Aさん(75歳、男性)は妻(66歳)と2人暮らし。3か月前に認知症の診断を受けた。妻から訪問看護師に「夫は通所介護のときは穏やかに過ごしていると聞いているが、家では興奮することが多く、どう対応すればよいかわからない」と相談があった。このときの妻に対する訪問看護師の最初の対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
認知症患者の行動・心理症状(BPSD)には、必ず何らかの原因があります。不安、不快、環境の変化、身体的苦痛など多岐にわたります。まずは、具体的な状況を詳細にアセスメントし、興奮の誘因となっている因子を特定することが、適切な対応策を立案するための最初の、そして最も重要なステップです。妻からの「家では興奮することが多い」という相談に対して、訪問看護師はまず具体的な情報収集に努めるべきです。
選択肢ごとの解説
- 1. 初期対応として、すぐに医師への相談を促すのは適切ではありません。まずは看護師自身が状況を把握し、できる支援を検討することが優先されます。正しくは:まず訪問看護師が現状をアセスメントし、必要に応じて医師への相談を検討する。選びやすい理由:認知症に関する問題は医師の専門分野であるため、医師に相談すれば解決すると思いがち。混同注意:病状が急激に悪化している場合や、身体的な問題が疑われる場合は医師への相談が優先されるが、本ケースは家庭での興奮に対する対応策の相談であり、まずは環境要因やケア方法の検討が優先される。
- 2. 散歩は有効な場合もありますが、具体的な興奮の原因が不明な段階で特定の行動を提案するのは早計です。また、すべての認知症患者に有効とは限らず、興奮している状況で外出を促すのはかえって危険な場合もあります。正しくは:Aさんの興奮の原因を把握した上で、適切な気分転換や活動を検討する。選びやすい理由:認知症の高齢者には適度な運動が良いという一般知識から、散歩が有効だと考えやすい。混同注意:身体活動の促進と興奮時の具体的な対応策。適切な身体活動は認知症ケアの一部だが、興奮時の即時対応としては原因究明が先。
- 3. デイサービスの頻度を増やすことは、介護者の負担軽減やAさんの活動機会の増加につながる可能性はありますが、自宅での興奮の根本原因を解決する直接的な方法ではありません。まずは原因をアセスメントすることが重要です。正しくは:自宅での興奮の原因を特定し、それに応じた環境調整やケア方法を検討する。その上で、デイサービスの利用状況を見直すことも選択肢の一つとして考慮する。選びやすい理由:デイサービスで穏やかに過ごせているという情報から、デイサービスを増やすことで家での興奮も減るのではないかと考えやすい。また、介護負担の軽減策としても魅力的に映る。混同注意:介護者の負担軽減策と患者の行動問題への介入。デイサービスの増回は介護者の負担を軽減する側面もあるが、Aさんの自宅での興奮という行動変容の直接的な解決策ではない。
- 4. 正解。認知症患者の興奮などの行動変容には、必ず原因があります。まずは、いつ、どこで、どのような状況でAさんが興奮するのか、そのきっかけや周囲の環境などを妻と一緒に具体的にアセスメントすることが、問題解決の第一歩として最も適切です。これにより、個別的な対応策を立てるための情報が得られます。
国試ポイント
認知症患者の行動・心理症状(BPSD)に対する初期アセスメントの重要性。特に、具体的な状況把握と原因探索が問題解決の第一歩であることを問う問題。
混同注意
認知症患者への援助では、早期に医療機関に紹介すべきか、環境調整や非薬物療法から始めるべきかの判断が常に問われる。本問では、具体的な状況把握が初期対応として最も適切である。
次に同じ論点が出たら
この問題で「まず何をするか」という問い方をされた場合、最も根本的で情報収集に繋がる行動を選択する。特に認知症患者の行動変容に対しては、安易に介入策に飛びつかず、まずは詳細な状況把握と原因分析が基本となる。
関連知識
認知症患者のBPSD対応の基本原則(BPSDの原因理解、非薬物療法の優先、個別性の重視)、アセスメント項目(状況、時間、誘因、本人の状態、介護者の負担)。認知症ケアパスの概念。