Aちゃん(11歳、女児)は、5日前から両側の眼瞼浮腫と急な体重増加があり、尿量が少ないため来院した。高度の蛋白尿もみられたため入院し、ネフローゼ症候群と診断されステロイド治療の方針となった。現時点でのAちゃんへの看護で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
ネフローゼ症候群の治療ではステロイド薬が用いられることが多く、その副作用として満月様顔貌(ムーンフェイス)が出現することがあります。特に思春期手前の女児にとって、外見の変化は精神的な負担が大きいため、事前に説明し、不安を軽減し、治療への理解と受容を促すことは非常に重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. ネフローゼ症候群では浮腫がみられ、体液貯留があるため、通常は水分摂取を制限します。過剰な水分摂取は浮腫を悪化させる可能性があります。正しくは:浮腫の程度に応じて水分摂取を制限することや、医師の指示に従うことを伝える。選びやすい理由:水分摂取が健康に良いという一般的な認識から選んでしまいがちですが、疾患特有の病態を考慮する必要があります。混同注意:健常者への一般的な水分補給と、体液貯留を伴う疾患時の水分管理を混同しやすい。
- 2. ネフローゼ症候群の急性期や浮腫が強い時期は、安静が基本となります。過度な活動は病状を悪化させる可能性があり、また活動制限することで浮腫の軽減や腎臓への負担を軽減します。高度な浮腫や倦怠感がある場合は特に制限が必要です。正しくは:病状が安定し、医師の許可があるまでは活動を制限する必要があることや、安静にすることが大切であることを伝える。選びやすい理由:子どもにとって活動は重要であるため、自由にさせてあげたいという気持ちから選んでしまいがちです。混同注意:疾患による活動制限と、成長期の子どもの活動欲求を混同しやすい。
- 3. ネフローゼ症候群の食事療法では、主に塩分制限とタンパク質制限、脂質制限が重要となります。糖質については、ステロイド治療による副作用(血糖上昇)がある場合に制限を検討しますが、現時点では糖分摂取の制限は優先度が低いです。また、成長期の子どもに必要なカロリーを確保するため、闇雲に糖質を制限するのは適切ではありません。正しくは:塩分やタンパク質の摂取制限が重要であることを伝え、必要に応じて脂質制限や、ステロイド治療による影響を考慮した食事指導を行う。選びやすい理由:糖尿病などの他の疾患での食事制限と混同したり、一般的な健康志向から選んでしまいがちです。混同注意:ネフローゼ症候群の食事制限(塩分、タンパク質、脂質)と、ステロイド治療による血糖値上昇への配慮、および他の疾患の食事制限(糖分)を混同しやすい。
- 4. 正解。ネフローゼ症候群の治療で用いられるステロイド薬の代表的な副作用として、満月様顔貌(ムーンフェイス)があります。これは治療開始後しばらくすると現れる可能性があり、患児や家族にとって心理的な負担となることがあります。事前に説明することで、不安の軽減や治療への理解と受容を促すことができます。選びやすい理由:この選択肢が直接的な治療ではないため、正しいと判断しにくいかもしれませんが、副作用の説明は重要な看護介入です。混同注意:疾患の症状(浮腫)と治療薬の副作用(満月様顔貌)を区別できない場合、どちらも顔の見た目の変化であるため、混同しやすい。
国試ポイント
ネフローゼ症候群の治療法(ステロイド)と、その副作用に関する知識、およびそれに対する看護的介入(説明による心理的サポート)を問う問題です。病態生理だけでなく、治療に伴う患者・家族への心理的影響を考慮した看護介入が求められています。
混同注意
ネフローゼ症候群による浮腫と、ステロイドの副作用である満月様顔貌(ムーンフェイス)の区別。両者ともに顔が腫れるように見えるため、混同しやすい。浮腫は全身性で重力の影響を受けやすく、ムーンフェイスは脂肪沈着によるものです。
次に同じ論点が出たら
ネフローゼ症候群の病態、治療(薬物療法、食事療法、安静)、およびそれぞれの看護介入の優先順位を総合的に判断できるか。特に小児の場合、身体的ケアだけでなく、精神的・発達的ケアの視点も持つことが重要です。
関連知識
ネフローゼ症候群の主要症状(高度蛋白尿、低アルブミン血症、高脂血症、浮腫)、食事療法(塩分制限、タンパク質制限、脂質制限)、活動制限の必要性、ステロイド薬の他の副作用(易感染性、血糖値上昇、骨粗鬆症など)、および小児の成長発達段階に応じた心理的ケア。