Aさん(57歳、男性)は、妻(50歳)と2人で暮らしている。21歳から喫煙習慣があり、5年前に風邪で受診した際に肺気腫と診断された。最近は坂道や階段を昇ると息切れを自覚するようになってきた。 5年後、Aさんは急性増悪による入退院を繰り返していた。今回の入院では呼吸機能の低下がみられたため、退院後に在宅酸素療法〈HOT〉を導入することになった。Aさんは「家での生活で気をつけることは何ですか」と看護師に質問した。Aさんへの指導内容で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
在宅酸素療法中の患者にとって、火気の取り扱いは最も重要な安全管理項目の一つです。ガスコンロは裸火を使用するため、酸素漏れがあった際に引火する危険性が非常に高くなります。電磁調理器は火を使わないため、火災リスクを大幅に低減でき、在宅酸素療法中の患者には推奨される調理器具です。
選択肢ごとの解説
- 1. 電気毛布自体が在宅酸素療法において直接的な禁忌となるわけではありません。ただし、酸素濃縮器の近くで熱源となるものを使用する際には、火災のリスクに注意が必要です。正しくは:電気毛布の使用は可能ですが、酸素濃縮器や酸素チューブからの距離を確保し、取り扱いには十分に注意するよう指導します。選びやすい理由:熱源と酸素の組み合わせは危険という漠然とした知識から、電気毛布も避けるべきだと誤解しがちです。混同注意:電気ストーブやガスストーブなど、開放型の火気との混同。
- 2. 入浴は身体活動であり、一時的に酸素消費量が増加する場合があります。特に呼吸機能が低下している患者の場合、入浴中に低酸素状態に陥るリスクがあるため、原則として入浴中も酸素吸入は継続します。正しくは:「入浴中も酸素吸入は継続してください。ただし、チューブが濡れないように注意し、浴室で使用できる防水対応の酸素濃縮器や、入浴用の短いチューブを使用するなど工夫が必要です。」と指導します。選びやすい理由:酸素チューブが濡れると感電や故障のリスクがあるという誤解や、入浴は短時間だから大丈夫という安易な考え。混同注意:シャワーなど、短時間で身体を洗う行為と入浴の区別。
- 3. 正解。在宅酸素療法では、酸素を使用しているため火気厳禁が原則です。ガスコンロは直接火を使用するため、酸素漏れがあった場合に引火して火災や爆発のリスクが極めて高くなります。電磁調理器は火を使わないため、このリスクを大幅に低減できます。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:初期費用がかかるため、指導内容として一歩踏み込みすぎていると感じるかもしれませんが、安全確保の上で非常に重要な項目です。混同注意:「火気厳禁」という原則の具体的な適用範囲。
- 4. 医師から指示された酸素流量は、患者のSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)や呼吸状態を考慮して適切に設定されています。自己判断で流量を増やすと、COPD患者の場合、CO2ナルコーシスを引き起こすリスクがあります。必ず医師や看護師の指示に従い、苦しい場合は医療機関に連絡するよう指導します。正しくは:「息苦しさを感じた場合は、決して自己判断で酸素流量を上げず、速やかに医師または看護師に連絡してください。指示された流量を守ることが重要です。」と指導します。選びやすい理由:苦しい時に酸素を増やせば楽になるという直感的な考え。混同注意:緊急時の対応(医療機関への連絡)と日常的な流量調整の区別。
国試ポイント
在宅酸素療法(HOT)における生活指導、特に火気に関する安全管理と、COPD患者への酸素療法における注意点(CO2ナルコーシス)が問われています。単なる知識だけでなく、具体的な生活場面でのリスク管理と指導内容の優先順位を理解しているかが重要です。
混同注意
電気製品の全般的な使用制限と、火気を使用する熱源の区別。酸素流量の自己調節の危険性と、症状悪化時の対応(医療機関への連絡)。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、在宅酸素療法中の生活指導において『安全性(特に火災リスク)』が最も優先される項目であること、そしてCOPD患者特有の『CO2ナルコーシス』のリスク回避が重要であることを念頭に置く。
関連知識
COPD患者の病態生理(特に高CO2血症と低酸素刺激呼吸)、在宅酸素療法の目的と適応、HOT導入時の生活指導(禁煙、火気厳禁、入浴、旅行時の注意点、電気代助成など)。