Aさん(50歳、男性)は肝硬変と診断され、腹水貯留と黄疸がみられる。Aさんに指導する食事内容で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
肝硬変で腹水が貯留している場合、体内のナトリウムと水分のバランスが崩れています。塩分(ナトリウム)の摂取を制限することで、体内の水分貯留が抑制され、腹水の管理に役立ちます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。肝硬変による腹水貯留がある場合、体内の水分貯留を悪化させるため、塩分制限は非常に重要です。ナトリウムの摂取を減らすことで、腹水や浮腫の軽減が期待できます。
- 2. 肝硬変では肝臓の機能が低下しており、脂肪の代謝能力も落ちています。脂肪分の多い食事は肝臓に負担をかけ、消化器症状を悪化させる可能性があります。正しくは:脂肪分は適度に制限された、消化しやすい食事にします。選びやすい理由:脂肪はエネルギー源であるため、体力が落ちている患者には必要と思われがちです。混同注意:健康な人や、他の疾患で高脂肪食が必要な場合と混同しやすいです。
- 3. 肝硬変で肝機能が低下している場合、蛋白質の代謝産物であるアンモニアを処理する能力も低下しています。過剰な蛋白質摂取は、肝性脳症を誘発または悪化させるリスクがあります。正しくは:蛋白質は、肝性脳症のリスクを考慮し、制限する場合がありますが、低栄養を避けるため適切な量を摂取します。選びやすい理由:低栄養予防や筋肉維持のために蛋白質は重要と思われがちです。混同注意:肝性脳症のリスクがない時期の肝硬変患者の食事や、他の疾患における蛋白質の重要性と混同しやすいです。
- 4. 肝硬変患者においては、便秘予防や腸内環境改善のために食物繊維の摂取が推奨されることが多いです。特に肝性脳症の予防には、アンモニアの吸収を抑制する効果も期待されます。正しくは:食物繊維は積極的に摂取を促すか、少なくとも不足しないようにします。選びやすい理由:消化器症状を避けるため、消化に悪いとされる食物繊維を控えるべきかと思うかもしれません。混同注意:急性期の消化器症状や、消化管出血のリスクがある場合の食事と混同しやすいです。
国試ポイント
肝硬変患者の病態生理とそれに基づく食事療法(特に腹水・浮腫と塩分制限、肝性脳症と蛋白質制限)の基本知識が問われています。患者の状態に応じた適切な食事指導を理解しているかがポイントです。
混同注意
肝硬変患者の食事療法では、病態(腹水、肝性脳症の有無、低栄養など)によって蛋白質やカロリーの摂取量が調整されるため、一概に「多い」「少ない」で判断せず、個別の状況を考慮する必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、肝性脳症発症時の蛋白質制限の程度や、活動期と非活動期の食事内容の違い、低栄養対策としてのカロリー確保の重要性などを確認します。
関連知識
肝硬変の病態生理(門脈圧亢進症、低アルブミン血症、肝機能低下)、腹水管理(利尿薬、穿刺)、肝性脳症の症状と治療。低ナトリウム血症への注意も必要。