Aさん(75歳、女性)は、夫とは3年前に死別し、1人暮らし。喫煙歴があり、5年前に慢性閉塞性肺疾患と診断された。長女は隣県に住んでおり、時々様子を見に来ている。Aさんは受診を継続しながら、ほぼ自立して生活していた。今回、咳・痰の症状に加え呼吸困難が増強したため入院となった。入院後は酸素療法(鼻カニューレ:2L/分)と薬物療法を受け、症状が改善し、在宅酸素療法を導入し退院することになった。Aさんは初めて要介護認定を受けたところ、要支援2であった。 退院後の生活での問題点の確認のため、カンファレンスを開催することになった。Aさんは、自宅での療養を強く希望しており、2L/分の酸素投与下で呼吸状態や日常生活動作〈ADL〉については入院前と同程度まで回復してきているが、まだ退院後の買い物や洗濯などは負荷が強く、支援が必要と判断された。また、Aさんは、呼吸困難の再発について不安を訴えている。カンファレンスの検討内容で優先度が高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
患者Aさんは呼吸困難の再発に対する強い不安を訴えており、これは生命に関わる可能性のある最も緊急性が高く、かつ本人の心理的な負担となっている問題です。そのため、退院後の生活を安全に送る上で、急性増悪時の具体的な対応方法を事前に確認し、患者とその家族が安心して対処できる体制を整えることが最も優先されます。これにより、患者の身体的・精神的な安全が確保され、他のADLに関する支援も効果的に進められる基盤が築かれます。
選択肢ごとの解説
- 1. 電動ベッドはADLの一部を補助するが、Aさんの最も強い不安である「呼吸困難の再発」という緊急性の高い問題への直接的な対応ではない。正しくは:呼吸困難の再発時の対応方法について検討する。選びやすい理由:ADLに関する支援の必要性があるため、ベッドの導入も一見有効に見える。混同注意:日常生活のサポートと、緊急時の生命に関わるリスク管理を混同しやすい。
- 2. Aさんは「自宅での療養を強く希望」しており、娘の居宅への転居は本人の意向に反する可能性があり、優先すべきではない。また、転居は生活環境を大きく変えるため、本人の意思が最も尊重されるべきである。正しくは:本人の希望に沿って、自宅での療養を継続するための具体的な支援策を検討する。選びやすい理由:家族の支援体制が強化されるという点で、問題解決に繋がりそうに見える。混同注意:本人の意思の尊重よりも、介護負担の軽減やより手厚いケアを優先すべきと誤解しやすい。
- 3. 正解。Aさんが「呼吸困難の再発について不安を訴えている」ことは、退院後の生活において生命に直結する最も大きなリスクであり、精神的な安定にも影響するため、この問題への対応策を検討することが最優先されるべきである。
- 4. 介護予防短期入所生活介護は主に介護者の休息や利用者の生活機能維持を目的とするものであり、Aさんの「呼吸困難の再発への不安」という緊急性の高い直接的な問題解決にはならない。正しくは:呼吸困難の再発時の対応方法を明確にし、Aさんの不安を軽減する支援を検討する。選びやすい理由:ADLの支援が必要と判断されているため、ショートステイが一時的な支援として有効に思える。混同注意:日常的な介護負担の軽減と、緊急時の生命危機管理を混同しやすい。
国試ポイント
この問題は、患者の主訴や身体的リスク、生活上の課題を総合的に評価し、最も優先すべき看護介入を判断する能力を問うものです。特に、生命の安全に関わる問題(呼吸困難の再発不安)と、QOL向上に関わる問題(ADL支援)のどちらが優先されるかを見極める点が重要です。
混同注意
日常生活動作の支援(電動ベッド、短期入所)と、緊急時の生命危機管理(急性増悪時の対応)を混同しやすい。また、患者の希望(自宅療養)を無視した解決策(娘宅への転居)を選んでしまう誤りも起こりうる。
次に同じ論点が出たら
同様の状況では、まず患者の訴え(特に不安や苦痛)、生命維持に直結するリスク、そして本人の希望を最優先に評価します。その上で、具体的な介入策を多職種連携で検討する視点が必要です。
関連知識
慢性呼吸器疾患患者の退院支援、患者の意思決定支援、不安への介入、地域連携パス、緊急時対応計画の策定、介護保険制度のサービス内容(介護予防短期入所生活介護など)