米国食品医薬品局(FDA)の試験を受けておらず、副作用やほかの薬との相互作用が起こりうる。飲む前に必ず医師に相談する(米国整形外科学会)。市販の痛み止めやサプリメントは、処方薬の働きを妨げることがあるので、使う前に医療チームに確認する(英国の公的医療情報)。
    • ウコンやボスウェリア・セラータなど、ほかのサプリメントを日常的に使うことは勧められていない(MSDマニュアル家庭版)。
    • 皮膚を赤く温める塗り薬(ルベファシエント)は症状の改善効果が小さく、英国の国立医療技術評価機構(NICE)は勧めていない(英国の公的医療情報)。経皮的電気神経刺激(TENS)などの電気刺激は、変形性膝関節症には勧められない(MSDマニュアル家庭版)。
    • 多血小板血漿(PRP)や幹細胞の注射は有望とされる一方、変形性関節症での価値は臨床研究でまだ確かめられていない(米国整形外科学会)。

    サプリメントや新しい治療を試すときは、飲んでいる薬を伝えたうえで主治医に相談してください(medimichi の注記)。

    赤み・熱・腫れを「いつもの膝の痛み」と決めつけない

    膝の赤み・熱っぽさ・腫れは、ふつうは変形性関節症によるものではありません。感染症や痛風が隠れていることがあるので、医師に診てもらうべきとされています(MSDマニュアル家庭版)。高い熱や寒気を伴うときは、上の「受診の目安」にあるとおり、その日のうちに医療機関に相談してください(英国の公的医療情報「Knee pain」)。

    すでに変形性膝関節症と診断されている人でも、いつもと違う膝の症状が出たときは、自己判断で様子を見ずに整形外科に相談してください(medimichi の注記)。

    出典・確認日

    • 英国の公的医療情報(NHS)「Osteoarthritis」(症状が続くときの受診の目安。NHSの最終レビュー日 2023-03-20(次回レビュー予定 2026-03-20 と表示されたまま、2026-10-20 時点で更新表示なし))
    • 英国の公的医療情報(NHS)「Osteoarthritis - Treatment and support」(運動の重要性・急な運動や合わない運動の注意・関節を使わないことの影響・減量・靴と中敷き・杖の持ち方・温冷・NSAIDとアセトアミノフェンとオピオイドの注意・カプサイシンの注意・サプリメントとルベファシエント。NHSの最終レビュー日 2023-03-20)
    • 英国の公的医療情報(NHS)「Osteoarthritis - Living with」(処方薬を自己判断でやめない・市販薬やサプリメントの事前確認。NHSの最終レビュー日 2023-03-20)
    • 英国の公的医療情報(NHS)「Knee pain」(急ぎの相談(NHS 111)が勧められる膝の症状・数週間良くならないときの受診・自己診断しない。NHSの最終レビュー日 2023-12-21)
    • 米国整形外科学会 OrthoInfo「Arthritis of the Knee」(悪化させる活動を減らす・衝撃の少ない運動への切りかえ・減量・装具・靴の楔は勧められない・NSAIDとCOX-2阻害薬とオピオイドの注意・ステロイド注射の回数・グルコサミンとコンドロイチン・PRPと幹細胞。ページ上に更新日の表示なし)
    • MSDマニュアル家庭版「変形性関節症」(動かさないと悪化しやすいこと・休ませ方・柔らかすぎる家具・膝の下のクッション・椅子と寝具と靴・長距離走と膝を曲げる仕事・水中運動・温熱のやけど予防・NSAIDの使用期間・アセトアミノフェンの重複・強い鎮痛薬・サプリメント・TENS・赤み熱腫れは別の病気のおそれ。最終更新 2025年4月(完全なレビュー 2024年4月))
    • 米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所(NIAMS)「Osteoarthritis」(活動が減ると筋力が落ち関節の負担が増えること。最終レビュー 2023年9月)
    • 米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所(NIAMS)「Osteoarthritis: Diagnosis, Treatment, and Steps to Take」(運動はゆっくり始める・衝撃の少ない運動の例・減量・装具と中敷き・繰り返しの動作を避ける・温冷・ステロイド注射の回数は医師が決める。最終レビュー 2023年9月)

    「英国の公的医療情報」と記した部分: Contains public sector information licensed under the Open Government Licence v3.0.(英語の公的情報を日本語に翻訳・要約して含みます)

    内容の確認日:2026-10-20/更新日:2026-10-20/次回確認予定:2027-04-20

    医師による監修はありません。医学的な記載は上の公的機関・学会などの情報源に基づき、medimichi が独自にまとめています。この記事は一般的な医療情報で、診断や治療の代わりにはなりません。