Aさん(48歳、男性、会社員)は、大量の飲酒の後、急激な上腹部痛と背部痛を訴え、救急外来を受診し、急性膵炎と診断された。Aさんの救急外来受診時の血液検査結果で予測されるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
急性膵炎では、膵臓の細胞が自己消化により破壊され、膵酵素であるアミラーゼやリパーゼが血液中に逸脱するため、血清アミラーゼ値は著しく上昇します。多量飲酒は急性膵炎の主要な原因の一つであり、本症例の病態と一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 血小板数の増加は急性膵炎の直接的な所見ではありません。炎症反応として白血球が増加することはありますが、血小板は通常、変動は少ないか、重症例でDICにより減少することもあります。正しくは:炎症反応として白血球数の増加。選びやすい理由:炎症があるため血液成分が増加するイメージから選択する可能性がありますが、血小板は一般的ではありません。混同注意:炎症性疾患における一般的な血液検査所見(白血球増加など)。
- 2. 血清LDH値は、組織破壊や炎症により上昇することが多く、急性膵炎の重症度評価項目の一つでもあります。したがって、低下ではなく上昇が予測されます。正しくは:血清LDH値の上昇。選びやすい理由:LDHが肝臓や筋肉の逸脱酵素であることから、膵臓と直接結びつかないと考えがちですが、広範な組織障害を反映します。混同注意:LDH値の変動が特異的な他の疾患。
- 3. 血清γ-GTP値は肝臓や胆道の疾患、特にアルコール性肝障害で上昇します。Aさんは多量飲酒歴があるため、急性膵炎と同時にγ-GTP値は上昇している可能性が高いです。低下は予測されません。正しくは:血清γ-GTP値の上昇。選びやすい理由:特に多量飲酒歴があるため、γ-GTPが変動することを知っていても、上昇か低下かを混同する可能性があります。混同注意:アルコール性肝障害や胆道系疾患における他の肝酵素(AST, ALT, ALP)。
- 4. 正解。急性膵炎では、膵臓の組織破壊により膵酵素であるアミラーゼが血中に逸脱するため、血清アミラーゼ値は著しく上昇します。これは急性膵炎診断の重要なマーカーです。選びやすい理由:急性膵炎の最も特徴的な検査所見であるため、選びやすい選択肢です。混同注意:唾液腺疾患によるアミラーゼ上昇との鑑別。
- 5. 重症の急性膵炎では、膵臓から遊離脂肪酸が放出され、これらがカルシウムと結合して石鹸化することで、血清カルシウム値は低下することが知られています(低カルシウム血症)。上昇は予測されません。正しくは:血清カルシウム値の低下。選びやすい理由:電解質異常が生じることは理解していても、上昇か低下かを混同する可能性があります。混同注意:副甲状腺機能亢進症などによる高カルシウム血症。
国試ポイント
急性膵炎の診断における主要な検査所見(特に血清アミラーゼ値の変動)を理解すること。
混同注意
アミラーゼの上昇は唾液腺疾患でも見られますが、急性膵炎では血清リパーゼも同時に上昇し、より特異性が高いとされます。
次に同じ論点が出たら
多量飲酒歴のある患者の突然の上腹部痛と背部痛があれば、急性膵炎を疑い、血清アミラーゼおよびリパーゼ値を確認する。
関連知識
急性膵炎の重症度評価には、アミラーゼ値だけでなく、白血球数、CRP、LDH、血糖値、カルシウム値、血液ガスなども考慮されます。特に、低カルシウム血症は重症膵炎の兆候となり得ます。