Aさん(73歳、女性)は、既往歴はなく自立した生活を送っていた。最近、尿意を我慢できず尿失禁することがあり、夜間の排尿回数も増えたため、病院を受診した。その結果、過活動膀胱と診断された。Aさんへの看護師の指導内容で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
過活動膀胱の行動療法として、膀胱訓練は非常に有効です。尿意切迫感がある場合にすぐに排尿せず、少しずつ排尿間隔を延長していくことで、膀胱の機能的な容量を増やし、尿意のコントロール能力を高めることを目指します。これにより、切迫性尿失禁や頻尿の改善が期待できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 過活動膀胱に対する腹筋強化は直接的な治療効果は薄く、骨盤底筋群の強化がより重要です。腹圧性尿失禁には有効な場合がありますが、過活動膀胱の治療ではありません。正しくは:骨盤底筋を強化するトレーニングを行う。選びやすい理由:腹筋強化は尿失禁全般に良い印象があるかもしれない。混同注意:腹筋強化と骨盤底筋群強化の区別がつかない場合がある。
- 2. 正解。膀胱訓練(bladder training)は、過活動膀胱の行動療法として推奨される第一選択肢です。尿意を我慢する時間を徐々に延長し、排尿間隔を伸ばすことで、膀胱容量を増やし、切迫感を軽減することを目的とします。
- 3. 水分摂取を過度に制限すると、尿が濃縮され膀胱を刺激しやすくなるため、かえって過活動膀胱の症状を悪化させる可能性があります。また、脱水のリスクもあります。適切な水分摂取は維持すべきです。正しくは:適切な水分摂取量を維持する。選びやすい理由:尿量を減らせば尿失禁が減るという安易な発想に繋がりやすい。混同注意:尿失禁の症状軽減のためには、水分を減らすべきだと思ってしまう。
- 4. 尿意を感じたらすぐに排泄するという行動は、頻尿や切迫性尿失禁を助長する行動パターンです。膀胱訓練では、むしろ尿意を感じても少しの間我慢し、排尿間隔を延ばすことを目指します。正しくは:尿意を感じても、まずは少し我慢する練習をする。選びやすい理由:尿失禁を避けたいという気持ちから、すぐにトイレに行くことが最善と考えるかもしれない。混同注意:排泄を我慢すること自体が悪いことだと誤解する場合がある。
国試ポイント
過活動膀胱に対する看護介入として、行動療法(特に膀胱訓練)の重要性を理解しているか、また誤った対処法(水分制限、即時排尿)との区別ができるかが問われています。基礎的な疾患理解と具体的な看護指導の知識が必要です。
混同注意
腹圧性尿失禁と過活動膀胱の鑑別、それぞれの尿失禁に対する適切な介入の違い。特に骨盤底筋体操と膀胱訓練の違い。
次に同じ論点が出たら
膀胱訓練の効果判定として、Aさんの排尿日誌から排尿回数や排尿間隔の変化、尿失禁の頻度などを確認し、必要に応じて指導内容を調整する。
関連知識
過活動膀胱の症状(尿意切迫感、頻尿、夜間頻尿、切迫性尿失禁)、診断基準、他の治療法(薬物療法、手術療法)、骨盤底筋訓練、生活指導(カフェイン・アルコール制限など)。