Aさん(22歳、男性)は、高校卒業後に就職したが、同僚との関係がうまく築けず、転職を繰り返している。「他の人と自分はどこか違う。自分の将来が不安だ」と感じたAさんは精神科クリニックを受診し、自閉症スペクトラム障害と診断された。Aさんは小学生のころから他人の気持ちが理解できないときがあり、対人関係を築くことが苦手で、学校で孤立していた。また、偏食が強く、るいそうがみられたために、同級生から容姿のことでいじめられたことがあった。中学校や高校では忘れ物が多く、集団生活になじめなかった。 就労移行支援を利用し、Aさんは仕事を始めたが、苦手な仕事内容が多く、失敗が続いているため同僚から注意を受け続けている。外来看護師は、Aさんから「毎日が憂うつでつらい。ストレスが溜まるのでどうしたらよいか」と相談を受けた。Aさんへの対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Aさんは「毎日が憂うつで苦しい」と相談しており、精神的な不調を示唆する訴えがあります。ストレスの原因やその影響を正確に評価するためには、患者の感情や状況について深く傾聴し、さらに詳しい情報を得ることから始めるのが適切です。精神症状の有無や程度、生活への影響を把握することは、適切な支援や介入を計画する上で不可欠です。
選択肢ごとの解説
- 1. 「しばらく様子を見る」という助言は、患者の苦痛を軽視し、問題解決を先延ばしにする対応であり、現状のアセスメントも介入も不十分である。精神的な苦痛を訴えている患者に対しては、早期の介入が重要である。正しくは:患者の訴えを詳しく聞き、精神状態のアセスメントを行うべきである。選びやすい理由:すぐに解決策が見つからない場合に、時間経過による自然な改善を期待してしまうため。混同注意:一時的な軽度のストレスと、継続的で深刻な精神的苦痛の区別。
- 2. 正解。Aさんの「憂うつな気持ち」という訴えは、精神的な不調を示唆しており、詳しく話を聞くことで、その程度、持続期間、日常生活への影響、具体的なストレス因子などをアセスメントできる。これは、精神看護における初期対応として最も適切である。選びやすい理由:患者の主訴に直接向き合い、共感的に関わる姿勢が示されているため。混同注意:単なるカウンセリングと、アセスメントを目的とした傾聴。
- 3. Aさんが現状で「毎日が憂うつで苦しい」と感じている状況で、具体的な解決策をAさん自身に考えてもらうことは、さらなる負担をかける可能性がある。まずは、患者の精神状態を安定させ、アセスメントを深めることが優先されるべきである。正しくは:まず患者の精神状態を評価し、その上で具体的な支援策を共に検討する。選びやすい理由:患者の主体性を尊重し、自己解決を促すという意図に見えるため。混同注意:適切なタイミングでのエンパワーメントと、不適切な時期での課題提示。
- 4. 外来看護師自身のストレス解消法は、Aさんにとって必ずしも効果的であるとは限らず、個々の患者の状況や特性に合わせた支援が必要である。まずはAさんの状況を詳しくアセスメントし、個別に適した対処法を共に検討するプロセスが重要である。正しくは:Aさんのストレスの原因や状況をアセスメントし、Aさんに合ったストレス対処法を共に考える。選びやすい理由:具体的なアドバイスを提供することで、役に立とうとする気持ちから選びやすいため。混同注意:一般的な健康教育と、個別性に応じた精神看護介入。
国試ポイント
精神看護における初回面接の基本は、患者の訴えを傾聴し、共感的に受け止め、状況を詳しくアセスメントすることである。
混同注意
表面的な助言や安易な解決策提示と、患者中心の傾聴・アセスメント。
次に同じ論点が出たら
患者が具体的な精神症状や苦痛を訴えている場合、まずはその詳細を傾聴し、アセスメントを深める対応が最も優先される。
関連知識
精神症状のアセスメント、気分障害の初期兆候、危機介入の原則、守秘義務、多職種連携(精神科医、精神保健福祉士、産業カウンセラーなど)。