高齢者の薬物動態の特徴で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
高齢者では加齢に伴い、薬物の吸収、分布、代謝、排泄といった薬物動態に様々な変化が生じます。特に肝臓の代謝機能や腎臓の排泄機能が低下することにより、薬物が体内から消失する速度が遅くなり、結果として血中濃度の半減期が延長します。これは、同じ用量の薬物を投与しても高齢者では血中濃度が高く維持されやすく、副作用が出現しやすくなることを意味するため、薬物投与量の調整が重要となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 高齢者では消化管機能の低下や血流の減少により、薬物の吸収速度が遅延したり、吸収率が低下したりすることがあります。亢進するわけではありません。正しくは:薬物の吸収の低下または遅延選びやすい理由:加齢による生理機能の変化は多岐にわたるため、吸収が亢進するケースがあると誤解するかもしれません。混同注意:若年者と比較した際の高齢者の生理学的変化を正確に理解していないと、反対の選択肢を選んでしまう可能性があります。
- 2. 高齢者では肝臓の血流量減少、肝細胞数の減少、肝酵素活性の低下などにより、薬物の代謝能力が低下します。促進されるわけではありません。正しくは:薬物の代謝の低下選びやすい理由:代謝という言葉から、活性化を連想しやすいかもしれませんが、加齢に伴う臓器機能低下がポイントです。混同注意:代謝経路が複数ある薬物の場合、一部の代謝経路が影響を受けにくいと誤解する可能性がありますが、全体的な能力は低下します。
- 3. 高齢者では腎血流量の減少や糸球体濾過率の低下により、薬物の腎排泄能力が低下します。排泄が増加することはありません。正しくは:薬物の排泄の低下選びやすい理由:水分摂取量など他の要因と混同し、排泄量が増えるケースもあると誤解するかもしれません。混同注意:腎機能の低下は高齢者によく見られる変化ですが、その影響が薬物排泄に及ぶことを理解していないと誤答につながります。
- 4. 正解。高齢者では肝臓での代謝機能や腎臓からの排泄機能が低下するため、体内から薬物が排出されるまでに時間がかかります。このため、薬物の血中濃度が半減するまでの時間(半減期)が延長します。正しくは:記載の通りで正しい選択肢です。選びやすい理由:特になし。薬物動態の基本概念を理解していれば、正しいと判断できます。混同注意:半減期が延長すると、薬物の効果が持続しやすくなる一方で、副作用のリスクも高まることを理解していないと、薬物投与計画に影響を及ぼす可能性があります。
国試ポイント
高齢者の薬物動態の基本的な変化(吸収の低下、代謝の低下、排泄の低下、分布容積の変化、半減期の延長)を理解しているかが問われる問題です。特に代謝と排泄の低下が半減期延長に直結することを把握しておく必要があります。
混同注意
各選択肢が「亢進」「促進」「増加」といった正反対の記述をしているため、加齢による生理機能の全般的な低下傾向を把握していれば迷いにくいでしょう。しかし、特定の疾患や薬物相互作用によっては例外的なケースも存在するため、基本的な変化を確実に理解しておくことが大切です。
次に同じ論点が出たら
半減期が延長することによって、どのような看護上の注意点が生じるか。例えば、薬物中毒のリスク増加、副作用発現の早期発見、内服管理の調整など。
関連知識
高齢者における薬物療法の原則(start low, go slow)、多剤併用(ポリファーマシー)の問題、副作用モニタリングの重要性、腎機能評価(クレアチニンクリアランスなど)に基づいた用量調整。