Aちゃん(小学4年生、女児)は父親(40歳、会社員)、母親(40歳、会社員)、弟(小学2年生)と4人で暮らしている。交通事故で頸髄損傷となり、訪問看護を利用して在宅療養を開始した。Aちゃんはこれまで通っていた小学校に継続して通学することを希望している。Aちゃんの家族への看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
Aさんの事故は家族全体に影響を及ぼすため、家族の心理的ケア(選択肢2)と、Aさんが社会生活を継続するための支援(選択肢3)の両方が重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. Aさんはこれまでの小学校への通学を希望しており、その意向を尊重することが重要です。安易に転校を勧めることは、Aさんの希望を無視することになり、自己決定の機会を奪う可能性があります。まずは現在の学校での受け入れ体制や支援の可能性を探ることが適切です。正しくは:Aさんの希望を尊重し、現在の学校での継続的な学習を支援するための情報提供や調整を行う。選びやすい理由:特別支援学校は障害を持つ児童にとって専門的な支援が受けられる場であるため、転校が最善の選択肢だと考えてしまう可能性がある。混同注意:特別支援学校と通常の学校におけるインクルーシブ教育の原則の理解が不十分だと、最適な選択肢を見誤ることがある。
- 2. 正解。家族の一員であるAさんの重篤な事故は、弟を含む家族全員に心理的な影響を与えます。特に年少の弟は、不安やストレスから指しゃぶりや赤ちゃん返りなどの退行現象を示すことがあります。家族に対し、そのような変化に気づき、適切に対応できるよう説明することは、家族支援として適切です。正しくは:弟の精神的な健康状態に注意を払うよう家族に促し、必要に応じて専門家のサポートを検討する。選びやすい理由:事故の当事者であるAちゃんへのケアに集中しすぎて、他の家族への影響を見落とす可能性がある。混同注意:家族の精神的ケアは心理専門職の役割と考え、看護師の役割ではないと誤解することがある。
- 3. 正解。頸髄損傷を負ったAさんが在宅で生活し、小学校に通学するためには、多くの社会資源(例:介助サービス、福祉機器、教育支援、ピアサポートなど)が必要となります。家族がこれらの情報にアクセスし、適切な支援を受けられるよう情報提供を行うことは、自立支援およびQOL向上に直結するため、看護師の重要な役割です。正しくは:Aさんのニーズに合わせた具体的な社会資源をリストアップし、申請方法や利用手順についても説明する。選びやすい理由:情報提供は事務的な役割と考え、看護師の直接的なケアではないと誤解することがある。混同注意:社会資源の具体例や活用方法に関する知識が不足していると、適切な情報提供ができない可能性がある。
- 4. Aさんの介護は家族全員で分担し、特定の個人に過度な負担がかからないように配慮することが重要です。母親だけに負担を集中させる助言は、母親の疲弊や家族関係の悪化につながる可能性があります。父親や弟、訪問看護師、その他の支援者など、多様な資源を活用し、家族全体で支え合う体制を構築することが望ましいです。正しくは:家族全員で介護を分担し、外部の支援も積極的に活用しながら、負担を軽減できるよう調整する。選びやすい理由:一般的に母親が家庭内の介護の中心になりやすいという固定観念から、この選択肢が正しいと誤解する可能性がある。混同注意:家族介護におけるジェンダー役割の固定観念に囚われ、均等な負担分担の重要性を見落とすことがある。
- 5. 事故は家族にとって大きな出来事であり、その経験や感情を家族間で共有し、話し合うことは、心理的な受容や乗り越えるプロセスにおいて非常に重要です。話題にしないように指導することは、感情の抑圧や未解決の悲嘆につながり、かえって家族の精神的健康を損なう可能性があります。適切な時期に、安心して話し合えるような場を提供することが望ましいです。正しくは:家族が安心して事故について話し合える機会を尊重し、必要であれば心理的なサポートを提供できる機関を紹介する。選びやすい理由:事故の話題がAさんや家族にとってつらいのではないかと考え、配慮から話題を避けるように勧めたくなる可能性がある。混同注意:悲しい出来事に対する対処法として、話題にしないことが最善と誤解することがある。感情の表現の重要性への理解が不足している。
国試ポイント
小児の慢性疾患患者とその家族に対する看護師の役割、特に家族支援と社会資源の活用に関する知識が問われています。事故による影響は患者本人だけでなく、その家族全員に及び、特に年少のきょうだい児への配慮や、在宅での生活を支えるための社会資源の活用支援が重要です。
混同注意
家族の負担軽減を目的としたアドバイスと、個別化されたケアニーズの尊重を混同しないように注意が必要です。また、心理的ケアと情報提供のどちらか一方に偏らず、両方を包括的に考える視点が求められます。
次に同じ論点が出たら
Aさんが学校生活を再開するにあたり、学校側との連携方法や具体的な支援内容について、家族と共に検討を進める必要があります。
関連知識
きょうだい児の心理、家族システム論、障害児の地域生活支援、インクルーシブ教育、社会資源の種類と活用方法、訪問看護の役割。