高齢者のうつ病の症状はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
高齢者のうつ病では、非定型的な症状を呈することが多く、精神病性の特徴を伴うこともあります。特に身体症状の訴えが多くなる一方で、気分症状の訴えが少なくなることがあります。強い不安感は高齢者うつ病に特徴的な症状の一つであり、不眠や焦燥感、心気症状などと共によく見られます。これは、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れに加え、加齢によるストレス耐性の低下や身体疾患の併存などが影響していると考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 意識障害は高齢者のうつ病の典型的な症状ではありません。意識障害は脳血管疾患、感染症、電解質異常、薬物中毒など、より重篤な身体疾患や急性期の精神疾患で認められることが多いです。正しくは:意識障害ではなく、不眠、食欲不振、強い不安感などが高齢者のうつ病の症状です。選びやすい理由:高齢者ではせん妄を起こしやすいことから、意識障害も関連があると考えてしまうかもしれませんが、うつ病の主症状ではありません。混同注意:せん妄、認知症の末期、重篤な身体疾患に伴う症状
- 2. 知能低下(認知機能低下)は高齢者のうつ病でも見られることがありますが、これは「うつ病性仮性認知症」として区別され、うつ病の二次的な症状です。知能低下が主症状として進行する場合は認知症を疑います。本設問では「うつ病の症状」を問うため、最も特徴的な症状としては不適切です。正しくは:知能低下ではなく、強い不安感や焦燥感、不眠、食欲不振などが高齢者のうつ病の症状です。選びやすい理由:高齢者うつ病では認知機能の低下を伴うことがあり、認知症との鑑別が難しいケースもあるため、選択肢として選びやすいかもしれません。混同注意:認知症、特にアルツハイマー型認知症
- 3. 歩行障害は高齢者のうつ病の直接的な症状ではありません。歩行障害は神経疾患(パーキンソン病など)、骨関節疾患、脳血管疾患、筋力低下などによって引き起こされることが多い症状です。正しくは:歩行障害ではなく、倦怠感、意欲低下など身体的な不調は訴えるものの、直接的な歩行障害は高齢者のうつ病の症状ではありません。選びやすい理由:高齢者では身体活動の低下や身体症状の訴えが増えるため、歩行障害もその一環と考えてしまうかもしれません。混同注意:パーキンソン病、脳血管疾患後遺症、変形性膝関節症などの整形外科疾患
- 4. 正解。高齢者のうつ病では、強い不安感や焦燥感が中心的な症状として現れることが非常に多いです。若い世代のうつ病では抑うつ気分が前面に出やすいのに対し、高齢者では「不安、焦り、イライラ」といった感情が顕著になる傾向があります。選びやすい理由:正答であるため、特になし。混同注意:不安障害(ただし、高齢者のうつ病における不安感は抑うつ状態の一部として捉えられる)
国試ポイント
高齢者のうつ病の症状は非定型的であり、身体症状や不安・焦燥感が前面に出やすいことを覚える。特に「仮面うつ病」のように気分症状が目立たない場合があるため注意が必要。
混同注意
高齢者のうつ病と認知症は症状が類似しているため鑑別が重要です。うつ病性仮性認知症は、うつ病の症状として認知機能障害が現れる状態を指し、適切な治療により改善する可能性があります。一方、認知症は進行性の認知機能障害が特徴であり、うつ病の治療だけでは改善しません。
次に同じ論点が出たら
次に高齢者のうつ病の症状に関する問題が出た場合は、非定型的な症状、特に身体症状、不安、焦燥感、認知機能の低下など、気分症状以外の訴えに着目して判断します。
関連知識
高齢者うつ病では、心気症状、不眠、食欲不振、倦怠感などの身体症状が前景に出やすく、気分症状の訴えが少ないことがあります(仮面うつ病)。また、自殺リスクが高いため早期発見と介入が重要です。治療には抗うつ薬(SSRIなどが第一選択)や精神療法(認知行動療法など)が用いられます。