午前10時、A県内で大規模災害が発生した。A県内の救命救急センターに、家屋等の倒壊現場から救助された傷病者の受け入れ要請があり病院に搬送された。直ちにトリアージが行われた。搬送されてきたBさん(45歳、男性)には頻呼吸が認められ、胸部と背部の痛みを訴え、吸気時に胸郭が陥没し、呼気時には膨隆している。 Cさんは直ちに入院となり、緊急で血液透析が開始されることになった。集中治療室のベッドサイドで血液透析が開始され、Cさんのバイタルサインは安定した。下肢の腫脹、感覚障害は持続している。Cさんは「家族は無事なのか」「また地震がきて病院が停電になったら、透析の器械は止まらないのか」と不安な表情で担当看護師に訴えた。Cさんの家族は避難所にいると連絡があったことを伝えると、Cさんは少し落ち着いた表情となった。担当看護師は、次々と搬送される傷病者の受け入れ準備をするよう、リーダー看護師に声をかけられた。この時点でのCさんへの対応で担当看護師が優先して連携するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Cさんは地震による災害ストレスを抱え、「病院が停電したら透析装置は止まってしまわないか」という透析治療への具体的な不安を訴えています。この不安に対して、透析装置の専門家である臨床工学技士が、装置の安全性や災害時の対応について直接説明することで、Cさんの不安を解消し、精神的な安定と治療への信頼を回復させることが最も重要かつ優先されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 管理栄養士は食事指導や栄養管理の専門家であり、Cさんの「透析装置が止まってしまわないか」という機器の安全性に関する不安には直接対応できない。足のむくみは水分管理も関連するが、直接の優先順位は低い。正しくは:Cさんの栄養状態の悪化や食事に関する具体的な問題が発生した場合に協力する。選びやすい理由:透析患者は食事制限が厳しく、足のむくみも水分・塩分管理と関連するため、栄養管理が重要と考えるかもしれない。混同注意:透析患者の全身管理における栄養士の役割と、災害時の緊急的な心理的・機器的な不安への対応。
- 2. 社会福祉士は患者の経済的・社会的問題や生活相談の専門家であり、Cさんの「透析装置が止まってしまわないか」という機器の安全性に関する不安には直接対応できない。家族の安否確認後であるため、現時点での優先度は低い。正しくは:Cさんが経済的な問題や退院後の生活支援、または家族支援に関する具体的な問題を訴えた場合に協力する。選びやすい理由:Cさんが「家族は大丈夫か」と訴えており、家族の安否確認や避難所での生活支援といった社会的な側面から社会福祉士の介入を連想するかもしれない。混同注意:患者の心理的サポート全般と、社会的な側面への介入の優先順位。
- 3. 理学療法士は身体機能の回復や運動機能改善の専門家であり、Cさんの「透析装置が止まってしまわないか」という機器の安全性に関する不安には直接対応できない。足のむくみやしびれは理学療法の適応となる可能性もあるが、現時点での最優先事項ではない。正しくは:Cさんの足のむくみやしびれが長期化し、運動機能に影響を及ぼす場合に、身体機能の回復に向けて協力する。選びやすい理由:足のむくみやしびれが続いていることから、身体的な問題への介入が必要と考えるかもしれない。混同注意:患者の身体的症状への対応と、精神的な不安への緊急的な対応の優先順位。
- 4. 正解。Cさんは血液透析装置の停止に対する具体的な不安を訴えており、臨床工学技士は透析装置をはじめとする医療機器の操作、保守点検、管理の専門家である。彼らが直接、装置の安全性や災害時の対応について説明することで、Cさんの不安を解消し、安心感を提供することが最も適切かつ優先される。選びやすい理由:正答のため、特に誘惑する選択肢はない。
国試ポイント
災害時の透析医療における各専門職の役割と、患者が抱える具体的な不安に対する専門職の優先順位を理解する。
混同注意
患者の精神的ケア全般は他職種も関わるが、医療機器への具体的な不安に対しては、その機器の専門家による説明が最も効果的である。
次に同じ論点が出たら
患者が特定の医療機器やその操作、安全性について具体的な不安を訴えている場合、その機器の専門家である臨床工学技士が最優先で関わるべき専門職であると判断する。
関連知識
災害医療において、患者の心身の安定を図るために多職種連携が不可欠である。特に透析患者は災害時に脆弱な立場にあり、機器の安全性や治療継続への不安は大きい。臨床工学技士は医療機器の操作・管理・保守点検の専門家であり、災害時の医療機器の安全確保や患者への説明責任を果たす上で重要な役割を担う。