Aさん(50歳、女性、会社員)は、職場で激しい頭痛を訴えて倒れ、意識を失って、救急搬送された。救命救急センター到着時のバイタルサインは、体温36.7°C、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧168/88 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98 %(room air)であった。閉眼していたので、大声で話しかけると開眼したが、すぐに閉眼して眠り込んでしまう。 Aさんの意識レベルは、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉で評価するとどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
ジャパン・コーマ・スケール(JCS)において、Ⅱ-20は「大きな声や体を揺さぶるなどの強い刺激によって、かろうじて開眼する状態」を示します。Aさんの状態はこの定義に合致するため、Ⅱ-20が適切な評価となります。JCSは意識レベルを客観的に評価するための重要な指標であり、各段階の定義を正確に理解しておく必要があります。
選択肢ごとの解説
- 1. この意識レベルは、「普通の呼びかけで開眼するが、意識ははっきりしない状態」を示します。問題文で示されたAさんの状態(大きな声や体を揺すって開眼)とは異なります。正しくは:「普通の呼びかけで開眼する」状態であれば、Ⅱ-10が適切です。選びやすい理由:Ⅱ群である「刺激で開眼」という点では共通しているため、間違いやすいかもしれません。しかし、必要な刺激の強さが異なります。混同注意:「Ⅱ-10」と「Ⅱ-20」は、どちらも刺激で開眼する状態ですが、必要な刺激の強さが異なります(Ⅱ-10は普通の呼びかけ、Ⅱ-20は大きな声や揺さぶり)。
- 2. 正解。JCSのⅡ-20は、「大きな声で呼びかけたり、体を揺すったりする程度の強い刺激によって、かろうじて目を開ける状態」を指します。これは、問題文で示されたAさんの状態と一致します。
- 3. この意識レベルは、「痛み刺激を与えると、それを払いのけるような動作をするが、覚醒しない状態」を示します。問題文のAさんは、大きな声や揺さぶりで開眼しているため、この状態とは異なります。正しくは:「痛み刺激に対し払いのけるような動作をする」状態であれば、Ⅲ-100が適切です。選びやすい理由:刺激に反応するという点では共通していますが、Ⅲ群は「刺激しても覚醒しない」状態であり、開眼しているAさんには当てはまりません。混同注意:Ⅱ群とⅢ群は、刺激に対する反応の質が異なります。Ⅱ群は「刺激でかろうじて開眼」するのに対し、Ⅲ群は「刺激しても開眼せず、痛み刺激に身体反応を示す」段階です。
- 4. この意識レベルは、「痛み刺激を与えると、手足を動かすなどの反応は見られるものの、意識的に避けようとする動作はない状態」を示します。問題文のAさんは開眼しているため、この状態とは異なります。正しくは:「痛み刺激に対し手足を動かすなどの反応をする」状態であれば、Ⅲ-200が適切です。選びやすい理由:Ⅲ群は「刺激しても覚醒しない」段階であり、開眼しているAさんには当てはまりません。混同注意:Ⅲ群の「Ⅲ-100」「Ⅲ-200」「Ⅲ-300」は、痛み刺激に対する反応の程度の違いで分類されます。Ⅲ-200はⅢ-100より深い意識障害です。
国試ポイント
意識レベルの評価スケール(JCS、GCSなど)は看護師国家試験において頻出テーマです。特に、特定の患者状況に対応する意識レベルの分類を問う問題形式が多く見られます。各スケールの具体的な評価項目と、それらが示す意識状態を正確に結びつけられるかがポイントとなります。また、スケールの名称やその目的についても問われることがあります。
混同注意
JCSの「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」といった大分類と、それに続く数字の細分類(例:Ⅱ-10とⅡ-20)を混同しやすいです。特に「刺激で開眼する」という点では共通するⅡ群の中でも、必要な刺激の強さ(普通の呼びかけ vs. 大きな声や揺さぶり vs. 痛み刺激)によって細かく分類されているため、それぞれの違いを正確に把握しておく必要があります。GCS(グラスゴー・コーマ・スケール)との違いも理解しておくことが重要です。
次に同じ論点が出たら
患者がどのような刺激に対して反応するか(自発的に開眼しているか、呼びかけで開眼するか、痛み刺激で開眼するか、全く反応しないか); 患者の反応が、開眼反応、言語反応、運動反応のどのカテゴリーに属するか; 反応の質(呼びかけへの返答、痛み刺激の払いのけ、手足の屈曲など)を具体的に観察し、JCSやGCSの各項目と照合する; 問題文でJCSとGCSのどちらを問われているか、評価スケールの種類を正確に確認する。
関連知識
JCSの全分類(I-1, I-2, I-3, II-10, II-20, II-30, III-100, III-200, III-300)とそれぞれの定義; GCS(グラスゴー・コーマ・スケール)の評価項目(開眼反応、言語反応、運動反応)とそれぞれの点数、合計点からの意識レベル評価; JCSとGCSの使い分けや特徴(JCSは簡便、GCSはより客観的・国際的); 意識障害の原因と分類(器質性、代謝性、心因性など); 意識レベル評価の目的(経時的な観察、適切な看護介入の判断、医師への情報提供など)