Aさん(75歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らし。2型糖尿病の治療中で、2年前から1日2回朝・夕食前に混合型インスリン注射が開始となった。その後、糖尿病性網膜症による視力障害が進んだため、現在は妻と一緒に単位数や針の確認をし、インスリンの自己注射を実施している。 訪問看護が導入されて2か月、Aさんの妻が健康診査後の精査目的で数日間入院することになった。Aさんは妻の入院中もできる限り自宅で過ごしたいと考えている。妻の入院中の対応について、サービス担当者会議が開かれた。この時に訪問看護師が行うAさんへの提案で優先度が高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Aさんは要介護4であり、これまで妻が介護の中心を担っていました。妻の入院により、Aさんの身体介護や生活援助、そして状態観察や医療処置など、妻が果たしていた様々な役割が一時的に失われます。訪問看護師は、要介護度の高いAさんの状態を最もよく理解しており、妻の不在による介護力低下がAさんの健康状態に与える影響を評価できます。訪問看護の回数を増やすことで、日中の生活援助に加え、バイタルサインの確認、全身状態の観察、服薬管理、必要な医療処置など、多岐にわたる専門的なケアを強化できます。これにより、Aさんが自宅で安全に生活を継続できる可能性が高まり、必要に応じて他のサービス(訪問介護、配食サービスなど)との連携や調整も、訪問看護師が中心となって進めることができます。したがって、妻の入院という緊急性の高い状況において、Aさんの生活を自宅で維持するための優先度の高い提案は、訪問看護の利用頻度を増やすことであると判断されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 通所介護は主に日中の活動や交流の機会を提供し、身体機能の維持・向上を目指しますが、Aさんは要介護4であり、妻の不在により身体介護や生活援助が不足する状況では、これ単独での優先度は低いです。介護者の不在時における生活全般の支援としては、より直接的な介護サービスが優先されます。正しくは:日中の活動支援として有効ですが、妻の入院中に不足する生活援助や身体介護を補うには限定的です。選びやすい理由:気分転換や他者との交流の機会となるため、選択肢の一つにはなりますが、緊急性の高い生活援助を補うには不十分です。混同注意:通所介護はリハビリテーションやレクリエーションが中心であり、配膳や清掃などの生活援助は提供範囲外です。生活が困難になるAさんには、より直接的な支援が必要です。
- 2. 訪問介護は身体介護や生活援助を提供するため、妻の入院により不足する部分を補う有効な手段です。しかし、Aさんはすでに訪問看護を利用しており、妻の不在によって『訪問看護のニーズ』が増大する可能性があります。訪問介護は生活援助全般をカバーしますが、訪問看護は医療処置や病状管理に特化しているため、ニーズの変化に応じて適切なサービスを再評価する必要があります。妻の入院はAさんの身体状態や生活の監視の必要性を高める可能性があるため、訪問看護の回数を増やす方が優先される場合があります。正しくは:生活援助や身体介護を補う上で有効ですが、Aさんの医療ニーズの変化を考慮すると、訪問看護の回数増加が優先される可能性があります。選びやすい理由:妻の不在によって生活援助が不足するため、訪問介護は非常に有効な選択肢に見えます。混同注意:訪問介護は生活援助や身体介護が主であり、医療的な管理や観察が必要な場合には訪問看護がより適切です。要介護4のAさんにとって、妻の不在は医療的なリスクを高める可能性があります。
- 3. 配食サービスは食事の準備の負担を軽減しますが、Aさんは要介護4であり、妻の入院により食事の提供だけでなく、他の身体介護や生活全般の支援も手薄になります。食事の提供だけでは、Aさんが自宅で生活を継続するために必要な全ての支援をカバーできません。他のサービスと併用することで効果を発揮しますが、単独での優先度は低いです。正しくは:食事の準備負担を軽減しますが、要介護4のAさんには食事以外の身体介護や生活援助も必要です。選びやすい理由:食事の準備は毎日の生活に不可欠なため、配食サービスは有効な支援策に見えますが、これだけでは不十分です。混同注意:配食サービスはあくまで食事提供に特化しており、要介護4のAさんに必要な着替え、入浴、排泄、体位変換といった身体介護は含まれません。生活全体を支えるためには、より包括的なサービスが必要です。
- 4. 正解。Aさんは要介護4であり、訪問看護をすでに利用しています。妻の入院により、これまで妻が行っていたAさんの身体介護、食事介助、排泄介助、体位変換、服薬管理、体調観察などのケアが不足します。訪問看護師はこれらのケアに加えて、専門的な視点からAさんの全身状態を観察し、合併症の予防や急変時の対応も視野に入れます。要介護度が高いAさんにとって、介護の中心を担っていた妻の不在は、Aさんの病状悪化や事故のリスクを高める可能性があるため、医療的な管理を含めた訪問看護の回数を増やし、より密接な状態観察と支援を行うことが、自宅生活を継続する上で最も優先度の高い提案となります。これにより、妻が不在の間もAさんの健康と安全が維持され、必要に応じて他のサービスとの連携もスムーズに行えます。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:他のサービスも必要に見えるかもしれませんが、訪問看護師の専門性とAさんの要介護度、介護者の不在という状況を総合的に考えると、医療的側面からの支援強化が最も重要です。混同注意:訪問看護は医療ケアが中心ですが、要介護4の高齢者にとって、介護者の不在は医療的なリスク(誤嚥、褥瘡、服薬管理の乱れなど)を増大させます。そのため、生活援助だけでなく、状態観察や専門的ケアの強化が求められます。
国試ポイント
要介護度の高い利用者に対する介護者の不在時の対応、特に医療と生活援助の両面からの支援の優先順位を問う問題。訪問看護師の専門性と役割を理解しているか、また包括的な視点から利用者のニーズを把握できるかが重要です。
混同注意
訪問介護も生活援助や身体介護を補う上で有効ですが、Aさんがすでに訪問看護を利用していること、および要介護4という状況を考えると、医療的な視点からの状態管理やアセスメントがより重要になります。訪問看護は、医療的側面だけでなく、身体介護や生活指導も提供できるため、介護者の不在時に生じる複合的な問題を包括的にサポートできる点で優先度が高いです。
次に同じ論点が出たら
訪問看護の回数を増やす提案が受け入れられた後、具体的なサービス提供計画(訪問回数、時間、内容)を立案します。同時に、訪問看護だけでは補いきれない部分(例えば、より頻繁な生活援助や夜間の見守りなど)があるかをアセスメントし、必要に応じて訪問介護や配食サービスなどの他サービスの導入も調整します。また、妻の退院後の介護体制についても、早期に検討を開始します。
関連知識
・介護保険サービスの種類と内容(訪問看護、訪問介護、通所介護、配食サービスなど)。 ・要介護度と必要な支援の内容。 ・訪問看護師の役割と多職種連携。 ・介護者の負担軽減とレスパイトケア。