A市に住むBさん(40歳、経産婦)は、妊娠20週0日である。夫(42歳、会社員)、長女のCちゃん(5歳)の3人暮らし。朝食を終えた午前8時、大規模災害が発生し、夫は倒壊した家屋に両下肢が挟まれ身動きがとれなくなった。一緒にいたBさんとCちゃんは無事だったが、慌てるBさんのそばでCちゃんは泣きながら座りこんでいた。午前10時、夫は救助隊に救出されたが、下肢の感覚はなくなっていた。病院に搬送された夫は、その日のうちに入院となった。 Bさんに異常は認められなかったが、Cちゃんも不安な表情でBさんの傍にいる姿をみて、看護師はBさんとCちゃんは福祉避難所への移動が必要ではないかと考えた。福祉避難所への移動のために看護師が連携する者で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
災害時の避難所管理や福祉避難所への移行調整は、行政の管轄であり、地域の健康問題や福祉サービスに精通している市の保健師が、その窓口となり、適切な判断と調整を行います。BさんとCちゃんのような状況では、身体的な異常がなくとも、子どもの心理的負担を考慮し、より専門的な支援や配慮が受けられる福祉避難所への移行が検討されます。この際、看護師が情報を共有し、連携すべき最も適切な職種は、行政機関の一員であり、地域全体の保健医療福祉の調整役を担うA市の保健師です。
選択肢ごとの解説
- 1. 精神科医は精神疾患の診断・治療を専門としますが、この状況ではBさんに精神疾患の兆候はなく、Cちゃんの不安も現時点では通常の範囲で、福祉避難所への移行の直接的な必要性とは異なります。正しくは:精神科医と連携するのは、被災者や家族に重度の精神的苦痛や精神疾患の兆候が見られる場合です。選びやすい理由:子どもが不安そうな様子であることから、精神的なサポートが必要だと誤解しやすいかもしれません。混同注意:心理的なケアの必要性と精神疾患の治療とを混同することがあります。
- 2. 民生委員は地域住民の生活に関する相談・支援を行いますが、避難所運営や特定の医療・福祉施設の調整権限は持っていません。災害時の避難所間の移動や福祉避難所の利用調整は、行政機関が主導します。正しくは:民生委員は、長期的な地域生活支援や、災害後の生活再建段階で相談相手となることがあります。選びやすい理由:地域住民の相談役という点で、支援が必要な人との接点があるため、連携対象として考えやすいかもしれません。混同注意:地域での一般的な福祉活動と、災害時の緊急的な避難所調整・行政的権限を混同することがあります。
- 3. 正解。保健師は地域の健康課題に対応し、災害時には避難所の巡回、健康相談、情報提供、そして福祉避難所など適切な施設への移行調整において中心的な役割を担います。特に市の保健師は、地域の避難体制や福祉サービスに精通しており、行政との連携窓口となります。Cちゃんの不安な様子を把握し、福祉避難所の利用が適切と判断した場合、その調整を自治体(市)の保健師が行うのが最も適切かつ効率的です。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:(正答のため該当なし)混同注意:(正答のため該当なし)
- 4. ボランティアの保育士は、避難所内で子どもの遊びや生活を支援する役割を果たしますが、福祉避難所への移動という行政的な調整権限や役割は持ちません。正しくは:ボランティアの保育士は、避難所における子どもの精神的なケアや日常の生活支援を行います。選びやすい理由:Cちゃんが幼児であるため、子どもの専門家である保育士が適切だと考えやすいかもしれません。混同注意:子どもの直接的なケアと、行政的な調整・手配の役割を混同することがあります。
国試ポイント
災害時の避難所における多職種連携と、各職種の役割、特に福祉避難所への移行調整における行政(保健師)の役割を問う問題です。被災者のニーズを把握し、適切な支援機関につなぐ看護師の調整能力が評価されます。
混同注意
災害時のメンタルヘルスケアを精神科医と混同したり、地域支援を民生委員と混同したりしやすいですが、福祉避難所への移行という行政的な調整が必要な場合は、自治体の保健師が最も適切です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず『誰が、どのような状況で、どのような支援を必要としているか』を明確にし、次に『その支援を提供する権限や専門性、または行政機関との連携窓口となるのは誰か』という視点で判断します。
関連知識
災害時の保健師の役割(健康管理、巡回相談、情報収集・伝達、避難所運営支援、福祉避難所との連携など)、福祉避難所の役割と対象者(高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児連れなど、特別な配慮が必要な避難者)、災害時の多職種連携の重要性(医師、看護師、保健師、栄養士、社会福祉士、行政職員、ボランティアなど)。