肝切除術後3日の患者のドレーンから黄褐色の排液がみられた。考えられる原因はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
肝切除術後の患者さんのドレーンから黄褐色の排液が認められた場合、最も可能性が高いのは胆汁漏です。胆汁は肝臓で生産され、通常は黄褐色から緑褐色の液体です。肝切除術後は、胆管の縫合不全などによって胆汁が腹腔内に漏れ出し、ドレーンを通して体外に排出されることがあります。この排液の色調は胆汁本来の色を反映しているため、黄褐色を呈します。これは肝切除術後の重要な合併症であり、厳重な観察が必要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 黄疸は皮膚や眼球結膜が黄色く染まる症状であり、ドレーン排液の色に直接関係するものではありません。ビリルビンが血液中に増加し、体組織に沈着することで起こります。正しくは:黄疸は皮膚や粘膜の色、および血液検査(ビリルビン値)で判断される症状である。選びやすい理由:排液の「黄」褐色という色と「黄」疸という言葉から、連想的に結びつけてしまいやすいです。混同注意:胆汁漏による排液の黄褐色と、黄疸という病態を混同してしまう可能性があります。胆汁にはビリルビンが含まれていますが、黄疸は全身症状を指します。
- 2. 出血の場合、ドレーンから排出される液体は通常、鮮紅色や暗赤色を呈します。黄褐色は出血とは異なる色調です。正しくは:出血による排液は、通常、鮮やかな赤色や古い血液による暗赤色である。選びやすい理由:術後合併症として出血はよく起こるため、疑いやすい選択肢ですが、色調が異なります。混同注意:術後早期の合併症としての出血の重要性と、排液の色調の具体的な知識が曖昧な場合に選びやすいです。
- 3. 腹水は一般的に淡黄色透明から淡黄色混濁の液体であり、黄褐色を呈することは稀です。肝切除術後に腹水が貯留することはありますが、その色調が黄褐色であることは通常ありません。正しくは:腹水の一般的な色調は淡黄色透明〜淡黄色混濁である。選びやすい理由:肝臓の疾患や手術後に腹水が貯留することはよくあるため、術後合併症の一つとして選択しやすいかもしれません。混同注意:肝疾患患者の術後管理で腹水の有無を確認することは重要ですが、その性状と色調の知識が不足していると間違えやすいです。
- 4. 正解。胆汁は肝臓で生成される消化液で、特徴的に黄褐色から緑褐色をしています。肝臓の切除術後、胆管からの胆汁が腹腔内に漏れ出し、それがドレーンから排出されると、胆汁本来の黄褐色を呈します。これは肝切除術後の代表的な合併症の一つです。
国試ポイント
術後のドレーン排液の色調と性状から、考えられる合併症を正しく判断できるかが問われます。特に肝臓関連の手術では、胆汁の色を知っていることが重要です。また、他の一般的な術後合併症(出血、腹水など)による排液の色調との鑑別もポイントとなります。
混同注意
出血による排液(赤色)、腹水による排液(淡黄色透明)、感染による排液(膿性、混濁)など、他の術後合併症によるドレーン排液の色調や性状と混同しやすいです。それぞれ特徴的な所見があるため、正確な知識が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された際には、まず「手術の種類」と「ドレーン排液の具体的な色・性状」を正確に把握します。肝切除術後の黄褐色排液であれば胆汁漏を第一に疑い、消化管手術後の緑色排液であれば消化液の漏出、泌尿器科手術後の尿臭のある排液であれば尿漏などを考慮するなど、術式と排液の関連性を重視します。また、排液量、発熱、腹痛などの全身状態も総合的に評価し、適切な対応を判断します。
関連知識
胆汁の生理的役割と色調、肝臓と胆道の解剖学的構造、肝切除術後の主な合併症(出血、感染、肝不全、胆汁漏など)、ドレーン管理と排液の観察項目、排液の性状が示唆する病態の鑑別。