Aさんは大地震で被災し、負傷者や亡くなった人を多く目撃した。1か月後、避難所を巡回していた看護師に、自分だけが生き残って申し訳ないと感じていると話した。Aさんへの声かけで適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
大地震で多くの犠牲者を出した状況で、自身が生き残ったことに対して「申し訳ない」と感じることは、「サバイバーズギルト(生存者の罪悪感)」と呼ばれる、被災者の正常な心理反応の一つです。看護師がこの感情を「異常ではない」と伝えることで、Aさんは自身の感情が理解され、受け入れられていると感じ、孤立感が軽減され、安心感を得ることができます。これは、被災者の精神的な回復を支援する上で非常に重要な第一歩となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 被災者の複雑な感情を無視し、一方的にポジティブな解釈を押し付ける言葉です。被災者は生存者としての罪悪感(サバイバーズギルト)を感じている可能性があり、そのような感情を否定することになります。正しくは:共感を示し、感情を肯定する言葉に修正します。選びやすい理由:一見励ましているように聞こえるため、適切な声かけと誤解されることがあります。しかし、相手の感情に寄り添っていません。混同注意:表面的な励ましと、真に相手の感情に寄り添う言葉とを混同しやすいです。
- 2. 正解。被災後の精神的反応として「サバイバーズギルト(生存者の罪悪感)」は広く知られており、正常な心理反応の一つです。この声かけは、Aさんの感情を肯定し、共感を示し、孤立感を軽減する効果があります。自分の感情が異常ではないと知ることで、安心感を得られ、次のステップに進むきっかけにもなります。
- 3. トラウマ体験は無理に忘れようとしても困難であり、むしろその感情を抑圧することで、精神的な健康に悪影響を及ぼす可能性があります。適切なのは、感情を認め、段階的に処理していくことです。正しくは:「辛い記憶は無理に忘れようとせず、少しずつ向き合っていきましょう」のように、感情を否定せずに受け止める姿勢を示す言葉に修正します。選びやすい理由:「忘れる」という言葉が、苦痛からの解放を意味するように聞こえるため、良かれと思って選びがちです。しかし、心理的な回復プロセスを理解していません。混同注意:感情の処理と、感情の抑圧を混同しやすいです。
- 4. 被災者に「頑張れ」という言葉は、すでに極限状態にある精神状態にさらなるプレッシャーを与え、追い詰めてしまう可能性があります。また、個人の努力だけに帰結させるのは、心理的支援の原則に反します。正しくは:「今感じていることはとても辛いことですね。私たちはAさんのそばにいますよ」のように、共感と支援の意思を伝える言葉に修正します。選びやすい理由:前向きな姿勢を促しているように見えるため、励ましの言葉として適切だと誤解されることがあります。しかし、被災者の状況や感情に配慮がありません。混同注意:一般的な励ましと、トラウマを抱えた人への専門的な支援的声かけとを混同しやすいです。
国試ポイント
災害後の心理的反応(特にサバイバーズギルト)の理解と、それに対する適切な精神的ケアの基本原則(共感、受容、感情の正常化)を問う問題です。安易な励ましや感情の否定が逆効果になることを理解しているかが重要です。
混同注意
励ましと共感の区別、感情の肯定と感情の助長を混同しやすいです。被災者の感情を「良い」「悪い」で判断せず、まず「そう感じるのは自然なこと」と受け止める姿勢が重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、まず『被災者の感情を否定していないか』『共感を示しているか』『安易な励ましになっていないか』という点に着目して選択肢を判断します。特に「生存者の罪悪感」は災害心理のキーワードであり、その理解が重要です。
関連知識
災害看護における精神的支援の原則、心理的デブリーフィング、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、ASD(急性ストレス障害)、レジリエンス、支援者のバーンアウト予防。