Aさん(28歳、会社員)は、夫(30歳、会社員)と2人で暮らしている。2023年2月5日からの月経を最後に無月経となり、妊娠の可能性を考えて受診した。医師の診察の結果、妊娠と診断された。 診察後、Aさんから看護師に妊娠中の生活や体重の管理について質問があった。Aさんは「缶ビール2本を週に1回、コーヒーを1日に6杯以上飲んでいます。友人に勧められて半年前から1日240μgの葉酸のサプリメントを飲んでいます」と話す。Aさんは身長160 cm、非妊時体重62 kgである。看護師のAさんへの説明で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
妊娠中の飲酒は胎児性アルコール症候群など胎児への悪影響が非常に大きく、安全な摂取量はないとされているため、完全に中止することが最も適切な指導です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。妊娠中の飲酒は胎児性アルコール症候群などのリスクがあるため、いかなる量のアルコールも避けるべきです。完全に中止することが推奨されます。
- 2. Aさんの非妊時体重62kg、身長160cmからBMIを計算すると、62kg / (1.6m)^2 = 24.2となります。これは肥満(BMI 25以上)ではないものの、正常範囲(18.5~24.9)の上限に近いです。厚生労働省の「妊産婦のための食生活指針」や日本産科婦人科学会の基準では、BMI 25未満の妊婦の推奨体重増加量は10〜12kgが目安とされており、7kg未満は厳しすぎます。適切な体重増加量は個々のBMIによって異なります。正しくは:Aさんの非妊時BMIが24.2であることから、妊娠中の推奨体重増加量は約10~12kgが目安とされます。7kg未満は一般的な推奨より厳しすぎます。選びやすい理由:肥満傾向の妊婦に対して体重管理が重要であるという認識から、厳しめの体重増加目標を提示したくなるかもしれません。混同注意:妊娠前のBMIが25以上の肥満妊婦に対する体重増加目安(個別の管理が必要)や、適切な体重増加量を設定する際のBMI基準値と混同しやすいです。
- 3. 妊娠中のカフェイン摂取は、高摂取量で流産や低出生体重児のリスクが高まるとされています。日本やWHOは1日あたりのカフェイン摂取量を200〜300mgに制限することを推奨しており、コーヒー1日3杯以上はこれを超える可能性があります。今までどおりの摂取は推奨されません。正しくは:カフェインの過剰摂取は避けるべきです。コーヒーは摂取量を減らすか、ノンカフェインのものに切り替えることを検討しましょう。選びやすい理由:カフェインにはっきりとした「害」がないという誤解や、嗜好品を完全に制限することへの抵抗感から、許容しても良いと考えてしまうかもしれません。混同注意:カフェインが全くダメというわけではないという情報と、過剰摂取が問題という情報のバランスを間違えてしまいやすいです。
- 4. 胎児の神経管閉鎖障害予防のため、妊娠を計画している女性および妊娠初期の女性は、通常の食事からの摂取に加えて、サプリメントから1日400μgの葉酸を摂取することが推奨されています。Aさんは現在240μgを摂取しており、推奨量に満たないため、妊娠前と同じ量ではなく増量が必要です。正しくは:葉酸は胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減に重要です。通常の食事に加えて、1日400μgの葉酸サプリメントを摂取することが推奨されていますので、現在の量を見直しましょう。選びやすい理由:葉酸を摂取していること自体は正しい行為であるため、そのまま継続しても問題ないと誤解しやすいです。混同注意:葉酸摂取の推奨時期(妊娠前〜初期)や推奨量(食事+サプリ400μg)と、単に「葉酸は良い」という知識を混同しやすいです。
国試ポイント
妊婦に対する生活指導、特に飲酒、体重管理、カフェイン、葉酸摂取に関する正しい知識を問う問題です。各項目で最新の推奨やガイドラインに基づいた具体的な数値、制限内容を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
妊娠中の体重増加の目安(非妊時BMIによる分類)、カフェインの許容量、葉酸の推奨量と時期は、具体的な数値を混同しやすく、曖昧な知識では正答を導き出しにくいです。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、飲酒・喫煙は常に「中止」が基本原則であることをまず確認する。その他、カフェイン、葉酸、体重増加については、それぞれの最新の推奨量や基準値(特にBMIに応じた体重増加量、葉酸400μg、カフェイン200-300mg/日)を正確に想起できるかを確認する。
関連知識
妊娠中の栄養摂取基準(厚生労働省「妊産婦のための食生活指針」)、妊娠中の薬物・嗜好品の影響(日本産科婦人科学会ガイドライン、WHOガイドライン)、葉酸摂取の重要性とその推奨量。