精神科病院で行動制限を受ける患者への対応で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2番
解説
精神科病院における行動制限は患者の人権に深く関わるため、その実施には厳格な倫理的・法的配慮が求められます。患者への十分な説明は、自尊心を保ち、治療への主体的な参加を促す上で不可欠です。また、複数のスタッフによる対応は、患者の安全確保だけでなく、医療者の負担軽減、客観的な状況判断、不適切な行動制限の防止にも繋がります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。患者に行動制限の理由を説明することは、患者の自己決定権と尊厳を尊重し、不安や混乱を軽減し、治療への理解と協力を得るために不可欠です。インフォームド・コンセントの原則にも基づきます。選びやすい理由:患者中心のケアの基本原則であるため。混同注意:行動制限は緊急性が高い状況で実施されることが多いため、説明は後回しにしても良いと誤解すること。
- 2. 正解。複数のスタッフで対応することにより、患者の安全を多角的に確保し、医療者の安全も守られます。また、客観的な状況判断が可能となり、不適切な行動制限のリスクを低減し、患者への身体的・精神的負担を最小限に抑えることにも繋がります。選びやすい理由:チーム医療の重要性が強調されるため。混同注意:緊急時においては単独での対応もやむを得ないと誤解すること。
- 3. 行動制限中の患者の手紙の送受信は、信書の発受の制限として精神保健福祉法第36条第3項および施行規則第12条の2第3号で「原則として制限できない」と規定されています。例外的に制限できる場合でも、家族との間に限定する規定はありません。正しくは:手紙の送受信は、原則として患者のプライバシーに関わるため制限すべきではない。選びやすい理由:行動制限中の患者の外部との接触を制限することが、安全管理上適切だと誤解しやすいため。混同注意:安全管理上の理由で行動を制限することと、患者の通信の自由を制限することが混同されやすい。
- 4. 精神保健福祉法第36条の2第2項により、隔離や身体的拘束の行動制限を受けた患者については、精神保健指定医は原則として「少なくとも1日に2回」診察を行うこととされています。週に1回では不十分です。正しくは:精神保健指定医による診察は、少なくとも1日に2回実施する。選びやすい理由:定期的な診察が必要という認識は正しいが、頻度に関する具体的な規定を混同しやすい。混同注意:精神科専門医の定期診察頻度と、行動制限下の患者に対する診察頻度を混同しやすい。
- 5. 隔離や身体的拘束は、精神保健福祉法第36条第3項および施行規則第12条の2に基づき、精神保健指定医が「行動制限最小化の原則」を遵守し、治療上やむを得ないと判断した場合にのみ行われます。看護師の判断のみで実施できるのは緊急時の一時的な対応に限られ、12時間といった長時間の隔離は精神保健指定医の判断が必要です。正しくは:12時間までの隔離は、精神保健指定医の判断を必要とする。選びやすい理由:緊急時の看護師の判断で行動制限を開始できるケースがあるため、その判断の範囲を拡大解釈しやすい。混同注意:緊急時の対応と、指定医による正式な判断を要する継続的な行動制限の区別が混同されやすい。
国試ポイント
精神科医療における行動制限(隔離・身体的拘束)の倫理的・法的側面、および適切な看護対応の原則を理解すること。
混同注意
行動制限は患者の安全を確保するための最終手段であり、治療の一環として安易に適用すべきではない点と混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
精神科病院における行動制限の問題が出た場合、まず患者の権利擁護が最優先されているか、法的・倫理的要件が満たされているか、そして多職種連携が図られているかを確認する。
関連知識
精神保健福祉法における行動制限の規定(精神保健指定医による診察、家族への説明義務、解除基準など)、患者の権利擁護。