Aさん(28歳、初妊婦)は、夫(30歳、会社員)と2人暮らし。妊娠37週0日で妊婦健康診査のため来院した。身長160 cm、体重62 kg(非妊時体重54 kg)。血圧122/74 mmHg。Hb 12.1 g/dL、Ht 36 %。尿蛋白(-)、尿糖(-)。下肢に軽度の浮腫を認める。子宮底長32 cm、推定胎児体重2,810 g。Aさんは「1時間に2、3回お腹が張ることがありますが、休んでいるとおさまります」と言う。 このときのAさんの状態で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
妊娠33週頃以降の胎児の成長評価には頭殿長(CRL)ではなく、主に児頭大横径(BPD)や大腿骨長(FL)、腹囲(AC)などが用いられます。問題文では妊娠37週0日と正期産に近い時期であるにもかかわらず、胎児の頭殿長(CRL)が平均値であることが確認されたと記述されています。これは、この時期の成長評価に通常用いられる指標ではなく、出題者が受験者の知識を試すための誤った記述です。実際の臨床では、妊娠週数に相当する推定胎児体重が正常範囲内であれば順調な妊娠経過と判断されます。したがって、胎児の頭殿長(CRL)が平均値であるという記述は、この週数における胎児発育の評価としては不適切ですが、具体的な異常を示す所見がなく、胎児発育不全などを直ちに示唆するものではありません。胎児の成長曲線が正常範囲内であれば、健康で順調な妊娠経過であると判断するのが適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 陣痛は子宮収縮の自覚と規則性によって判断され、胎児の頭殿長が平均値であることとは直接関連しません。正しくは:陣痛は、規則的な子宮収縮と子宮口開大の進行によって判断されます。胎児の頭殿長が平均値であることは、陣痛の有無とは関係ありません。選びやすい理由:妊娠37週0日は正期産であり、いつ陣痛が始まってもおかしくない時期であるため、早合点しやすいかもしれません。混同注意:妊娠週数と、分娩徴候の関連性。
- 2. 正解。問題文は胎児の頭殿長(CRL)が平均値であると述べていますが、妊娠37週0日という後期においてCRLは胎児発育の主要な評価指標ではありません。しかし、この情報が直接的に異常を示すものではなく、他の情報がない限りは順調な経過であると解釈されます。もし胎児の成長がこの週数に適切な指標(BPD、FL、ACなど)で正常範囲内であれば、健康で順調な妊娠経過と判断されます。選びやすい理由:特に異常を示す情報がないため、最も無難な選択肢に見えるからです。混同注意:特定の指標の適切性と、全体的な妊娠経過の判断。
- 3. 胎児発育不全(FGR)は、その妊娠週数における胎児の推定体重が、一般集団の下位10パーセンタイル未満である場合に診断されます。頭殿長(CRL)が平均値であるという情報だけでは、FGRの診断にはつながりません。むしろ平均値であれば順調である可能性が高いです。正しくは:胎児発育不全(FGR)は、妊娠週数に見合った推定胎児体重が下位10パーセンタイル未満の場合に診断されます。頭殿長(CRL)が平均値であることはFGRを示唆しません。選びやすい理由:CRLが後期に用いられる指標ではないため、何か異常があるのではと勘繰ってしまう可能性があります。混同注意:異常な指標の提示と、疾患の直接的な関連性。
- 4. 妊娠高血圧症候群(HDP)は、高血圧、蛋白尿、浮腫などの症状で診断され、胎児の頭殿長とは直接関係がありません。正しくは:妊娠高血圧症候群(HDP)は、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上(あるいはその両方)が初めて認められる場合(妊娠20週以降)、または妊娠前から高血圧がある場合に診断されます。胎児の頭殿長が平均値であることはHDPとは関連しません。選びやすい理由:妊婦健診でよく確認される疾患の一つであるため、無意識に選んでしまう可能性があります。混同注意:一般的な妊娠合併症と、問題文の情報との関連性。
国試ポイント
妊娠週数に応じた胎児発育の評価指標の理解と、それに基づく正常・異常の判断。
混同注意
胎児の成長評価指標(CRL、BPD、FL、AC、EFW)と、それぞれの測定に適した妊娠週数。
次に同じ論点が出たら
次回の類似問題では、妊娠週数と示された胎児計測値がその週数に適した指標であるか、およびその値が正常範囲内であるかを確認する。
関連知識
頭殿長(CRL)は主に妊娠初期(〜12週頃)の胎児の成長評価に用いられ、妊娠週数の推定に高い精度を持ちます。妊娠中期以降(13週頃〜)は、児頭大横径(BPD)、大腿骨長(FL)、腹囲(AC)などを用いて推定胎児体重(EFW)を算出し、胎児の成長を評価します。