大型の台風が直撃するという予報を受けて、午前9時、病院では災害対策本部が立ち上がった。また、病院の所在する市から避難所への看護師派遣の要請を受け、対応することになった。 土砂災害の発生によって家屋の復旧が遅れており、今後さらに避難生活が必要になることが避難者に説明された。避難所を開設してから5日が経過しており、避難者の間で、家に戻れない不安と慣れない避難生活のストレスから、配食や洗濯場の順番を理由に口論が起こっていた。その日の午後、Dさん(72歳、男性)が「何度言ったらわかるんだ」と大声を出していた。避難所の看護師が近づくと、Dさんの表情がこわばっており苛立っているのが分かった。このときの看護師のDさんへの対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
Dさんは非常にいら立っており、興奮状態にあるため、まずは安全な環境を確保し、刺激の少ない場所へ誘導することが重要です。複数名で対応することで、Dさんの安全と看護師自身の安全も確保しつつ、穏やかに誘導できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。Dさんは興奮状態にあり、まずは物理的に安全で落ち着ける環境へ誘導することが最優先です。複数名で穏やかに対応することで、Dさんの安全確保と、看護師自身の安全も図りながら、刺激を最小限に抑えられます。選びやすい理由:興奮している人に対して、物理的な介入を行うことが適切と判断されるため。混同注意:患者の身体拘束や強制的な移動。
- 2. 大声で鎮静を促すことは、Dさんの興奮をさらに増強させる可能性があり、逆効果です。興奮している相手には、低く落ち着いた声で話すのが基本です。正しくは:落ち着いた低い声で、短くゆっくりと話しかける。選びやすい理由:相手に届くように、強く語りかける必要があると感じるため。混同注意:聴覚に障害がある人への対応や、緊急時に注意を引くための大声。
- 3. 背後から突然体に触れる行為は、Dさんを驚かせ、不信感や恐怖心を抱かせてさらに興奮させる危険性があります。接触する際は、まず声をかけ、視界に入る場所から行うのが原則です。正しくは:Dさんの視界に入り、声をかけてから、必要に応じてゆっくりと体に触れる(ただし、興奮時は触れないのが原則)。選びやすい理由:身体的接触が安心感を与える手段であると考えるため。混同注意:安心している患者や、指示に従える患者への非言語的コミュニケーション(例:肩にそっと手を置く)。
- 4. Dさんは現在、強い不安とストレスから興奮状態にあり、感情的な訴えが優先されます。「我慢するよう諭す」ことは、Dさんの感情を否定する行為であり、共感的な態度とは言えません。さらなる不満や怒りを引き起こす可能性があります。正しくは:Dさんの感情に共感し、傾聴することで、Dさんの不安やいら立ちを理解しようと努める。選びやすい理由:他の避難者との公平性を保ちたい、またはDさんに冷静になってほしいと考えるため。混同注意:冷静に状況を理解できる患者への生活指導や倫理的指導。
国試ポイント
災害時の避難所における被災者の精神状態に応じた適切な看護介入。
混同注意
興奮状態にある人への対応と、冷静な人への説得や教育的指導。
次に同じ論点が出たら
患者が興奮状態にあるかどうか、安全確保の必要性、そしてその状況に応じた看護師の具体的な行動の適切性。
関連知識
災害ストレス反応、PTSD、せん妄、精神疾患の急性期対応、避難所運営における精神的ケアの重要性。