Aちゃん(7歳、女児)は両親と弟(2歳)の4人で暮らしている。下校中に転倒して右手を地面についた。夕食時に母親がAちゃんの異変を感じ、Aちゃんに尋ねたところ「転んで肘が痛い」と話したため救急外来を受診した。その結果、利き腕である右側の上腕骨の骨折が判明したため、入院して直ちに全身麻酔下で内固定術を受け、ギプス固定された。 術後に注意すべきAちゃんの状態はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Volkmann〈フォルクマン〉拘縮は、上肢の骨折、特に小児の肘関節周囲骨折の整復固定後や、その他の上肢手術後に、緊縛による血行障害やコンパートメント症候群が原因で発生する可能性があります。前腕の深部組織の虚血性壊死により、最終的に手指の屈曲拘縮を来す重篤な合併症です。術後の看護では、循環状態の観察(指先の冷感、チアノーゼ、感覚障害、運動障害、疼痛など)を行い、早期発見に努めることが極めて重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. ばち指は、慢性の低酸素状態が続く疾患(例:先天性心疾患、肺疾患)でみられる特徴的な指先の変形であり、術直後に生じる状態ではありません。正しくは:術直後に生じるものではない選びやすい理由:指の異常であるため、術後の合併症と混同しやすいが、発生機序と時期が異なる。混同注意:フォルクマン拘縮と同じく指の変形だが、原因と発症時期が異なる。
- 2. クリックサインは、股関節の先天性脱臼などでみられる所見であり、膝の半月板損傷などにも使われる用語ですが、術後の状態を直接示すものではありません。正しくは:股関節や膝関節の所見であり、術後の合併症ではない選びやすい理由:関節の異常を示す言葉であるため、術後の問題と誤解しやすい。混同注意:ガワーズ徴候と同じく運動器の異常を示すが、術後合併症ではない。
- 3. ガワーズ徴候は、筋ジストロフィーなどの筋力低下がある疾患でみられる、床から立ち上がる際の独特な動作を指します。術後に突然出現するものではありません。正しくは:筋力低下を示す徴候であり、術後の合併症ではない選びやすい理由:神経筋疾患の兆候であるため、術後の神経症状と誤解しやすい。混同注意:クリックサインと同じく運動器の徴候だが、術後合併症ではない。
- 4. 正解。フォルクマン拘縮は、上肢の骨折や圧迫などにより前腕コンパートメント症候群が生じ、筋の虚血・壊死が進行して、手指の屈曲拘縮や神経麻痺を引き起こす状態です。術後の包帯やギプスの締め付け、腫脹による圧迫などが原因で生じる可能性があり、早期発見・早期対応が非常に重要となります。正しくは:正しい選択肢。選びやすい理由:特になし。術後のコンパートメント症候群からの合併症として適切。混同注意:ばち指と同様に指の変形だが、こちらは急性期の虚血によって生じる点で鑑別する。
国試ポイント
術後の合併症、特に小児における整形外科領域の手術後の重篤な合併症に関する知識が問われています。フォルクマン拘縮は、看護師が早期に発見し介入すべき緊急性の高い病態であり、その原因と症状を理解しておく必要があります。
混同注意
各選択肢は、いずれも身体の異常を示す用語ですが、発生機序、好発部位、発症時期がそれぞれ異なります。特にばち指は慢性疾患に伴うものであり、急性期の術後合併症であるフォルクマン拘縮と混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
フォルクマン拘縮を疑う症状が観察された場合、看護師は直ちに医師に報告し、包帯の緩和やギプス切開などの緊急処置が行われるよう促す必要があります。
関連知識
コンパートメント症候群、骨折後の看護、周術期管理、小児看護、循環障害の観察、神経学的な評価