Aちゃん(7歳、女児)は両親と弟(2歳)の4人で暮らしている。下校中に転倒して右手を地面についた。夕食時に母親がAちゃんの異変を感じ、Aちゃんに尋ねたところ「転んで肘が痛い」と話したため救急外来を受診した。その結果、利き腕である右側の上腕骨の骨折が判明したため、入院して直ちに全身麻酔下で内固定術を受け、ギプス固定された。 術後1日。Aちゃんは看護師に「昨日の夜は、お母さんに食べさせてもらった。私には弟がいて、お世話が大変なの。私はお母さんに迷惑をかけたくない」と話した。Aちゃんへの看護師の声かけで最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
Aちゃんは利き腕である右側の上腕骨を骨折し、内固定術後にギプス固定されているため、術後1日の現在は右手で食事をとることができません。Aちゃんは「お母さんに迷惑をかけたくない」と話しており、自分のことは自分でしたいという気持ちがうかがえます。左手で食事をする練習を促すことは、Aちゃんの思いを受け止めて自立を支援し、弟の世話もある母親の負担軽減にもつながるため、最も適切です(公式正答1)。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。Aさんは母親への配慮から自分で食事をとることを躊躇しており、自立支援を促すことが重要です。左手での食事は、術後の状態を考慮しつつ、自分でできることを増やすための具体的な支援となります。これにより、母親への負担軽減とAさん自身の回復への意欲向上を促せます。正しくは:左手での食事練習を提案することで、Aさん自身が自立して食事をとれるようになり、母親への精神的な負担も軽減できます。選びやすい理由:Aさんが母親を気遣う気持ちを理解しつつも、具体的な解決策を提示しているため、一時的な解決策ではなく、自立を促す支援として適切です。混同注意:他の選択肢は母親の負担軽減やAさんの感情への配慮が不足しているか、過度な依存を促す可能性があります。
- 2. 「お姉さんだから」という言葉は、Aさんに追加の精神的プレッシャーを与える可能性があり、共感的な声かけとは言えません。Aさんは既に母親を気遣う気持ちから負担を感じており、さらに頑張りを求めるのは不適切です。正しくは:「お姉さんだから」という言葉は避け、Aさんの努力を認めつつ、具体的なサポートを提示する方が適切です。選びやすい理由:Aさんの「お世話が大変」という状況から、自主性を促す意図があるように見えるかもしれませんが、その表現は適切ではありません。混同注意:「頑張ろう」という言葉は励ましに聞こえますが、Aさんの負担感を増幅させる恐れがあります。
- 3. Aさんは母親への迷惑を気にしているため、看護師が全面的に食事介助を行うことは、一時的な解決にはなりますが、Aさんの自立を促すことには繋がりません。また、Aさんが「母親に迷惑をかけたくない」と考えている背景にある自立への意欲を無視することになります。正しくは:「お手伝いしますね」という声かけ自体は間違いではありませんが、Aさんが自分でできることを見つけ、それを支援する姿勢がより適切です。選びやすい理由:Aさんの母親への配慮を理解し、一時的に負担を軽減する意図で選ばれる可能性がありますが、Aさんの自立を阻害する可能性があります。混同注意:Aさんの希望を一時的に叶えるように見えますが、長期的な視点での自立支援には繋がりません。
- 4. Aさんは母親を心配する気持ちが強く、その気持ちを無視して「心配しなくて大丈夫」と伝えるだけでは、Aさんの感情に寄り添った声かけとは言えません。Aさんの内面的な葛藤を理解し、具体的な解決策を共に考える姿勢が求められます。正しくは:Aさんの母親を心配する気持ちを受け止めつつ、その気持ちを尊重しながら、自分でできる具体的な行動を促す声かけが適切です。選びやすい理由:Aさんの精神的な負担を軽減する意図で選ばれるかもしれませんが、Aさんの根本的な問題(自分で食べられないこと)への解決にはなりません。混同注意:Aさんの心配を否定するような響きがあり、Aさんの気持ちに寄り添えていないと受け取られる可能性があります。
国試ポイント
患者の状況を正確に把握し、その感情に寄り添いつつ、具体的な自立支援を促す看護師の役割が問われています。特に、小児患者の心理状態を理解し、家族との関係性も考慮した対応が重要です。
混同注意
他の選択肢は、一見すると患者の気持ちに配慮しているように見えますが、根本的な問題解決や自立支援に繋がらないか、患者に不必要なプレッシャーを与える可能性があります。患者の感情を受け止めつつ、具体的な行動を促すバランスが重要です。
次に同じ論点が出たら
Aさんが左手での食事練習を始めた後、実際にどれくらい食事をとれているか、痛みはないか、精神的な変化はないかなどを継続的に観察し、必要に応じて支援を調整します。
関連知識
患者中心のケア、発達段階に応じた看護、家族看護、自立支援、精神的サポート。