Aちゃん(1歳6か月、男児)は、5日前から発熱し、自宅近くのかかりつけ医に通院していたが解熱せず、昨日から眼球結膜の充血、口唇の発赤と亀裂が出現したため入院した。診察では、体幹の発疹と手足の浮腫もあり、川崎病および脱水症と診断された。Aちゃんに対し、点滴静脈内注射による脱水症の治療が開始され、左手掌から前腕までシーネで固定された。Aちゃんは機嫌が悪く、両手をバタバタと上下に動かしながら泣いている。左手背の留置針刺入部には、腫脹や発赤はない。 Aちゃんの血液検査の結果は、白血球15,000/μL、血小板45万/μL、CRP 4.8mg/dLであり、心臓超音波検査に異常はなかった。γ-グロブリン製剤の点滴静脈内注射が開始された。10分後にAちゃんは腹部をかきはじめ、全身にかゆみを伴う膨隆疹と喘鳴、口唇のチアノーゼが出現した。Aちゃんの状態として最も考えられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Aちゃんの症状は、薬剤投与後短時間で全身の膨疹、掻痒感、喘鳴、チアノーゼが急激に発現していることから、γ-グロブリン製剤に対するアナフィラキシーを含む急性アレルギー反応である可能性が最も高い。免疫複合体形成を介したタイプI過敏反応である。
選択肢ごとの解説
- 1. イレウスは腸管の閉塞によって起こる疾患であり、腹痛、嘔吐、腹部膨満などが主な症状である。全身性の膨疹、喘鳴、チアノーゼといったアレルギー症状は伴わないため、誤りである。正しくは:イレウスの主な症状は腹痛、嘔吐、腹部膨満であり、アレルギー反応とは症状が異なる。選びやすい理由:お腹をかいているという記述があるため、腹部症状を連想しやすい。しかし、掻痒感はアレルギーの皮膚症状である。混同注意:消化器疾患の一般的な症状(腹痛、嘔吐)
- 2. 心筋梗塞は冠動脈の閉塞により心筋が虚血に陥る重篤な疾患で、胸痛、放散痛、呼吸困難、ショックなどが主な症状である。全身性の膨疹や掻痒感は認められず、3歳児の急性発症としては非常に稀であるため、誤りである。正しくは:心筋梗塞は胸痛、呼吸困難などが主症状であり、3歳児では極めて稀である。選びやすい理由:川崎病は心臓の合併症(冠動脈瘤など)があるため、心臓関連の病態を連想しやすい。しかし、症状が一致しない。混同注意:川崎病の心合併症
- 3. 正解。γ-グロブリン製剤の点滴開始からわずか10分後という短時間で、全身の強いかゆみを伴う膨疹、喘鳴、口唇チアノーゼといった症状が急速に現れたことから、アレルギー反応、特にアナフィラキシーと判断される。選びやすい理由:薬剤投与後の急性期の副作用として最も考えられるため。混同注意:薬剤の一般的な副作用(発熱など軽微なもの)
- 4. クループ症候群は喉頭の炎症による疾患であり、犬吠様咳嗽、吸気性喘鳴、嗄声が特徴的な症状である。喘鳴は共通するが、全身性の膨疹、掻痒感、口唇チアノーゼといった症状は伴わず、薬剤投与との関連性も低いため、誤りである。正しくは:クループ症候群は犬吠様咳嗽、吸気性喘鳴、嗄声が特徴であり、皮膚症状や薬剤との関連性はない。選びやすい理由:呼吸時にゼーゼーという喘鳴が聞こえるという記述があるため、呼吸器疾患を連想しやすい。混同注意:他の呼吸器疾患、特に喘鳴を伴うもの
国試ポイント
薬剤投与後の急速な全身性症状はアレルギー反応、特にアナフィラキシーを強く疑う。症状発現までの時間、全身性、呼吸器症状、皮膚症状、循環器症状の有無が判断のポイントとなる。
混同注意
川崎病の症状との混同、あるいは他疾患との鑑別。投与薬剤によるアレルギー反応は、薬剤の副作用や疾患自体の症状と鑑別する必要がある。
次に同じ論点が出たら
薬剤投与後の急性発症で、皮膚症状(膨疹、掻痒)、呼吸器症状(喘鳴、チアノーゼ)、消化器症状、血圧低下などの全身症状の有無を確認する。
関連知識
アナフィラキシーの症状(皮膚、呼吸器、消化器、循環器)、治療(アドレナリン投与、輸液、酸素投与)、γ-グロブリン製剤の副作用(発熱、発疹、頭痛など軽微なものから重篤なものまで)。