Aさん(19歳、男性)は、幼い頃から忘れ物や遅刻が多く、落ち着いて授業を受けることが難しかった。学校からは精神科の受診を勧められていたが、受診することなく高校まで卒業した。卒業後は事務職として働きはじめたが、仕事上のトラブルで上司や同僚から叱責を受けたことをきっかけに、仕事を無断で休むことが多くなった。産業医から精神科外来を紹介され、両親とともに受診した。本人の診察と両親からの生育歴の聴取が行われ、注意欠如・多動性障害〈ADHD〉と診断された。 職場でAさんにみられる可能性が高い行動はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
統合失調症の陰性症状には意欲・自発性の低下、感情の平板化、思考内容の貧困などがあり、集中力の低下もその一つです。これにより、Aさんは集中して仕事を続けることが困難になる可能性が高いと考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 仕事中に突然意識を失って倒れるのはてんかんなどの神経疾患や循環器疾患などでみられる症状であり、統合失調症の主要症状ではありません。正しくは:てんかん発作や脳虚血発作、失神などが考えられる。選びやすい理由:精神疾患に対する偏見から、突発的で重篤な身体症状を連想してしまう可能性がある。混同注意:てんかん、脳卒中、心疾患による失神など。
- 2. 退勤時に戸締りの確認を繰り返すのは強迫性障害の症状であり、統合失調症の主要症状ではありません。統合失調症の症状としてはまれです。正しくは:強迫性障害の強迫行為としてみられる。選びやすい理由:精神疾患一般の症状と混同されやすく、反復行動が精神疾患に共通する症状だと誤解されやすい。混同注意:強迫性障害の強迫行為。
- 3. 正解。統合失調症の陰性症状には認知機能障害の一環として、集中力や注意力の低下が含まれます。これにより、集中して仕事を続けることが困難になる可能性が高いです。選びやすい理由:設問の症例に関する具体的な情報が少ないため、一般的な精神症状として認知機能障害が選択肢として適切だと判断しやすい。混同注意:ADHDによる注意欠陥症状、うつ病による集中力低下。
- 4. 状況にふさわしくない単語の発声を繰り返すのは、統合失調症の陽性症状である思考障害や、チック症、トゥレット症候群、失語症などの症状であり、統合失調症の陰性症状ではありません。文脈から統合失調症の陽性症状と解釈することも可能ですが、より直接的なのは思考のまとまりのなさや支離滅裂な発言です。正しくは:統合失調症の思考障害(思考連合弛緩、言葉のサラダなど)やチック症、トゥレット症候群の音声チックとしてみられる。選びやすい理由:統合失調症の陽性症状(思考の障害、幻覚に伴う発言など)と混同されやすい。精神疾患が奇異な行動と結びつけられやすい。混同注意:統合失調症の思考障害(陽性症状)、チック症、トゥレット症候群、失語症。
国試ポイント
統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想)と陰性症状(感情鈍麻・意欲低下・思考の貧困など)、認知機能障害を区別し、それぞれの具体的な症状を理解すること。
混同注意
統合失調症の陰性症状はうつ病の症状と混同されやすいですが、統合失調症では感情の平板化や思考内容の貧困が特徴的である一方、うつ病では気分が抑うつ的であることがより中心です。また、ADHDの集中力障害とも区別が必要で、統合失調症は疾患の経過とともに認知機能障害が出現・悪化する特徴があります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題では、提示されている事例が統合失調症のどの症状(陽性・陰性・認知機能障害)に該当するかを判断し、それぞれの症状群に特徴的な行動を選択肢から見極めます。
関連知識
統合失調症の治療は薬物療法が基本であり、抗精神病薬が用いられます。また、精神科リハビリテーションや認知行動療法などの精神社会学的介入も重要です。リカバリーの概念に基づいた支援が求められます。