Aさん(90歳、女性)は、認知症で要介護3。デイサービスの送迎の際に、同居している娘から「食事は家族と同じものを食べていたのですが、昨日から下痢が続いています。発熱はなく、元気はあります」と看護師に話があった。デイサービスでは午前中に不消化便が1回あり、おむつ交換の際に、肛門周囲の発赤がみられた。Aさんへの対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下痢が続く場合、最も懸念されるのは脱水です。Aさんは高齢であり、認知症もあるため、自ら水分補給を適切に行うことが難しい可能性があります。経口補水液は水分と電解質をバランス良く補給できるため、脱水予防と治療に非常に効果的です。発熱がなく元気があるとはいえ、下痢が継続している状況では優先的に水分・電解質補給を行うべきです。
選択肢ごとの解説
- 1. 下痢の際は腸蠕動が亢進しており、腹部マッサージを行うことでさらに刺激を与え、下痢を悪化させる可能性があります。正しくは:下痢が落ち着き、便秘傾向がみられる場合に検討する。選びやすい理由:便通を促す一般的なケアとして知られているため、深く考えずに選択してしまう可能性がある。混同注意:便秘時の対応と混同する可能性がある。
- 2. 正解。下痢が続くと体内の水分や電解質が失われ脱水状態になるリスクが高まります。経口補水液はこれらを効率よく補給できるため、脱水予防と回復に有効な対応です。正しくは:脱水症状の有無を確認しながら、積極的に摂取を促す。選びやすい理由:「元気はあります」という情報から、脱水への意識が薄れる可能性がある。混同注意:ただの水やお茶でも良いと考えてしまうことがあるが、電解質補給の観点から経口補水液がより適切。
- 3. 食物繊維を多く含む食事は腸を刺激し、下痢を悪化させる可能性があります。下痢の際は、消化の良いものを摂取し、腸への負担を軽減することが重要です。正しくは:下痢の際は、消化に良い食事(おかゆ、うどん等)にする。食物繊維は便秘時に推奨される。選びやすい理由:便通を整える効果があるという一般的な認識から、良い選択肢だと誤解する可能性がある。混同注意:便秘時の食事療法と混同する。
- 4. 肛門周囲に発赤がみられる状況で石けんを使用すると、刺激が強すぎて炎症を悪化させる可能性があります。特に高齢者の皮膚はデリケートです。正しくは:微温湯で優しく洗浄し、その後は乾燥させて保湿剤を塗布するなど、皮膚への刺激を最小限にするケアを行う。選びやすい理由:清潔保持の観点から、洗浄することが重要だと判断しやすい。混同注意:日常的な排泄後のケアと、炎症時のデリケートな皮膚ケアの違いを混同する。
国試ポイント
高齢者の下痢における脱水予防の重要性と、適切な水分・電解質補給方法の選択に関する知識が問われています。また、下痢時の食事や皮膚ケアにおける禁忌事項も理解しておく必要があります。
混同注意
各選択肢が、それぞれ「便秘」「日常の清潔ケア」など、異なる状況での適切な対応と混同されやすい点に注意が必要です。下痢という特定の病態における適切な看護介入を見極めることが求められます。
次に同じ論点が出たら
経口補水液の摂取を促しつつ、バイタルサインや尿量、口腔内の乾燥状態などを観察し、脱水症状の進行がないか継続的に評価する必要があります。また、下痢の原因検索も並行して行うことが望ましいです。
関連知識
高齢者の脱水症状、経口補水液の組成と適応、下痢時の食事療法(消化の良いもの)、皮膚炎時のスキンケア(刺激の少ない洗浄と保護)。