自閉スペクトラム障害にみられるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4・5番
解説
自閉スペクトラム症(ASD)の診断基準(DSM-5など)では、「社会的コミュニケーションおよび相互作用における持続的な欠陥」と「限定された反復的な行動、興味、活動」の2つの主要な領域の困難が求められます。選択肢4の「習慣へのかたくななこだわり」は後者の「限定された反復的な行動、興味、活動」に、選択肢5の「非言語的コミュニケーションの障害」は前者の「社会的コミュニケーションおよび相互作用における持続的な欠陥」にそれぞれ該当します。これらは自閉スペクトラム症の核となる中核症状です。他の選択肢は、ADHDや限局性学習症などの別の発達障害の主な特徴、またはASDに併存しうる症状ではありますが、ASDの中核的な診断基準に直接含まれるものではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 運動性チックは主にトゥレット症候群や他のチック症でみられる症状であり、自閉スペクトラム症の診断基準には含まれません。正しくは:自閉スペクトラム症の診断基準には、運動性チックは含まれません。運動性チックはトゥレット症候群などの神経発達症で認められます。選びやすい理由:発達障害全般で様々な症状が合併する可能性があるため、関連性を疑ってしまうかもしれませんが、直接的なASDの核症状ではありません。混同注意:チック症と自閉スペクトラム症が併存することはありますが、チック症状そのものが自閉スペクトラム症の主要な特徴ではありません。
- 2. 計算の習得困難(算数障害/限局性学習症の算数に困難があるもの)は、学習障害(限局性学習症)の症状であり、自閉スペクトラム症の必須の診断基準ではありません。併存することはありますが、ASD固有の核症状ではありません。正しくは:計算の習得困難は学習障害(限局性学習症)の特性であり、自閉スペクトラム症の診断基準には直接含まれません。ASDの人は学習に凸凹があることが多いですが、計算困難が核症状ではありません。選びやすい理由:自閉スペクトラム症の人は得意なことと苦手なことの差が大きいことがあり、特定の学習領域に困難を抱えることもありますが、それが直接ASDの核症状とは言えません。混同注意:限局性学習症(学習障害)と自閉スペクトラム症は併存することもありますが、それぞれの診断基準は異なります。
- 3. 不注意による間違いが多いという症状は、主に注意欠陥・多動性障害(ADHD)の特徴であり、自閉スペクトラム症の診断基準の核ではありません。併存することはあり得ます。正しくは:不注意による間違いは注意欠陥・多動性障害(ADHD)の主要な症状の一つであり、自閉スペクトラム症の核となる診断基準ではありません。選びやすい理由:発達障害というくくりで考えると、ADHDとASDの症状が混同しやすいため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:注意欠陥・多動性障害(ADHD)と自閉スペクトラム症は併存することが多く、症状が重なる部分もありますが、それぞれ独立した診断基準を持っています。
- 4. 正解。自閉スペクトラム症の診断基準には、「反復的で常同的な行動、興味、活動」が含まれており、これには特定の習慣や手順に対する強いこだわりや変化への抵抗が含まれます。これはASDの重要な特徴です。
- 5. 正解。自閉スペクトラム症の診断基準には、「社会的コミュニケーションおよび相互作用における持続的な欠陥」が含まれます。これには、視線、表情、身振り手振りなどの非言語的コミュニケーションの異常も含まれており、ASDの核となる特徴です。
国試ポイント
自閉スペクトラム症(ASD)の中核症状と、他の発達障害(ADHD、学習障害、チック症など)の主要症状を明確に区別できるかどうかが問われる問題です。各発達障害の診断基準を理解している必要があります。
混同注意
自閉スペクトラム症と注意欠陥・多動性障害(ADHD)、限局性学習症(学習障害)、トゥレット症候群などの他の神経発達症の症状が混同しやすい。これらの発達障害は併存することも多いため、それぞれの疾患に特徴的な症状を区別する知識が求められます。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、各発達障害の診断基準における主要な症状を正しく挙げられるか、複数の発達障害の併存時の症状の区別ができるか、といった観点から知識が問われるでしょう。具体的な症例を提示し、どの発達障害に最も当てはまるか、または複数の発達障害の可能性を検討させる問題も考えられます。
関連知識
DSM-5の自閉スペクトラム症の診断基準(A.社会的コミュニケーションおよび相互作用における持続的な欠陥、B.限定され反復的な様式の行動、興味、活動)、ADHDの不注意・多動性・衝動性の症状、限局性学習症の読み・書き・算数などの特定の学習領域での困難、チック症の定義。