Aさん(75歳、女性)は、夫とは3年前に死別し、1人暮らし。喫煙歴があり、5年前に慢性閉塞性肺疾患と診断された。長女は隣県に住んでおり、時々様子を見に来ている。Aさんは受診を継続しながら、ほぼ自立して生活していた。今回、咳・痰の症状に加え呼吸困難が増強したため入院となった。入院後は酸素療法(鼻カニューレ:2L/分)と薬物療法を受け、症状が改善し、在宅酸素療法を導入し退院することになった。Aさんは初めて要介護認定を受けたところ、要支援2であった。 Aさんの退院後、訪問介護員は日常生活の支援のために週1回、訪問看護師は健康状態の確認と在宅酸素療法等について必要な指導を行うため月2回訪問することとなった。退院後2週。訪問看護師が訪問すると、Aさんは時々、食後に軽い呼吸困難が生じると訴えた。この時の訪問看護師の指導で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
高齢者や呼吸器疾患のある患者が食後に呼吸困難を訴える場合、胃が膨満して横隔膜を圧迫し、肺の拡張が妨げられることが原因の一つとして考えられます。そのため、一度に食べる量を減らし、食事の回数を増やすことで、胃への負担を軽減し、呼吸困難の症状を和らげることが期待できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。食後に呼吸困難が生じる原因の一つに、満腹による横隔膜の圧迫があります。一度の食事量を減らして回数を増やすことで、胃への負担を軽減し、呼吸困難の発生を抑える効果が期待できます。
- 2. 外出頻度を減らすことは、閉じこもりを助長し、活動量の低下や精神的健康に悪影響を及ぼす可能性があります。食後の呼吸困難と外出頻度減少に直接的な関連はありません。正しくは:無理のない範囲で外出を継続し、活動量を維持できるよう促す。外出時は休憩を取り入れるなどの工夫を提案する。選びやすい理由:呼吸困難があるため、身体活動を制限すべきだと誤解しやすい。混同注意:安静が必要な状態と、活動量を維持すべき状態の区別。
- 3. Aさんが食事の準備に参加できる場合は、適切な自立支援やリハビリテーションの一環として継続を促すべきです。全て任せることは、活動機会の喪失につながります。正しくは:Aさんの状態に合わせて、無理のない範囲で食事準備に参加してもらい、負担が大きい部分は訪問介護員が支援するよう調整する。選びやすい理由:患者の負担を軽減したいという善意から選びやすい。混同注意:全面的介護と自立支援のバランス。
- 4. 食後すぐに排泄を促すことは、消化吸収を妨げる可能性があり、呼吸困難の改善には直接関係ありません。また、食後すぐの活動は、消化器系への負担や、場合によっては心臓への負担を増やすことがあります。正しくは:排泄は食事と時間をずらし、Aさんの身体状態に合わせて無理なく行うよう指導する。選びやすい理由:活動を促すことが良いと短絡的に考えやすい。混同注意:食後の活動と、体への負担の関係。
国試ポイント
在宅医療における呼吸困難を訴える患者への食事指導、特に食後の呼吸困難に対する具体的な対応について問われています。病態生理と生活指導の結びつきが重要です。
混同注意
安静にすることと活動量を維持することのバランス、全面的な介助と自立支援のバランス。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出た場合は、食後の呼吸困難の原因が「食事量」「食事内容(消化しやすいか)」「食事姿勢」「食事速度」のどれに起因するかを区別して対応策を判断できるか。また、活動量維持の重要性との兼ね合いも問われる可能性があります。
関連知識
呼吸器疾患患者の栄養管理、高齢者の食事指導、在宅酸素療法中の生活指導、嚥下障害と食事形態の調整(ただし本問は量と回数に焦点)。