Aさん(75歳、女性)は、1人暮らし。高血圧症の内服治療をしているが、その他に既往歴はない。認知機能は問題ない。軽度の円背があるが、日常生活動作〈ADL〉は自立している。簡単な家事は自分で行っており、家の中で過ごすことが多かった。近所に住む長女が時々、Aさんの様子を見に来ていた。ある日、Aさんは自宅の階段を踏み外して転落し、横向きになったまま動けなくなったところを訪問してきた長女に発見され、救急車で病院に運ばれ、右大腿骨頸部骨折と診断された。そのまま入院し、緊急手術を行うことになった。 手術前オリエンテーションの際の看護師の説明内容で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
術後の臥床中は、背中など体の一部に継続的に圧力がかかり、褥瘡発生のリスクが高まります。体圧を分散し、褥瘡を予防するためにクッションを使用することは、術後ケアにおいて非常に重要です。事前にこのケアについて説明することで、患者は術後の状況を理解し、安心して治療に臨むことができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 手術の所要時間は患者の状況や手術内容によって異なり、不正確な情報を提供することは不安を増大させたり、信頼関係を損なう可能性があります。具体的な時間を示す場合は、担当医からの情報を伝えるべきです。正しくは:「手術の時間は手術室の状況や術式によって変わることがあります。具体的な所要時間については、担当医から説明があります」などと伝えるのが適切です。選びやすい理由:患者の不安を和らげたいという気持ちから、「すぐに終わる」と言いたくなるかもしれませんが、不正確な情報提供は避けるべきです。混同注意:患者の不安を軽減するための声かけと、具体的な情報提供の区別が曖昧になりやすいです。具体的な内容については、医師からの情報を正確に伝えることが重要です。
- 2. 手術の種類や麻酔方法によっては、術後に飲水が制限される場合があります。特に全身麻酔後は誤嚥のリスクがあるため、医師の指示があるまで飲水は控えるのが一般的です。一律に「すぐに飲める」と伝えるのは不適切です。正しくは:「手術後は飲水制限がある場合があります。飲水開始の時期については、術後に医師や看護師から説明があります」と伝えるのが適切です。選びやすい理由:口渇を訴える患者にとって、術後の飲水は大きな関心事であり、早く飲めることを期待しているため、つい「すぐに飲める」と伝えたくなるかもしれません。混同注意:術後の飲水制限は、消化器系手術だけでなく、全身麻酔を用いた手術全般に関わるため、安易な判断は禁物です。
- 3. 術後の臥床安静が必要な場合でも、深部静脈血栓症(DVT)の予防のため、医師の指示に基づき、足首の運動など軽い下肢運動が推奨されることが多いです。一律に「動かしてはいけない」と伝えるのは誤りです。正しくは:「手術後も、医師の指示に従って足首を動かすなど、軽い運動を行うことがあります。これは血栓予防のためです」と伝えるのが適切です。選びやすい理由:安静を保つことが回復に繋がるという考えから、患者に動かないように指示したくなるかもしれませんが、DVT予防の観点から下肢運動の重要性を伝えるべきです。混同注意:「安静」と「全く動かないこと」を混同しやすいですが、術後の「安静」には、適切な範囲での運動が含まれることを理解する必要があります。
- 4. 正解。術後の臥床期間中、同じ体位を長く維持することは、背部への圧迫によって褥瘡形成のリスクを高めます。クッションを用いて体圧分散を行うことは、褥瘡予防のために重要な看護ケアであり、患者へ事前に説明することで安心して手術に臨むことができます。また、体位保持による痛みや不快感の軽減にも繋がります。正しくは:これは適切な説明です。選びやすい理由:他の選択肢が誤りであることが明確なため、相対的に正解を選びやすいです。
国試ポイント
手術前オリエンテーションでは、患者の不安を軽減し、術後の協力体制を構築するために、術後の具体的な処置や生活に関する正しい情報を提供することが求められます。特に、安全確保のための予防的ケア(褥瘡予防、血栓予防など)に関する説明は重要です。
混同注意
患者の不安を和らげるための一般的な声かけと、医学的に根拠に基づいた具体的な説明とを混同しないように注意が必要です。安易な「大丈夫」「すぐに~できる」といった発言は避けるべきです。
次に同じ論点が出たら
術前の情報提供は、患者の不安軽減だけでなく、術後の合併症予防や回復促進に繋がる行動を促す上でも重要であるかを判断する。
関連知識
深部静脈血栓症(DVT)予防のための早期離床や下肢運動、術後の排痰促進行動、疼痛コントロールの重要性、栄養管理、排泄ケアなど、術後の具体的な看護ケアについて、患者が理解できるよう説明する必要があります。